300万円の車「コンビニ感覚で即決」に妻あ然… 車検のたびに手痛い出費も「これ以上の車はもう出会えない」
衝動的に「これだ」と思う瞬間が、人生を変えることがある。神奈川県川崎市の40代男性経営者、Tommyさんもそんな体験をした1人だ。ネットで見つけた外国車を試乗すらせずにその場で契約。以来、修理費が数十万円かかっても手放さず、仕事に趣味に、人生をともに走り続けている。

【愛車拝見#380】魅力は「不便を楽しむ」 水害でも安全を確保した1台
衝動的に「これだ」と思う瞬間が、人生を変えることがある。神奈川県川崎市の40代男性経営者、Tommyさんもそんな体験をした1人だ。ネットで見つけた外国車を試乗すらせずにその場で契約。以来、修理費が数十万円かかっても手放さず、仕事に趣味に、人生をともに走り続けている。
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「車を購入するときって、たいていは見に行って悩んだり家族に相談したりすると思うんですけれど、私の場合はコンビニ行ってくる感覚で『ちょっと車見てくるわ』と出かけて、見た瞬間に『あ、これだ』とビビッときて決めてしまいました」
男性は愛車との出会いをこう振り返った。
趣味はキャンプ。国産のステーションワゴンに乗っていたが、キャンプ道具をそろえるうちに、「次は車だな」と思い立った。「車もキャンプ道具の1つみたいな感覚」。荷室が広く、オフロードでも走れるSUVを中心にネットで探していると、目に留まったのが、2015年式のジープラングラーアンリミテッドスポーツ(JK型)だった。走行距離は約3万キロ、ホイールもタイヤも新品に交換されていて状態は良好。「値段の割には非常にお手頃かな」と感じ、様子を見に行くことにした。
だが、その「様子を見に行く」という行為が、よもやの展開に……。車をひと目で気に入った男性は、試乗もせず、見ただけでその場で契約。価格は300万円ほどで、家に帰ると、当然ながら妻とひと悶(もん)着が待っていた。
「なんで勝手にそんな高額なもの買ってくるの」
妻自身もラングラーを「かっこいいよね」と話していたことはあったが、まさか夫が本当に買ってくるとは思っていなかった。当時所有していた車をどうするか、駐車場をどうするかも何も決まっていないまま、男性は「これを逃したら次はない」という直感だけで即決した。
衝動買いするには、高すぎる買い物。しかし、それからはこの車の実用面での恩恵を何度も実感。仕事に趣味に欠かせない相棒となっている。
中でも忘れられないのが、昨年9月の大雨の日の出来事だ。
自宅のある川崎市で、道路が広範囲に冠水。足首の上まで水が来るほどの深さで、子どもが通う小学校からの連絡を受けて徒歩でお迎えに。その後、職場へ向かう必要があったが、所有するもう1台のマツダ3は車高が低く、この水位では危険と判断。車高の高いラングラーがあったおかげで、冠水した道路も問題なく走り抜け、無事に出勤することができた。
最近の千葉や名古屋の豪雨被害で、車の冠水道路での走破性が見直されている。不測の事態に動じず、ドライバーや同乗者が安全に移動できることは、災害級の天災が珍しくなくなった今、大きなメリットになりうる。
その一つの指標となるのが、「渡河水深」だ。車が走行可能な水深を指し、一般的な車の場合、30センチほどの冠水でも危険とされる。ラングラーの渡河水深は30インチ(約76センチ)。もともとカスタムで車高が上がっており、いざという時に家族を守る存在としても力を発揮する。
「他の車が浸かっているときに、ラングラーだと車高が高いので割とその中でも走れたりする。一度助けられましたし、そういう点ではよかったと思いますね」
もちろん、趣味のアウトドアでも大活躍だ。キャンプを始めたのは、まだ小さかった娘が公園の落ち葉を踏むのも嫌がるほど自然に不慣れだったことがきっかけだった。「みんなで楽しめるキャンプがいいのでは」と考え、家族での外遊びを始めた。
行き先は静岡や山梨が多く、最も遠くは琵琶湖までキャンプに出かけたこともある。テントや寝袋、テーブルにイス、冬場はストーブや灯油など、荷物は多めだ。「不便を楽しむ」のがキャンプの本質としながらも、子どもが小さい頃は「あまり不便を感じさせないおもてなしキャンプ」を志してきた。
ラングラーは縁石があってもまったく気にせず走れる。また、雪山や雪原でも、ダイナミックな走りを披露してきた。
使い勝手のよさも魅力の一つだ。
「ラングラーはいい意味でガシガシ使えて、汚れてても格好がつく。子どもが小さいうちは扱いが荒くなりがちですが、それも気にせずストレスなく乗れる車。むしろ傷であったりとか、そういうのもなんか愛着があるというか、非常に気に入っています。乗り心地で言うと、私自身はそんなに気にならないのですが、後部座席だとちょっと座席が狭かったり割と揺れたりもします。それも含めて私はすごく好きですね」

車検のたびに「うわ、こんなにかかるのか」 訪れた廃車の危機
もともとカスタムして楽しむ文化があるラングラーらしく、男性も自身で手を加えてきた。特に役立っているのが、荷物を積むためのルーフキャリアだ。ラングラーは車体こそ大きいが、キャンプ道具を目いっぱい積むと意外と荷室に入りきらない。そこで屋根の上に荷物を載せられるようにカスタムしたことで、キャンプのギアをより多く積めるようになった。
また、チッピング塗装を施したドアバイザー(雨よけ)とドアノブカバーをDIYで装着したほか、フロントにはバグガードを装着して無骨なスタイルを強調。さらにボンネットには、ジープ仲間のデザインを参考にオーダーメイドしたオリジナルデカールを貼っている。「JW-0718-20BK」の文字にエイジング加工を施し、右側は艶消しブラック、左側は艶消しグレーと、ミリタリー調を意識したこだわりのデザインに仕上げた。
長年連れ添ってきた愛車だが、経年劣化は避けられない。直近の車検では、ABSモジュールの故障が発覚した。交換が必要だったが、男性が乗るJKタイプのラングラーは、すでに該当部品の製造が終了しており、入手が難しかった。
「もう厳しい、みたいな話になったんですね。今回はちょっと車検取れないかもしれないと」
愛車を手放すべきか……。一瞬考えたものの、答えは変わらなかった。
「他の車も見たりしたんですけど、この車がやっぱり一番いいな、乗り続けたいなってなって」
専門に受けてくれる業者を探し、ABSモジュールを修理。廃車にならずに済んだ。
トラブルは過去にもある。冬キャンプの最中にエアコンが壊れ、車内で家族全員が凍えながら帰ったこともある。フロントカメラの故障やエンジン警告灯が点いたこともあった。
車検で40万~50万円ほどの費用がかかるといい、「カスタムする金額より修理する金額のほうが、断然上回っている。車検のたびに『うわ、こんなにかかるのか』っていう感じで直しながらやってます」と苦笑いする。それでも、乗り換えるという選択肢はない。
今の新車は快適装備が充実し、タッチパネルのモニターなど便利な機能が満載だ。それでも古いラングラーに惹かれ続けるのは、そのアナログな感覚にあると男性は話す。
「キャンプにも通じる部分ですが、『不便を楽しむ』という感覚が好きなんです。言うこときかないような、そういう車も乗っていて楽しいなと思っているんです」
多少の手間がかかる愛車との付き合いもまた、日常とは違う楽しみの一部なのだという。
「見ためにほれ込んでいるというか、これ以上の車はもう出会えないなって」
現在、新車でラングラーを購入しようとすると非常に高額になることも、乗り続ける後押しになっている。
「私にとってこのラングラーは、手のかかるもう一人の子どものような存在です。時に故障し、そのたびに手をかけ、直してはまた走らせる。手がかかるからこそ、トラブルを乗り越えるたびに愛着が深まっていきます」
男性の表情に浮かんだのは、単なる移動手段ではなく、家族の思い出を積み重ねてきたラングラーへの不変の愛。「乗りつぶせるまで、この車とは付き合っていきたい」と力強く締めくくった。
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