【Producers TODAY】フジ「知ってるワイフ」プロデューサー 「男女のしんどさを真っ向から描きたかった」

奇妙な男を演じる生瀬勝久。ゲームが物語の行方を占う【写真:(C)フジテレビ】
奇妙な男を演じる生瀬勝久。ゲームが物語の行方を占う【写真:(C)フジテレビ】

「知ってるワイフ」のタイトルにもう1つの意味。「最後までご覧いただくと分かる」

――今後、物語はどのように進んでいくのでしょうか?

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貸川「2話まで見て主人公を『なんだコイツ?自分勝手だなぁ』と思った方はたくさんいると思いますが、そもそもそれを前提にしました。主人公自身がいかに身勝手で相手を見ていなかったかということに気付いて後悔して、どうしたらいいんだろうと贖罪を考えていく話になっていきます。そうだ!そうだ!と思える作りにはなっているので、イライラするから見るのを止める、と言わずにぜひ見届けていただきたいです(笑)」

狩野「主人公の贖罪の旅でもあるのですが、実はドラマのタイトルもずいぶん悩みました。原題はやや違和感がありましたが、このドラマは“自分が知っている奥さんって本当に知っている奥さんなの?”ということも含めて主人公が気付いていく旅になっています。それで原題のままでいくと決断しました。本当はもう1つ意味があるですが。最後までご覧いただくと分かると思います。とりあえずは、知り合いとか家族とか大切な人とかと見てもいいですし、1人で見てもいいですし、将来を思い描いて見てもいいですし、好きに楽しんで見ていただけたらありがたいなと思っています」

貸川P「関係性が変わることを恐れてはいけない」 狩野P「完璧な女性は男性視点からの理想像」

――ドラマで描かれる夫婦という関係性について今思うことは何でしょう?

貸川「パートナー関係において対話、相手の話を聞くことがいちばん大事だなと思います。そして、お互いの関係性が変わっていくことを許容すること。最初に付き合い始めたときとか、結婚するって決めたときとか、そこから何年かたって子どもができたときとか、そういうときごとに、最初付き合い始めたときのラブラブとは関係性が違ってくる。でも、それは当然のことであって、愛が減ったとか思わないでいようというか、年数を経たうえでできあがる関係性もある。変わることを恐れてはいけない、と思っています」

狩野「相手へのちょっとした想像や気遣い、思いやりで、すごく関係が違うなと思います。個人的にはこのドラマを通じてとてもためになるものを得たなと思いました。あと、2話で登場する広瀬アリスさん演じる銀行員は、客対応をそつなくこなしたり同僚のうけが良かったり酒席に積極的に参加したり、といわゆる完璧な女性像として描かれているのですが、それはある意味、男性視点からの理想像かもしれないなと思います。必ずしも世の女性がそういうふうにならないといけない!というわけでもないと思います。お互いダメなところはダメのままで受け入れられる関係性でもいいじゃないかなと思います。その方が人生楽ですし。居心地良さそうだし。…あ、でもドラマのプロデューサーがドラマの登場人物のキャラクターを否定してはいけないんですが(笑)」

――最後に最近、個人的にハマっていることを教えてください。

貸川「レコードです。たまたまプレーヤーを入手したんですが、リモートワークが多くなって、家でデスクワークと休憩の切り替えをするときにレコードをかけるとリラックスできてとてもいいです」

狩野「やっぱりテレビ見ることかなと(笑)。ドラマもバラエティーもいろいろ勉強になります」

(敬称略)

※「知ってるワイフ」は韓国の有料ケーブルテレビチャンネルtvNで2018年8~9月に放送された同名原作ドラマ。有料放送にもかかわらず、同時間帯ドラマの視聴率1位を獲得した(視聴者調査会社ニールセンコリア調べ)。

■略歴

□狩野雄太(かの・ゆうた)。1984年、東京都生まれ。2008年フジテレビジョンに入社。編成制作局編成センター編成部所属。現在は「知ってるワイフ」「世にも奇妙な物語」「ワンピース」「千鳥のクセがスゴいネタGP」「全力!脱力タイムズ」などを企画・プロデュースしている。

□貸川聡子(かしかわ・さとこ)。1979年、東京都生まれ。2002年共同テレビジョンに入社。入社以来ドラマを手掛ける。主なプロデュース作はドラマ「1リットルの涙」「乙女のパンチ」「CONTROL~犯罪心理捜査~」「絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~」「早海さんと呼ばれる日」「福家警部補の挨拶」「無痛~診える眼~」「警視庁いきもの係」「黒井戸殺し」「Jimmy~アホみたいなホンマの話~」、映画「名も無き世界のエンドロール」(21年1月29日公開)「半径1メートルの君~上を向いて歩こう~」(21年2月26日公開)ほか。

(取材/構成・鄭孝俊)
全国紙社会部、スポーツ紙文化部デスクを経て「ENCOUNT」記者。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程在籍中。専門は異文化コミュニケーション論、メディア論。成蹊大学文学部ゲスト講師、ARC東京日本語学校大学院進学クラスゲスト講師などを歴任。

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