6000万円物件が利息だけで4000万円弱…金利3%は「十分あり得る」 変動金利に専門家警鐘、固定切り替えのリミットは

今月1日、長期金利の代表的な指標である新規国債の利回りが上昇、1996年以来、30年ぶりに3%の大台を突破した。日銀の植田和男総裁は同日、今後の政策金利引き上げについて、必要なら「利上げペースを速める」と強調。金利急上昇を受け、住宅ローンは今後どうなっていくのか。住宅ローンの金利相談を専門に扱うFBモーゲージ株式会社代表の根石高宏氏に、「金利のある世界」の展望を聞いた。

金利急上昇で住宅ローンはどうなる?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
金利急上昇で住宅ローンはどうなる?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

長期金利の代表的な指標である新規国債の利回りが30年ぶりに3%の大台を突破

 今月1日、長期金利の代表的な指標である新規国債の利回りが上昇、1996年以来、30年ぶりに3%の大台を突破した。日銀の植田和男総裁は同日、今後の政策金利引き上げについて、必要なら「利上げペースを速める」と強調。金利急上昇を受け、住宅ローンは今後どうなっていくのか。住宅ローンの金利相談を専門に扱うFBモーゲージ株式会社代表の根石高宏氏に、「金利のある世界」の展望を聞いた。

 日銀は今年6月、政策金利を0.75%から1%に引き上げ。今月1日には、植田総裁が次回17日、18日の金融政策決定会合で政策金利を現在の1%程度から1.25%程度とする案を軸に検討する意向を表明した。今後は必要に応じて利上げペースを加速していく可能性も示唆しており、政策金利と連動する住宅ローンの変動金利を巡って、動揺が広がっている。根石氏は「金利のない時代は終わり、これからは金利があるのが当たり前の世界になっていくでしょう」と今後の展開を語る。

「これまでは家を買うとき、金利が動かないから、借りられる額で(ローンを)組めばいいという時代でした。これからは『借りられる額』ではなく、『返せる額』に焦点を置いて住宅ローンを設計する時代になっていく。超低金利の時代には変動金利を選ぶ人が多数派でしたが、今後の利上げ局面で思わぬ落とし穴が待っているかもしれません」

 そもそも、なぜ日本では長らく超低金利の時代が続いてきたのか。根石氏は「(金利を)上げたくても上げられなかったというのが実際のところ」と背景を説明する。

「金利と景気は密接に関係しています。バブル崩壊後、金融危機やリーマン・ショック、東日本大震災にコロナ禍など、国としても予期せぬ出来事が重なり、なかなか利上げに踏み切れなかった。アベノミクスの影響などもあり、2024年3月から、ようやく利上げできる土壌が整ってきた。金利上昇ではなく、異常な低金利から本来の水準に戻りつつあるという感覚で捉えるべきです」

 今後、金利はどこまで上昇するのか。「半年で0.25%のペースは既定路線。2年後に2%、5年後に3%台も十分にあり得る水準です」と根石氏。一部の住宅ローン金利推移予測では15年後に7%という試算も出ているが、現状、住宅ローンの審査金利が各行3~4.5%台に設定されていることから、「4%が一つの目安にはなると思う。5年後3%、10年後4%でも払えるかを念頭にローンを組むことが大事」との見方を示す。

 6000万円の物件を35年ローン、利率3%で計算すると、月々の返済額は約23万円。返済総額は1億円弱まで跳ね上がる。金利3~4%の世界では、35年ローンで物件購入額の約1.5~2倍近い返済額が必要となる計算だ。

FBモーゲージ株式会社の根石高宏代表【写真:FBモーゲージ株式会社提供】
FBモーゲージ株式会社の根石高宏代表【写真:FBモーゲージ株式会社提供】

「5年ルール」や「125%ルール」が返済の足かせになる可能性も

 住宅ローン業界では、金利変動に伴う返済負担の急増を抑えるため、返済額が5年間変わらない「5年ルール」や、6年目以降の返済額上昇を1.25倍までに抑える「125%ルール」などが設けられている。一見、借り手を守る制度に見えるが、根石氏はこの「5年ルール」や「125%ルール」が返済の大きな足かせになる可能性を指摘する。

「ちゃんと理解していない人が多いのですが、5年ルールや125%ルールは返済額の急上昇を先送りしているだけで、利息そのものは金利上昇分がそのまま反映されています。言い換えれば、利息は増えていながら、返せる上限が決まっているということ。返済額に占める利息の割合が増えれば、元金はいつまでたっても減りません。現在の半年0.25%の金利上昇ペースでも、9年目、10年目には利息だけで返済額を上回り、元金は減らず、未払い利息だけが募っていくということも起こり得るのです」

 反面、固定金利であれば完済までの返済額は最初から確定。根石氏自身、過去3回の住宅購入ではいずれもフラット35(固定金利)を選んでいるという。今ローンを組み、固定と変動で返済額が逆転するタイミングは「5年後、金利3.5%が一つの基準になる」と根石氏。この先、あえて変動金利を選択するメリットはあるのだろうか。

「固定金利の方が当初の返済額は高くなるので、変動金利を選び、その差額を資産運用に回してリスク分散するという考え方はあります。また、南海トラフ地震など予期せぬ事態が起こればまた金利が下がるということもないわけではない。いずれにせよ、変動金利を選んだ以上は金利上昇に備えておくことが必要です。逆に言えば、金利や経済の動向に詳しくない人ほど、固定金利を選んだ方が堅実。もし、変動金利から固定金利への借り換えを検討しているのであれば、行動は早い方がいい。(リミットは)年内か、遅くとも来年の頭までというところでしょう」

 約30年続く低金利時代を経験した日本人にとって、金利が動く感覚をつかむのは容易ではない。根石氏が「金利は結果論。損得は完済して初めて分かるもの」というように、どちらの選択が絶対に正しいということもない。だからこそ、変動か固定かを漫然と選ぶのではなく、自らの返済計画とリスク許容度、最悪の事態までを想定し判断する姿勢が、これまで以上に求められている。

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