78歳の国内最年長レスラーがもくろむ“ギネス” 長寿の秘訣は赤ちゃんパワーと負けじ魂

グレート小鹿から鋭い視線を浴びた木村健悟氏【撮影:柴田惣一】
グレート小鹿から鋭い視線を浴びた木村健悟氏【撮影:柴田惣一】

全身から湧き上がっていた殺気こそが小鹿パワーの本質

 東京・品川区議会議員に転身した木村健悟氏ら、かつてのライバルたちの存在である。小鹿は馬場・全日本プロレスOB。木村氏は猪木・新日本プロレスOB。1970、80年代、両団体は激しく火花を散らしていた。

 興行戦争はもちろん、外国人選手の引き抜き合戦もあり、プロレス大賞表彰式などで顔を合わせた時も、会場の右と左に分かれ、あいさつこそ交わしても、それ以上の会話が弾むことはなかった。主催者始め、関係者が伝書鳩のように「あの選手が、こう言っていますが、どうですか?」などと、両団体の間を取り持っていた。あの頃のピリピリした緊迫感は、今では考えられない。

 徐々に融和されていった両団体のライバル心だが「力道山の最後の弟子」であり、全日本プロレスで大熊元司さんとの「極道コンビ」で大暴れしていた小鹿にとっては、そうは簡単ではない。

 21世紀になり、昭和の時代は終わっても、変わらず「新日本は敵」だった。大日本プロレスの会場を訪れた木村氏に、突き刺すような鋭い視線を送った小鹿。控室で握手こそしたものの、2人の間には目には見えない高くて厚い壁が確かにあり、肌が痛くなるような緊張感は、今にも乱闘になりそうな雰囲気で、そばで見ていてハラハラした。

 昔話に花が咲くことはなく、木村氏がリングに上がり、タイトルマッチ宣言を読み上げた時には、小鹿はリングサイドから姿を消していた。小鹿の全身から湧き上がっていた殺気こそ、小鹿パワーの本質。いくつになっても健在の闘争心。これに赤ちゃん用ミルクがエネルギー源となり、国内最年長レスラーの現役時代は、まだまだ続いていく。

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