Ado、日産スタジアム公演で体現した“生きざま” 涙ながらに語った葛藤と覚悟「多くの人の人生の脇役に」
歌い手のAdoが7月4日と5日に、神奈川・日産スタジアムで『Ado STADIUM LIVE 2026「Ao」』を開催した。『Ao』というタイトル通り、そこには“歌い手・Ado”の華やかさだけでなく、葛藤や孤独を抱えながら歌い続けてきた“Ao”の姿があった。本記事では、その初日となった4日公演の模様をレポートする。

2日間で約14万人を動員、『Ado STADIUM LIVE 2026「Ao」』を開催
歌い手のAdoが7月4日と5日に、神奈川・日産スタジアムで『Ado STADIUM LIVE 2026「Ao」』を開催した。『Ao』というタイトル通り、そこには“歌い手・Ado”の華やかさだけでなく、葛藤や孤独を抱えながら歌い続けてきた“Ao”の姿があった。本記事では、その初日となった4日公演の模様をレポートする。
約7万人(2日トータルで約14万人を動員)が開演を待ちわびる中、オープニングアクトとして、Adoがプロデュースするレトロホラーをコンセプトに活動するアイドル・ファントムシータが登場した。『ホラークイーン』や『ゾクゾク』など全7曲を披露。パフォーマンス中に見せる表情や独特なダンスで、その唯一無二な世界観を表現してみせた。
日産スタジアムという大舞台。この日が3度目のオープニングアクトとなった4人は、MCで「前座という立場をお借りして、皆さんにパフォーマンスを披露することができて、本当にうれしかったです」と感謝。会場の期待感を高め、Adoのステージへとつなげた。
野外ライブならではの水と炎のド派手な演出
定刻を迎え、ステージにはスモークが立ち込める。幕が開き、スクリーンにはオープニングムービーが流れ始めた。青い部屋でパソコンに向かうAdoの姿だ。ステージ上には、映像と同じく青い部屋を思わせるセットが両脇に配され、中央にはおなじみのボックスが設置されている。
Adoが現れると、地鳴りのような大歓声が巻き起こる。『0』で勢いよくライブの幕を開けた。代表曲『うっせぇわ』では、屋外ならではの水幕演出がステージを彩る。『レディメイド』『ギラギラ』では、生バンドのサウンドが心地よく響き渡った。
映画『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌『逆光』では、再び水幕演出でステージを盛り上げる。『綺羅』『エンゼルシーク』とロックサウンドをたたみかけていった。さらに『ラッキー・ブルート』では、地面に寝転びながらも力強く熱唱した。
『ルル』では、シャウトを織り交ぜる。続く『アイ・アイ・ア』では、退廃的なサーカスを思わせる映像が流れ、不穏な空気を醸し出す。『Tot Musica』では、歌い出しから火柱が上がり、楽曲の持つ禍々しさを際立たせた。ラストでは、Adoが床に倒れ、マイクには「ドンッ」とその音を生々しく拾うなど、3曲続けて、Adoが持つダークな世界を濃密に描き出した。

オーケストラバックで見せた荘厳な世界観、MCで語った感謝
ステージがせり上がると、中からはオーケストラが登場した。会場がざわめく中、『私は最強』をオーケストラが奏でる荘厳な音色とともに披露。客席のペンライトも虹色に輝く。バンドサウンドと重なり、重厚感のあるサウンドが鳴り響いた。
その後もオーケストラをバックに『春に舞う』『永遠のあくる日』とエモーショナルなバラードソングを続ける。『風のゆくえ』の曲中では、楽器隊の演奏が止まり、ペンライトの光も消え、静寂に包まれたスタジアムにAdoの歌声だけが響き渡った。
バンドメンバーによる演奏が会場の熱気を引き上げる。すっかり日も沈んだ夜空に『MAGIC』の前奏が鳴り響くと、ステージ上にはボックスから出てきたAdoが姿を現した。『踊』では、Adoが客席をあおり、ボルテージは最高潮に達した。ラテン調のリズムが特徴的な『モンストロ』では、たたみかけるような火柱の演出でスタジアムの温度をさらに上昇させた。『唱』では、コール&レスポンスで会場が一つとなる。再びの水幕演出も用意されるなど、炎と水のコントラストが印象的だ。
ここまで19曲をノンストップで披露してきたが、この日初めてのMCへ。ペンライトで青に染まった光景を前に「これはすごい景色だ。最高です」。ライブタイトルとなっている『Ao』は、2月に発売された自伝的小説『ビバリウム Adoと私』に登場するAdo本人の仮名として用いられている名前。「Aoというのは私の名前なんです」「ありのままっぽい感じがいいなと思って」とタイトルに込めた思いを語った。さらに、この日のステージについてあふれんばかりの感謝を口にし、「Adoとして活動してきて良かったです」と思いを込めた。
再びオーケストラがステージ上に現れ、本編ラストの『新時代』へとつないでいく。スタジアム規模で鳴り響く歌声は、Adoがさらに大きな“時代”へと踏み出していくことを感じさせるものとなった。
アンコールではまる子ちゃんらがサプライズ登場
アンコールでは、Adoがトロッコに乗って登場。アニメ『ちびまる子ちゃん』のオープニング主題歌『おどるポンポコリン』を披露した。ファントムシータの4人、まる子と花輪の着ぐるみも登場し、Adoとともに観客を楽しませた。
トロッコに乗ったまま、ファントムシータやまる子・花輪も参加する形で、Nintendo Switchの新作ソフト『リズム天国 ミラクルスターズ』収録の、つんく♂が作詞作曲を手掛けた『Love me forever!』、『アタシは問題作』『FREEDOM』と立て続けに4曲を披露。ステージに戻ってきたAdoは「皆さんも私が存在することが今日でまた明白になったのではないでしょうか」と客席近くでのパフォーマンスを振り返った。
そして、「次の曲は私が1番尊敬する歌い手さんの楽曲です」と紹介し、『立ち入り禁止』を歌唱。同曲はまふまふが2016年にリリースした楽曲で、22年にリリースされた『まふまふ トリビュートアルバム ~転生~』内でAdoが同曲を歌ったものだ。
続けざまに、まふまふが手掛けた楽曲『心という名の不可解』が流れると、ステージにはまふまふ本人が登場した。これまでラジオ内での共演などはあったものの、ライブで同じステージに立つのは今回が初。Adoが歌い手として歩み始める以前から見上げてきた存在と、日産スタジアムという巨大な舞台で声を重ねた。『Ao』というライブタイトルが示す“原点”にもつながる場面。日本を代表する歌い手2人の声が重なり合う瞬間を会場中が息をのむように見届けた。

敬愛するまふまふとのステージに万感、語った覚悟「多くの人の人生の脇役に私はなりたい」
Adoは「本当に私は歌い手として、まふまふさんを尊敬しています。ステージに一緒に立ってくださって本当に夢みたいです。本当にありがとうございます」とメッセージ。まふまふも「小さい頃から僕の歌を聞いてくれていたとうかがっています。そんな方に僕も立ったことのない、こんなものすごいステージに連れてきてもらえて、僕は本当にうれしいです。ありがとう!」と感謝で返した。さらに、Adoは「まふまふさんが築いてくれた未来があって、私は今ここに立てていると思います」と感謝を繰り返した。
まふまふが去ったステージ上でAdoは、「本当に苦しいこともあった。私の歌なんてうるさいだけかもしれない」などと、これまでの苦悩や葛藤を吐露しながらも、「本当に自分の未来を信じてこれて良かったなと思っています」とこの日のステージをかみしめた。
さらに、自らの原点となったボカロや歌い手に対する思いや、これまでの歩みを振り返りながら、支えてくれた人たちや応援してくれてきたファン、携わってくれた人々への感謝を号泣しながら伝えた。
「自分の大切にしていたそんな居場所や思いは忘れられない。だから私はAdoとして歌っていきたいし、歌っていると本当に幸せです。こうして立っている瞬間が生きていて良かったって思えるんです。歌っている時だけは自分が好きと思えるんです」
そして、自身の弱さや自己否定も隠さず言葉にしながら、「私を信じてくれる皆さんに恩返しがしたいんです。もっと私が頑張れば、誰かのためになるなら、私はまだ生きていていいと思えるんです。だから、多くの人の役に立ちたい。多くの人の人生の脇役に私はなりたいんです。私の歌ってうるさいかもしれない、暗いかもしれないけど、そういう人間のネガティブな感情のよりどころにずっとなっていたいです」と“等身大のAdo”を赤裸々に届けた。
ライブで体現した“Adoの生きざま”
正真正銘のラストは『ビバリウム』。作詞作曲をAdo自身が手掛け、ありのままの自分を受け入れながらも歌い続けるという、強い覚悟が表れたメッセージ性の強い楽曲となっている。「Ao」と「Ado」の狭間で激しく揺れる思いを、ステージ上で横たわるなど全身で表現しながら、スタジアム中に響かせた。
夜空にはフィナーレを彩る大量の花火が打ち上がる。Adoは丁寧に集まった観衆にお辞儀をし、感謝を伝え、ステージを降りた。エンドロールでは「Ado」の名前の次に「まふまふ」の名前が流れると、歓声が巻き起こる。ラストには、『ビバリウム』のMVと同じく都会の夜景を見つめるAdoの姿が映った。
まさに、ライブタイトル『Ao』を体現した演出の数々だった。ありのままの「Ao」と、表現者としての「Ado」。その間で揺れ続けてきた葛藤、孤独、歌への執着、そして歌い手文化への敬意が、巨大なスタジアムの上で一つの物語として結実していた。2月に発売された自伝的小説『ビバリウム Adoと私』の世界とも響き合うようなライブだった。Adoの原点、そして生きざまが色濃く表れた一夜となった。

この日のライブで体現した“Adoの生きざま”
○『Ado STADIUM LIVE 2026「Ao」』7月4日セットリスト
<ファントムシータ>
1.ホラークイーン
2.キミと××××したいだけ
3.おともだち
4.botばっか
5.魔性少女
6.薔薇色の月
7.ゾクゾク
<Ado>
1.0
2.うっせぇわ
3.レディメイド
4.ギラギラ
5.逆光
6.綺羅
7.エンゼルシーク
8.ラッキー・ブルート
9.ルル
10.アイ・アイ・ア
11.Tot Musica
12.私は最強
13.春に舞う
14.永遠のあくる日
15.風のゆくえ
16.MAGIC
17.踊
18.モンストロ
19.唱
20.新時代
-ENCORE-
21.おどるポンポコリン
22.Love me forever!
23.アタシは問題作
24.FREEDOM
25.立ち入り禁止
26.心という名の不可解
27.ビバリウム
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