「妻の生まれ変わり」保険金と全貯金をつぎ込み和製スーパーカー購入…60代オーナーがかなえた40年越しの夢
亡き妻の命日を刻んだナンバー、助手席に掛けた似顔絵入りTシャツ――。60代の会社員男性が大切に乗るのは、1974年式の日産・フェアレディZ(S30)だ。大学生時代に一度は購入を断念したが、妻との死別を経て、3年前に約40年越しの夢をかなえた。貯金をほぼ使い切り、専用ガレージまで新設。かつて妻に止められた車を、なぜ今「妻の生まれ変わり」と呼ぶのか。1台に込められた物語を聞いた。

【愛車拝見#374】結婚を機に購入断念 妻との死別後に思い出した若き日の夢
亡き妻の命日を刻んだナンバー、助手席に掛けた似顔絵入りTシャツ――。60代の会社員男性が大切に乗るのは、1974年式の日産・フェアレディZ(S30)だ。大学生時代に一度は購入を断念したが、妻との死別を経て、3年前に約40年越しの夢をかなえた。貯金をほぼ使い切り、専用ガレージまで新設。かつて妻に止められた車を、なぜ今「妻の生まれ変わり」と呼ぶのか。1台に込められた物語を聞いた。
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「程度極上。初めて見た時はすげえ車だなって」
6月7日、東京・武蔵村山市で開催された「プリンスの丘 自動車ショウ」。往年の日産車が並ぶ会場で、きれいな状態を保つ白いフェアレディZが目を引いた。
新車時からの整備記録が残り、大がかりなレストアを受けていない希少な1台だ。群馬県で初登録された後、約20年間は軽井沢の車庫に眠っていたという。長年にわたってガレージで保管されてきたため、塗装の状態も良好だ。
男性がこの車を手に入れたのは3年前。フェアレディZへの思いは、大学生時代にさかのぼる。
「大学の時に欲しかったんです。でも、ちょうど結婚の話になって。結婚するのに、こんなスポーツカーに乗っている場合じゃないと妻から怒られて断念しました」
それから約40年。妻との死別を経験し、子どもも独立した。これから一人でどう過ごそうかと考えた時、若い頃に憧れたフェアレディZを思い出した。
妻が残してくれた保険金を元手に、自身の貯金も全て使って購入を決意。インターネットで見つけた車両を見に行き、前オーナーから譲り受けた。
ナンバーは妻の命日に合わせた。助手席には妻の似顔絵をプリントしたTシャツを掛け、リアのサイドウインドーにも同じイラストのステッカーを貼っている。

「この車は妻の生まれ変わりなんです。どこかに行く時は、必ず一緒にドライブしているつもりです。思っている限りは、一緒にいるような感じなので寂しくないですね」
購入当初は、屋外でカバーを掛けて保管すればいいと考えていた。だが、状態の良い旧車を雨風にさらすわけにはいかない。オーナーは「さすがに、それをやったら妻に怒られるなと思って。申し訳ないので、買った後にガレージも作りました」と笑顔で語った。
旧車ならではの苦労もあった。名古屋で行われたトヨタ博物館のクラシックカーイベントに自走で参加した際、パレードを終えて所定の位置に戻った直後にオーバーヒートした。
「周りの人がざわざわしていて、『漏れてる、漏れてる』と。見たら、湯気が上がって、緑色の冷却水が漏れていました。レッカー確実だと思いましたね」
幸い、パレードの途中ではなかった。その後はエンジンを降ろして内部を洗浄し、ラジエーター周りも整備。現在は水温も安定しているという。
前オーナーからは、2週間に1回程度は動かすように言われている。イベントの合間にも、近所を30~40キロほど走り、状態を維持している。オーナーは「これからもずっと維持して、改造しないでオリジナルの状態を守っていきたいです。いろいろな場所に行ければいいですね」と声を弾ませた。
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