「実物かっこよすぎ」 テスラの“運転できない車”にネット脱帽 「ハンドル付けて」まさかの要望も

運転手がいない。ハンドルもペダルもない。“人が運転できないタクシー”が、日本にやって来た。米電気自動車(EV)大手テスラは、無人タクシー専用車両「サイバーキャブ」を日本初公開した。金ピカの車体と跳ね上がる巨大なドアに、ネットでは「実物かっこよすぎ」と驚きの声。ハンドルを付けて、自分で運転したいという声まで出ている。日本でも、この車に乗って街を走る日が来るのか。

日本初公開されたテスラの無人タクシー専用車両「サイバーキャブ」【写真:平木昌宏
日本初公開されたテスラの無人タクシー専用車両「サイバーキャブ」【写真:平木昌宏

運転席までなくした異色の無人タクシー、まさかの購入希望も

 運転手がいない。ハンドルもペダルもない。“人が運転できないタクシー”が、日本にやって来た。米電気自動車(EV)大手テスラは、無人タクシー専用車両「サイバーキャブ」を日本初公開した。金ピカの車体と跳ね上がる巨大なドアに、ネットでは「実物かっこよすぎ」と驚きの声。ハンドルを付けて、自分で運転したいという声まで出ている。日本でも、この車に乗って街を走る日が来るのか。(取材・文=平木昌宏)

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 運転は車に任せ、人は乗るだけ。そのために運転席ごとなくしてしまったのが、サイバーキャブだ。テスラの自動運転配車サービス「ロボタクシー」のために、ゼロから設計された専用車両である。米国では「モデルY」を使ったサービスが先行し、サイバーキャブもテキサス州オースティンの一部地域で乗車サービスに導入されている。

 今月11日、東京・青山で行われたお披露目イベント。左右のバタフライドアを開くと、金色の車体がさらに大きく見える。ネット上では「実物かっこよすぎ」「バタフライドア、でかいなーーー」といった驚きが広がった。

 ドアの向こうにあるのは、ベンチ型の2人掛けシートと20.5インチの大型タッチスクリーン。ハンドルがあるはずの場所は空いていて、足元にもペダルはない。左に座っても右に座っても、乗客だ。

 その姿には「ザ・SFって感じ」との反応も。面白いのは、SNSを中心に「ハンドル付けて」と、2人乗りの市販車として売ってほしいという要望まで出ていることだ。金色以外での販売を望む声もあり、無人タクシーのはずが、自分で運転したいという人まで現れた。

 ただ、購入を考えた人には残念なお知らせがある。サイバーキャブの日本での販売予定はない。それどころか、日本で実際に乗れる日程もまだ決まっていない。今回の展示も、販売や予約を受け付けるものではないという。

金ピカの車体に跳ね上がる巨大なドア。「サイバーキャブ」の大胆なデザイン【写真:平木昌宏】
金ピカの車体に跳ね上がる巨大なドア。「サイバーキャブ」の大胆なデザイン【写真:平木昌宏】

タクシーなのにカラオケまで? 2人だけの車内で何ができる

 それにしても、タクシーで2人乗りは少なくないか。ネットでも「定員2名ですか、うーん」と戸惑う人もいれば、「全然2シーターでいいです」と歓迎する人もいる。

 こうした乗車定員の疑問に会見で答えたのが、テスラジャパンの橋本理智社長だ。同社によれば、配車サービスの利用は8割以上が2人以下。大勢を乗せる機会より、実際によく使われる人数に合わせた設計だと説明した。

 少人数でも、荷物は積める。トランクは572リットルで、車椅子や補助器具などの収納を想定している。シートの座面は標準的な車椅子と同程度の高さにそろえ、左右の席の間を仕切るセンタートンネルもなくした。車椅子から移り、横へずれて座りやすくするためだ。非常用のドア開放レバーと頭上の停止ボタンには点字も入っている。

 移動中は“自分だけの空間”にカスタマイズできるのも特長の一つだ。動画や音楽、ゲーム、カラオケまで楽しめる。空調やシートの操作もタッチスクリーンで行う。空調やメディアなどの設定は乗客プロフィールに記録され、別の車両に乗った際にも引き継がれるという。

親の運転が心配…無人タクシーに期待 日本導入へ残る課題

「両親が運転してるのとかそろそろ不安」

 高齢化が進む日本では、免許返納後の移動手段をどう確保するかも課題だ。車を手放しても、通院や買い物は続く。自分で運転せずに出かけられるなら、親にも使ってもらえるのではないか。SNSでは、過疎地に住む親の通院や買い物に使いたいという要望も寄せられている。

 高齢者の移動は、会見でも話題になった。橋本氏が将来像として挙げたのは、機械の操作が難しい高齢者でも、「何丁目の何々さん家に連れてって」と話しかければ、目的地へ行って帰って来ることができるという使い方だ。実現性はまだ不明と断ったうえで、人々の身近で助けになる存在を目指す考えを示した。

 では、日本で乗れるのはいつなのか。ロボタクシーの国内での提供予定や開始時期は、まだ決まっていない。会見では、導入時期が未定の車を、なぜ費用をかけて日本へ持ち込むのかという質問も出た。橋本氏は、ニュースや映像だけでなく、実物を通じて「テスラの技術を身近に感じてもらいたい」と説明した。

 日本でまず進めたいのが、一般のテスラ車向けの「FSD(フルセルフドライビング)」だという。同社は2025年8月から国内の公道でテスト走行を続け、2026年内の市販車への実装を目標に掲げる。橋本氏は、法規制と自社の安全基準の両方を満たす必要があるとし、「急いで安全を落とすつもりはない」と強調した。

 ただし、一般車向けの「FSD(Supervised)」は、運転者の常時監督が必要な運転支援機能だ。これが導入されても、すぐに無人タクシーが走り出すわけではない。橋本氏は、狭い道など日本の道路事情への対応や、法令への対応、タクシー会社との協業を含む運営体制の検討も課題として挙げた。

 ハンドルを握れない車で事故が起きたらどうするのか。テスラによると、車両が事故を検知するとサポートチームとの通信が始まり、車内のマイクとスピーカーを通じて乗員と連絡する仕組みだ。乗員からも車内画面やアプリで連絡できるという。

 テスラを率いるイーロン・マスク氏は2024年10月の発表イベント「We, Robot」で、自動運転車を多くの人で利用することで、駐車場を公園に変えられるという構想まで語っていた。

 日本で始まった展示ツアーは、青山で14日まで。その後は大阪17~20日、名古屋22~23日、新宿26~28日と巡る。入場無料、予約不要だが、乗車や試乗はできない。“自動運転の未来”はどこまで進んでいくのか。目が離せない。

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