63歳・唐沢寿明、若作りをしない理由「だって、みじめじゃない」 “老い”への本音「ちゃんと大人にならないと」
俳優の唐沢寿明がディズニー&ピクサーによるアニメーション映画『トイ・ストーリー5』(公開中)で、日本版声優としてウッディ役を務めている。1996年のシリーズ1作目の日本公開以来、長きにわたってウッディに声を吹き込んできた唐沢。今なお愛され続ける作品への思い、ウッディの魅力、そして今作で描かれる“時間の流れ”について語った。

『トイ・ストーリー5』で日本版声優…ウッディへの思い「一番人間らしい」
俳優の唐沢寿明がディズニー&ピクサーによるアニメーション映画『トイ・ストーリー5』(公開中)で、日本版声優としてウッディ役を務めている。1996年のシリーズ1作目の日本公開以来、長きにわたってウッディに声を吹き込んできた唐沢。今なお愛され続ける作品への思い、ウッディの魅力、そして今作で描かれる“時間の流れ”について語った。(取材・文=猪俣創平)
本作はおもちゃたちの世界を舞台に、おもちゃと人間の絆を描いてきた人気シリーズの最新作。公開3日間で興行収入24億円を突破し、洋画作品のオープニング成績として歴代No.1の好スタートを切った。1作目から30年、前作『トイ・ストーリー4』からは7年を経ての続編とあって、唐沢は「もう終わったかと思いましたよ(笑)」と率直な思いを打ち明ける。
「とにかく間が空くので、忘れちゃうんですよね。1回見返してみて、自分の中で思い出しながら今回もやりました。だって、『トイ・ストーリー』が30年前なので、そんなに細かく覚えてないんですよ。でも、その時に子どもだった人がもう親になってる可能性もあるわけで、すごいシリーズだと思いますよ。ピクサーの中でもこんなに長く続くものはないんじゃないですか」
カウボーイ人形・ウッディの声を演じる上で、大切にしているのは「一生懸命やること」。「最初は勝手が分からないから必死でしたけどね。さすがに徐々に慣れてはきました」と明かし、長い時間をかけて少しずつウッディとの距離感も変わってきたようだ。
そんな唐沢から見たウッディの魅力を尋ねると、「一番人間らしい」と表現した。
「1作目でバズ・ライトイヤーが家に来て、(持ち主の)アンディのお気に入りになった時、あの嫉妬の仕方は半端じゃなかったですからね。子どもにもそういう部分はあるだろうし、大人でもあるのかな。そういうことはしちゃダメだよ、仲良くしなきゃいけないよっていうテーマがディズニー&ピクサーにもあるじゃないですか。正直だし、人間らしいキャラクターですよね」
最新作の感想を「いろいろ原点回帰したのかなという感じで面白かったです」と明かし、「もともとおもちゃと人間との関わりがあったところ、『トイ・ストーリー4』ではおもちゃたちの話にフォーカスされていたので、今回のように子どもとの関係があるのがいいのかな」と見どころを挙げた。
大人になればなるほど響く「トイ・ストーリー」シリーズ。その魅力について、唐沢はおもちゃたちの喜びや悲しみに目を向ける。
「おもちゃでも出会いと別れがあったり、人間の世界と同じようなストーリーを入れてるのかな。あとは愛されてたのに捨てられたとか。おもちゃの側に立つと、やっぱりそれは悲しいことだろうから、そういう部分が人間社会とうまくリンクしてるんじゃないですか」

ウッディの見た目にも変化「お腹に関しては…」
出会いと別れは、おもちゃだけでなく人間にとっても避けては通れないもの。唐沢自身も「女の子にも相当振られたからね」とあっけらかんと笑い、「いちいち悲しんでもいられないから次に行こう、みたいな感じじゃないかな。自分から告白するタイプだったので、そりゃ振られりゃへこみますよ。ショックはショックですよね。でも全部が全部、自分の思い通りにはならないし、いつまでも引きずってられないですからね」と振り返る。
本作では、少女・ボニーの成長を見守るジェシーたちの前に、最先端タブレットの新キャラクター・リリーパッドが登場。子どもとおもちゃを取り巻く変化が描かれる一方、ぽっこりとしたお腹や塗装が薄れた頭部など、ウッディの姿にも“時間の流れ”がにじんでいる。
「あれは(USオリジナル版声優の)トム・ハンクスさんのインタビューを見ると、ウッディは帽子の着脱を長年続けていて、それで擦れたんだと。お腹に関しては、経年劣化で綿が下に垂れてきたんだと言っていましたね」
ユーモアも交えて描かれる“老い”の表現。では、俳優生活45年を超え、今年6月には63歳を迎えた唐沢自身は、年齢を重ねることをどう受け止めているのか。飾らない言葉で、ひょうひょうと持論を展開した。
「こんなもんだろうと思っていますよ(笑)。だって、しょうがないじゃない。筋トレはしていますけど、特別な若作りとかはしていないです。だって、みじめじゃない。そんな60過ぎてさ、『この人、若作りしてんな』と思われるなんて最悪じゃない。ちゃんと大人にならないとね。だから僕らの世代は、子どもの時に『早く大人になりたい』ってみんなが思っていたから。今の人は『大人になりたくない』って人が多いでしょ? いつまでたっても若くいようとか、無理だから」
軽妙な語り口の中にも、長いキャリアに裏打ちされた実感がにじむ。時を重ねることは、失うことだけではない。唐沢の言葉は、歳月を経たからこそ見えてくる出会いや別れ、絆といった本作のテーマと静かに響き合っていた。
□唐沢寿明(からさわ・としあき)1963年6月3日、東京都出身。80年から自主公演などを行い、87年に舞台『ボーイズレビュー・ステイゴールド』で本格デビュー。その後も舞台やドラマ、映画などで活躍。主な出演作は、ドラマではフジテレビ系『愛という名のもとに』(92年)、NHK大河ドラマ『利家とまつ』(2002年)、フジテレビ系『白い巨塔』(03~04年)、テレビ朝日系『プライベートバンカー』(25年)、テレビ東京系『コーチ』(25年)など多数。映画では『高校教師』(93年)、『20世紀少年』シリーズ3部作(2008~09年)、『九十歳。何がめでたい』(24年)、『ミステリー・アリーナ』(26年)ほか。
○衣装クレジット
・ジャケット:7万1500円
・ベスト:4万4000円
・シャツ:3万9600円
・パンツ:3万9600円
すべてsuzuki takayuki(スズキ タカユキ)
tel.03-6419-7680
○スタイリスト
勝見宜人(Koa Hole inc.)
猪俣創平
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