『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO』主人公に見る“初代”との対比 シリーズの歴史から受け継ぐものとは
「ガンダム」シリーズの新作アニメ『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO(アレックスゼロ)』が現地時間7月23日、米国で開催されたサンディエゴ・コミコン(SDCC)の「ガンダム」シリーズのパネルイベントで発表された。

ゲームと連動する「RGプロジェクト」の起点に
「ガンダム」シリーズの新作アニメ『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO(アレックスゼロ)』が現地時間7月23日、米国で開催されたサンディエゴ・コミコン(SDCC)の「ガンダム」シリーズのパネルイベントで発表された。
日本時間の7月24日午前3時には、公式YouTubeチャンネル「ガンダムチャンネル」でも全世界同時配信の特別番組が行われ、ティザーPVや作品情報が解禁。放送・配信の開始時期や媒体は明かされていないものの、2027年からの展開が予告されている。
国内のイベントではなくSDCCを発表の舞台に選び、深夜帯の配信で世界同時に情報を届けたことからも、本作がグローバルな展開を強く意識した企画であることがうかがえる。
監督・シリーズ構成を務めるのは、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『東のエデン』などの神山健治氏。SF設定監修には作家の円城塔氏、ガンダムデザインには清水栄一氏が名を連ねる。主人公アズミ・レイを演じるのは大塚剛央だ。
清水氏は、下口智裕氏とのコンビで漫画『鉄のラインバレル』『ULTRAMAN』などを手がけてきた。神山監督も荒牧伸志氏とともにNetflixシリーズ『ULTRAMAN』の監督を務めており、本作で再び顔を合わせることになる。公開されたガンダムZEROのデザインに、『鉄のラインバレル』や『ULTRAMAN』を思わせる鋭さを感じた人がいたとしても、不思議ではないだろう。
本作は、アニメとゲームを通じて一つの歴史を描く「RGプロジェクト」の起点に位置づけられている。対になるのは、現地時間2026年6月5日の「Summer Game Fest 2026」で先行発表されたハイスピードアクションゲーム『GUNDAM ROGUE ORBIT』だ。PS5、Xbox Series X|S、PC(Steam)向けに、こちらも2027年の発売が予定されている。
アニメの舞台はゲームの約100年前。両作品は同じ世界観と歴史を共有しながら、異なる時代と立場から物語を描く。ゲーム側の主人公は、ガンダムヘリックスのパイロット「レクス」。相棒のハロ「ヴィー」とともに、未知の敵がもたらす脅威へ立ち向かう。
アニメ側で発表された情報のなかでも、ひときわ目を引いたのが主人公の名前だろう。
——アズミ・レイ。
「ガンダム」の主人公で「レイ」と聞けば、多くの人が『機動戦士ガンダム』の主人公であるアムロ・レイを思い浮かべるのではないだろうか。しかし、現在公開されている設定を見る限り、アズミは単純な“新たなアムロ”として作られた主人公ではなさそうだ。
アズミ・レイの英語表記は「Ray Azumi」。一方、アムロ・レイは「Amuro Ray」と表記される。英語圏の一般的な名前の並びに沿って読めば、アズミでは「Ray」が名、アムロでは「Ray」が姓に当たる。カタカナでは同じ位置に置かれた「レイ」が、英語表記では逆の役割を担っていることになる。
二人を取り巻く状況も対照的だ。アムロは、それまで送っていた日常から戦争へ巻き込まれ、偶然ガンダムに乗り込んだ。一方、アズミはアポカリプスの襲撃によって両親を失った戦災孤児であり、ガンダムZEROの専任パイロットとされている。機体もまた、アポカリプスに対抗するための最新鋭実験機だ。
もう一つ注目したいのは、アズミが地球で暮らしたことのない世代だと考えられる点である。
物語の舞台はA.A.45年。公式イントロダクションでは、月面やコロニーで生まれた子どもたちが、アポカリプスの存在を日常として暮らすようになった時代だと説明されている。彼らにとって地球は、自分たちが追われた故郷ではなく、前の世代が失った場所とも考えられる。
アズミは、一度も暮らしたことのない地球のために戦うのか。それとも、両親を奪ったアポカリプスへの個人的な思いからガンダムに乗るのか。あるいは、現在暮らしている月やコロニーを守るために戦うのだろうか。
近年の「ガンダム」は、作品ごとに異なる舞台と“戦う理由”を用意し、新たな視聴者へと間口を広げてきた。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は、学園と企業を舞台にテレビシリーズ初の女性主人公を立て、宇宙世紀の知識がなくても楽しめる物語を提示した。本作について、小形尚弘プロデューサーは2024年のインタビューで、シリーズ全体では9対1ほどだったファンの男女比が本作では7対3ほどになり、新規ファンの半数ほどを若者が占めたと語っている。
一方、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』は、大胆なIF設定とともに初代『機動戦士ガンダム』の記憶へ深く踏み込む物語で注目を集めた。新たな層へ間口を広げた『水星の魔女』と、シリーズの歴史を大胆に組み替えた『GQuuuuuuX』。近年の二作は、異なる方向から「ガンダム」の可能性を広げ、注目を集めてきた。
まだ情報は少ないものの『XARX-ZERO』は、そのどちらとも異なる道を選ぼうとしているのではないだろうか。物語の前面に置かれているのは、学園や決闘ではなく、人類の宇宙進出、未知の生命体、失われた地球という硬派なSF設定だ。神山氏、円城氏、清水氏らが名を連ねるスタッフの座組からも、SFとしての世界観を正面から押し出そうとする姿勢がうかがえる。
『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO』は、シリーズの歴史から何を受け継ぎ、どこから新たな道へ踏み出すのか。約100年後を描くゲームへ何が受け渡されるのかも含め、続報を待ちたい。
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