専門医が語る“コロナうつ”の3つの黄信号 「2回目の緊急事態宣言下は女性が危ない」

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で心身に不調をきたし、心療内科や精神科を受診する人が増えたといわれる。いわゆる“コロナうつ”だ。「自分は大丈夫」と思っていた人も、2度目の緊急事態宣言下で不安を感じているかもしれない。“コロナうつ”にかからないためにはどうすればいいのか。薬に頼らないうつ病の治療に取り組む「東京TMSクリニック」の田中奏多院長に聞いた。

「東京TMSクリニック」の田中奏多院長
「東京TMSクリニック」の田中奏多院長

「東京TMSクリニック」の田中奏多院長が語る“コロナうつ”の現状

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で心身に不調をきたし、心療内科や精神科を受診する人が増えたといわれる。いわゆる“コロナうつ”だ。「自分は大丈夫」と思っていた人も、2度目の緊急事態宣言下で不安を感じているかもしれない。“コロナうつ”にかからないためにはどうすればいいのか。薬に頼らないうつ病の治療に取り組む「東京TMSクリニック」の田中奏多院長に聞いた。

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“コロナうつ”は正式な医学用語ではありません。新型コロナウイルス感染症による変化に起因して、イライラ、気分の落ち込み、集中力の低下、頭にモヤがかかったような感じがする、眠れない、起きれない、頭痛、吐き気など、心身の不調が起きた状態をさします。テレワークの日と出勤の日で起床時間がズレたり、人と会うことができなくなって会話や笑顔が減ったり、運動不足になるなど、生活リズムが乱れたり、人間関係や仕事の仕方が変化した人も多いでしょう。テレワークは職場と家庭の境目が無くなり、メリハリのない毎日を送りがち。感染予防のために外出を控える生活は身体の活動が少なく、心身の不調につながってしまうのです。

 2020年4~5月の1回目の緊急事態宣言中ではなく、その後にそうした“コロナうつ”の患者さんが増えました。生活リズムの変化による不調が自覚される自粛開始3~4週間後から多くの方が受診されました。個人的な印象としては、その頃は1人暮らしの若い男性が危険だな、と感じました。家族と一緒に暮らしていれば、家族で生活リズムを作りやすいですが、1人だと朝起きる時間も自由になり、食事もおろそかになりがちになってしまう。また、1人暮らしの男性の中には他者とのコミュニケーションを積極的にとらない人もおり、1人で引きこもりがちになります。人との会話や触れ合いなどのコミュニケーションの中で分泌される幸せホルモン「セロトニン」が低下することも、心身の不調を招きやすいのです。

 2回目の緊急事態宣言下の今は女性が危ない、と感じています。冬に気分が落ち込みやすくなったり、甘いものや油っぽいものを食べたくなる傾向や過眠傾向になる「冬季うつ」は女性に多いといわれています。「冬季うつ」は太陽の光が弱くなることで「セロトニン」が低下することなどで起こると考えられています。生理前にイライラしたり、落ち込んだりする人もこのセロトニンが大きく関わっています。この冬は特に生理前の不調で気持ちをコントロールできなくなっている人が多くなっている印象があります。

 生理前には「エストロゲン」(女性ホルモン)の影響で「セロトニン」が低下しやすく、些細なことにイライラしたり、ちょっとしたことで涙が出るほど落ち込んで1人でふさぎ込んでしまう人もいます。生理前の不調がある方は、パートナー、家族、子供、親友など特に近しい人に、理不尽だと分かっていても当たってしまう、自分の感情が自分でコントロールできなくなると相談される方が多いです。

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