米出身漫画家が「鬼滅の刃」を徹底分析 マンガ学会で研究発表「炭治郎の中にモンスター」

アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(原作・吾峠呼世晴=ごとうげ・こよはる氏)が、「千と千尋の神隠し」(興収316億8000万円)の記録を塗り替え、歴代興収1位の座に立った。コミックの累計発行部数は電子版を含めて1億2000万部突破という空前の売り上げを更新中。社会現象として旋風を巻き起こしている「鬼滅」。その魅力をどう読み解けばよいのか。日本マンガ学会で「鬼滅」の謎について研究発表をした米国出身のマンガ研究家、井島ワッシュバーン・パトリックさんに聞いた(※一部ネタバレになる記述があります)。

マンガ学会で「鬼滅の刃」について研究発表した井島ワッシュバーン・パトリック氏はイラストレーター、アニメーターとしても活動している
マンガ学会で「鬼滅の刃」について研究発表した井島ワッシュバーン・パトリック氏はイラストレーター、アニメーターとしても活動している

コーエン教授提唱「怪物的存在を理解することが自分自身の理解には不可欠」

 アニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(原作・吾峠呼世晴=ごとうげ・こよはる氏)が、「千と千尋の神隠し」(興収316億8000万円)の記録を塗り替え、歴代興収1位の座に立った。コミックの累計発行部数は電子版を含めて1億2000万部突破という空前の売り上げを更新中。社会現象として旋風を巻き起こしている「鬼滅」。その魅力をどう読み解けばよいのか。日本マンガ学会で「鬼滅」の謎について研究発表をした米国出身のマンガ研究家、井島ワッシュバーン・パトリックさんに聞いた(※一部ネタバレになる記述があります)。

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――大正時代を舞台に鬼に家族を惨殺された主人公・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、人食い鬼に変貌してしまった妹・禰豆子(ねずこ)を人に戻すため剣の技を極めながらさまざまな鬼と戦います。

「日本の代表的な妖怪である『鬼』は、昔から現在に至るまで日本の文化と強く結びついたモンスターで、日本文化を理解するには不可欠な存在です。『鬼滅の刃』の主人公たちの『鬼』に対する見方や、作品に描かれた『鬼』の表現の複雑さには、これまでの『鬼』の性格を踏まえつつも、現代的な要素が加わっています。このあたりからまずは見ていきましょう。手助けになるのが『モンスター理論』です」

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