IQレスラー・桜庭和志(51)がプロデュースする新感覚の格闘技イベント「QUINTET」。投げや関節、絞め技など、組み技のみが有効とされるグラップリングルールで行われ、基本的に試合は5人で1チームで闘う勝ち抜き戦形式の団体戦。時間切れの場合は両者失格となり、勝ち抜き団体戦ならではの戦略性を競い合うルールとなっている。来る10月27日には東京・後楽園ホールで開催されるが、一部マニアの間では人気がある「QUINTET」を桜庭プロデューサーがその魅力を元「週刊プロレス」のターザン山本！氏（74）に解説！ 最終回の第3回は、桜庭が現在のMMAを語る。キラー桜庭が降臨!?(聞き手◎“Show”大谷泰顕、撮影協力◎トライフォース柔術アカデミー池袋)。

――目前に迫ってきた後楽園大会ですけど、率直に言って今の心境は？
　
桜庭「あ、はい。『QUINTET』の次の日に、プロレスリング・ノアで杉浦貴さんと組んで、タッグ王座の防衛戦がありますので、それが大変だなと(笑)」

ターザン「パチパチパチ！」

――今から次の日の心配をしていると(笑)。

桜庭「『QUINTET』で僕はその杉浦さんとエキシビションマッチ(アイアンマンマッチ)をやるんですけど、杉浦さんが断らないから、僕も断れない(笑)」
　
――その試合は、何本取っても8分間は続行されるルールなんですけど、桜庭さんは過去にホイス・グレイシーと90分の試合(2000年5月1日、東京ドーム)をやっているから、それに比べたら8分なんて大したことないですか？

桜庭「いや、結構キツいですよ」

――どんな試合になりそうですか？

桜庭「最近は足技が流行っているので、実験的に足は絡めてもいいけど、足関節を極めない。上半身限定のグレコローマンスタイルでちょっとやってみようかなと」

ターザン「杉浦さんはアマレスのグレコローマン出身だよね」

桜庭「そうですね」

――背中の筋肉がすごいですよね。あれだけで銭が取れる。

ターザン「ゴツいから極めにくいでしょう!?」

桜庭「その分、首も太いので極めやすいっていう」

ターザン「自衛隊出身じゃないの？」

桜庭「ボディービルで鍛えた感じじゃないので、カラダの厚さがありますよね」

ターザン「性格はとっぽい人？」

桜庭「真面目っちゃあ真面目ですけど、ふざけているっちゃあ、ふざけてます。試合が終わってから『ガッデム！』って言い出して。それって蝶野正洋さんじゃないですかって(笑)」
　
ターザン「僕は杉浦さんとは会ったことないんですけど、彼はキャバクラが好きなんだよね」

――なんの話をしているんですか(笑)。

ターザン「だから会ってキャバクラ談義をしたいよな（笑）」(※この取材の前日、ターザンは深夜2時までキャバクラにいました。場所は都内の外れのほう)

――例えば、空手がキックボクシングに進化して、プロレスがMMAに進化したとすると、寝技だけはまだそこまでには至っていない「空き家」になっている現状があって、そこを「QUINTET」 が担っていきたいわけですよね。
　　　
ターザン「なるほどね」

――グラップリングの大会はあっても、「見せる」競技にまでは至っていないから、「QUINTET」はそこをやろうとしていると。

ターザン「そうか。華やかな舞台とその裏側でシコシコと練習している二重構造の中で、練習の部分を見せていくというのはね……、UWFじゃないかそれ！」

――またUWF!?(笑)

ターザン「新たなるUWFですよ、これ！ 進化したUWFですよ！」

桜庭「（あきれた表情で）もういいですよ、UWFは（笑）」

ターザン「パチパチパチ！」

桜庭「昔の話なのでUWFは」

ターザン「でもね、昭和のファンはしつこいんですよ。俺も過去には興味ないんですよ、実は」

桜庭「僕も興味ないです(キッパリ)」

――それでも、UWFとなると引っかかる一定層がいるのも事実なんですよね。実際、旗揚げ戦のチーム桜庭はUWFのテーマ曲で入場してきたわけだし(笑)。

ターザン「パチパチパチ！」

桜庭「違います。あれは山崎一夫さんのテーマ曲です。あれはそういう意味なので（笑）」

ターザン「過去を断絶し、遮断し、過去に依存したらダメなんですよ、俺たちは」

――いや、依存して生きていきたい一定層がいるんですよ(笑)。

ターザン「昭和の残党ですよ、そんなもの！」

――「QUINTET」はそういった裏のテーマを抱えつつも、それを謳わずに進化したものとして公開していると。だから内包はしていて、分かる人には分かるという構造になっているわけだ。

ターザン「そういうことだね」