東京03が考えるウィズコロナ時代のコントとは 「何が日常になるか見極めていきたい」

コントの今後について語る東京03【写真:山口比佐夫】
コントの今後について語る東京03【写真:山口比佐夫】

日常の些細な違和感を笑いに変えるスタイルゆえの、コロナ禍での葛藤

――自粛期間中に書き溜めたネタがリモート単独公演につながった。

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飯塚「放送作家のオークラに背中を押されて、とりあえず1本作ってみたらこれがなかなか面白かった。試しにZoomで合わせたのをオークラに見せたら、何本か作って単独ライブをやろうと。その日から1週間後の5月27日、ちょうど僕の誕生日が開催日になって、そこからはもう仕事ですよ。やっぱり違うんですよね、あんなに楽しく書いてたのに」

――リモートネタの楽しさ、難しさは。

飯塚「いつものネタって、思いついても『あ、これ過去に誰かやってたやつだな』とかってのがあるんですが、リモートコントって今までにやった人がいないから思いついたことを自由に書ける。そういうのも楽しくて、すごく初心に帰った感じがした。3人で1番最初に単独ライブやったときの感じに近かった気がします」

角田「やったらすごい楽しかった。この年になってこんなに新鮮な経験ができるんだなって。稽古も本番も自宅でやるんですけど、本番に入った瞬間の緊張感がすごいあるんですよ。もちろん笑い声は返ってこないんですけど、アドレナリンはすごい出て、それはビックリしました」

豊本「緊張感はすごいありましたね。リラックスしてる家だからこそ余計に。それこそ、いつも『鬼滅の刃』を読んでる空間が急に仕事場になっちゃう。『“全集中”でやらなきゃ!』となりましたね」

――9月には単独公演「ヤな塩梅」を他に先駆けて有観客で行った。

飯塚「もちろんライブはやりたかったんだけど、『やってもいいんだろうか』という葛藤はあった。万全の対策は取りましたが、それでも今まで通りはやれてないわけで。そこまでしてでもやったほうがいいのかとか、やっててもわれに返る瞬間はありましたね」

――お客さんはわれに返る瞬間を忘れにきているのでは。

飯塚「それは1人1人聞いてみないと分からない。このご時世で、ネタにも新しい日常を取り入れたほうがいいのか、もし忘れにきてるんだったらそういうものを排したほうがいいのかとか、いろんなことをごちゃごちゃ考えながらやった。でも、結局は楽しかったですね」

――日常の在り方が変わっていくなか、今後のネタ作りはどうなる。

飯塚「我々、本当に日常から拾ってきたネタをやるので、常識が変われば新しい設定も生まれてくると思うんですよ。その中でみんなが面白いと思うネタを作っていきたい。例えばドラマの設定にしても、何が主流になっていくのか、何が当たり前になっていくのかをこれからみんなで決めていく感じ。そこはアンテナを立てて見極めていきたいなと思ってます」

――11月には追加公演を控えています。あらためてファンにメッセージを。

飯塚「『ヤな塩梅』のネタは面白いですよ。ネタ作りの期間は今までで1番長いですからね。こんなに長くやったことないくらいに仕上がっているので、できれば見に来ていただきたいですね」

角田「今回はお客さんが半分来てくれただけで救われた。来られない方は配信で見て、大丈夫になったらまた劇場に来てもらえればうれしいですね」

豊本「久しぶりの単独は『これが単独だよな』としみじみ感じてうれしかった。もちろん会場に来ていただけるのが1番うれしいですが、こういう状況ですからね。アーカイブだと家でお酒飲みながらとかまた違った感じで楽しめる。そういう楽しみ方もしていただければ」

□飯塚悟志(いいづか・さとし)1973年5月27日生まれ、千葉県出身。お笑いトリオ「東京03」のリーダー兼ツッコミ担当。キレ気味口調と激しいツッコミが持ち味。主にネタ作りも担当、日常の些細な違和感を題材にしたコントには定評がある。

□豊本明長(とよもと・あきなが)1975年6月6日生まれ、愛知県出身。お笑いトリオ「東京03」の小ボケ担当。趣味はプロレス観戦。

□角田晃広(かくた・あきひろ)1973年12月13日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「東京03」の大ボケ担当。趣味は弾き語り。

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