芸能一家に生まれた中山脩悟、二世は「言う必要も隠す必要もない」 明かしたスタンスと家族への思い
俳優の中山脩悟(23)が、舞台『あゝ同期の桜』で初舞台にして初主演を務める。タレント・中山秀征と元宝塚歌劇団星組トップ娘役・白城あやかの次男。小学時代から10年間、野球に打ち込み、大学では投手として最速141キロを記録した。プロを目指した野球少年は、なぜ俳優の道を選んだのか。戦争に翻弄された若者を演じる覚悟、父に進路を打ち明けた夜、「二世」と呼ばれることへの思いを聞いた。

初舞台『あゝ同期の桜』で初主演
俳優の中山脩悟(23)が、舞台『あゝ同期の桜』で初舞台にして初主演を務める。タレント・中山秀征と元宝塚歌劇団星組トップ娘役・白城あやかの次男。小学時代から10年間、野球に打ち込み、大学では投手として最速141キロを記録した。プロを目指した野球少年は、なぜ俳優の道を選んだのか。戦争に翻弄された若者を演じる覚悟、父に進路を打ち明けた夜、「二世」と呼ばれることへの思いを聞いた。(取材・文=平辻哲也)
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取材時点では、本格的な稽古に入る前だった。それでも、せりふはほぼ全て頭に入っていた。
「心配性すぎて、とりあえず全部入れました。稽古場では、皆さんとのお芝居に集中できればと思っています」
初舞台で初主演。重圧がないはずはないが、現在の心境を尋ねると、「ワクワクの方が大きい」と即答した。
「もちろん不安もあります。そのために準備をしてきました。これからは皆さんとセッションする中で生まれるものを感じたい。僕はお芝居をすることが好きなので、その楽しさを味わっていけたらと思っています」
舞台の原作は、海軍飛行予備学生十四期会による遺稿集『あゝ同期の桜 帰らざる青春手記』。学徒動員で海軍航空隊に入り、特攻という過酷な運命に直面した若者たちを描く。中山は西洋史を学ぶ官立大学生・諸木文晴を演じる。
役と向き合うため、2月末には鹿児島・知覧を訪れた。知覧特攻平和会館で語り部の話を聞き、隊員たちが出撃前の日々を過ごした三角兵舎にも入った。
「特攻隊員と一くくりにされますけど、本当は一人一人に人生がある。いろいろな人の人生を聞いて、少しでも自分に吸収できるものがあればと思いました」
展示された手紙を読み、隊員たちの写真を見た。強く印象に残ったのは、その表情だった。
「みんな、すごく笑顔なんです。自分たちは帰ってこないから、家族に残す写真では最高の笑顔を見せようとしたんだと思います。実際にその場所へ行ったからこそ、感じ取れたものがありました」
伝えたいのは、戦争の悲惨さだけではない。
「ただ悲しい事実としてではなく、特攻隊員たちが仲間と一緒に過ごした時間があったことを伝えたい。今の時代の私たちと変わらない青春があったんだということを、皆さんに感じていただけたらと思います」
諸木は当初、周囲が戦っているという理由だけでは、自分の命を差し出す意味を見いだせない。しかし、仲間と時間を過ごす中で、自分なりの目的を定め、出撃を決意する。
「諸木は、目的意識を持たないと動けない人間です。僕も日々、『なぜ、これをやるんだろう』と考えるようにしています。そこは重なる部分でした」
中山は小学時代から大学まで野球を続けた。投手としてプロを目指し、大学進学時には「1年で145キロ、2年で147キロ、3、4年で150キロ」という目標を立てていた。
最速は141キロ。最初に掲げた145キロには届かず、自分で決めた基準に従って野球に区切りをつけた。
「普通なら『141キロまで出たんだからいいじゃないか』と思うかもしれません。でも、自分の中では最低限そこを超えなければ、次のステップには行けないというけじめでした。新しい夢もできていたので、後悔はありません」

幼い頃からあった「俳優」への思い
現在の仕事にもつながっているのが、高校時代の監督から教わった「先見・逆算・準備」という言葉だ。
「先を見て、何をしなければいけないかを考え、逆算して準備する。1日の予定も、『今日はこれを絶対にやらなければいけないから、何時にはこれをやろう』と考えます。準備不足にはなりたくないんです」
俳優への思いは、幼い頃から心のどこかにあった。休日に遊びに行く場所は父の仕事現場。小学5年の頃には、母が出演するミュージカル『エリザベート』を見た。
「めちゃくちゃ格好いいと思いました。小学校1年生ぐらいの頃から、生意気ですけれど、『いつか自分もこの世界にいるのかもしれない』という感覚はなんとなくありました」
大学入学後、俳優として活動する兄のインタビューを見て、気持ちが大きく動いた。それでも、すぐには家族に話さなかった。野球をやめていいのか、本当に芝居をやりたいのか。約2か月、自分に問い続けた。
「やるんだったら、今から毎日映画を見られるか。そういう自分へのテストをしていました」
覚悟が固まった12月、父と2人でもつ鍋を食べに行った。
「唐突に『俺、やりたいんだよね』と言いました。そうしたら、父は『いつか、そういう日が来ると思っていたよ。お前も』と言ってくれました」
父は挑戦を否定しなかった。一方で、芸能界が甘い世界ではないことも繰り返し伝えた。
「芝居を始めると、『こういう時はどう立ち回ればいいんだろう』という悩みも出てきました。その時々に合った言葉をかけてくれる。同じ世界で生きてきた父親と母親の存在は、自分にとってすごく大切です」
芸能一家に生まれ、「二世」と呼ばれることについても気負いはない。
「わざわざ自分から言う必要もないですし、隠す必要もないというのが僕のスタンスです。二世であろうと何であろうと、僕は中山脩悟です」
家族をきっかけに知る人もいれば、出演作を通して知る人もいる。その入り口に優劣はないと考えている。
「父親や母親、兄から入って僕を知ってもらうこともある。それも僕のバックグラウンドで、自分を形作っているものの一つです。どういう形でも、知っていただけたならよかったと思います」
俳優として影響を受けた先輩に、ドラマ『GIFT』で共演した山田裕貴を挙げる。中山にとって、せりふのある本格的な場面はほぼ初めて。山田に意見をぶつけるシーンを前に、緊張で心臓が激しく鳴っていた。
「山田さんが近くに来て、『大丈夫か。お前のこの役は脩悟にしかできない。脩悟がいれば、この役になるから』と言ってくださいました。それですごく心が楽になりました」
その言葉は、今回の舞台にもつながっている。
「自分が演じるからこそ、自分の諸木になる。山田さんのお芝居を見ていると、何もしゃべっていない顔が芝居になっている。何もしゃべらなくても、見ている側が何かを感じられる。そういう役者になりたいです」
芝居だけで戦争や犯罪をなくせるとは考えていない。それでも、作品を見た人の心に何かを残すことはできる。
「見た人が何かを感じて、『この歴史は良くなかったよね』『こういうことはしてはいけないよね』と思ってくれるかもしれない。少しでも多くの人の心に引っ掛かるものを残せたら、役者としてうれしいです」
□中山脩悟(なかやま・しゅうご)2003年7月8日、東京都生まれ。ワタナベエンターテインメント所属。身長179センチ。ドラマ『ストロボ・エッジ Season1』『The Boy Next World ~並行世界の恋人~』『GIFT』などに出演。野球歴10年で、投手として最速141キロ。特技は水泳、ウエートトレーニング、ピアノ。
舞台『あゝ同期の桜』公演概要
原作:榎本滋民(海軍飛行予備学生十四期会による遺稿集『あゝ同期の桜 帰らざる青春手記』に基づく)
脚本:上田浩寛
演出:錦織一清
オープニング振付:パパイヤ鈴木
【東京公演】
日程:2026年8月13日(木)~8月17日(月)
場所:三越劇場(東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店 6F)
【木更津公演】
日程:2026年8月22日(土)
場所:かずさアカデミアホール(千葉県木更津市かずさ鎌足2-3-9)
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