米出身漫画家が「鬼滅の刃」を徹底分析 マンガ学会で研究発表「炭治郎の中にモンスター」

「モンスター理論」で「鬼滅」を分析

――「モンスター理論」? 面白そうですね。分かりやすく教えてください。

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「英米文学の研究者であるジェフリー・ジェローム・コーエン教授が論文『Monster Culture(Seven Theses)』で提唱した文学理論です。モンスターや怪物的存在を理解することが自分自身を理解するために不可欠である、という視点から『モンスターから何を学べるのか』を考えます。基礎となる『7つのテーゼ』(※1)で作品の理解をより深めることができます」

――鬼から学べる「7つのテーゼ」……。「残酷な天使のテーゼ」とは違うんですよね?

「はい(笑)。本題に入る前に一つ聞きます。鬼と聞くと、どんなイメージが湧きますか? 巨大、邪悪、人食い、角、もじゃもじゃ毛、トラ柄パンツ、棍棒、牙、ギョロ目、雷……。肌の色はさまざまで角、目、指の数もさまざま。永井豪の『鬼-2889年の反乱-』『白い世界の怪物』『夜に来た鬼』、手塚治虫の『どろろ』、アニメ『まんが日本昔ばなし』、高橋留美子の『うる星やつら』など、デザインのバリエーションは多いにしても日本での鬼のイメージは割りと固まっています。『鬼滅』に登場する鬼も牙があったり角はあったりなかったり、目の数もさまざま。人を食うといったような古典的な鬼の要素が入っていますが、人を食べないと上に認めてもらえない、体を斬られても再生する、首を切り落とされると死ぬ、など『鬼滅』特有の特徴も見つかります」

次のページへ (3/5) 鬼舞辻無惨に感じる「嫌悪」と「魅力」の同時性
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