クルマ興味なし→高3の夏に人生一変 26歳女性会社員が8年乗る愛車は“走り屋オーラ”全開

受験生の夏休みに人生が一変。それまでクルマに興味のなかった女子高生は、すっかり沼にハマった。愛好家の間で根強い人気を誇る、日産180SXに乗るのは、26歳の会社員、久保田凜さんだ。しかも、大学1年の頃から大事に乗り続けているという。仰天の愛車物語とは。

久保田凜さんの1992年式180SXはオーラを放っている【写真:ENCOUNT編集部】
久保田凜さんの1992年式180SXはオーラを放っている【写真:ENCOUNT編集部】

日産180SXの中期型 「横にピタっとつけられたときに相手のドライバーから驚かれることもあります(笑)」

 受験生の夏休みに人生が一変。それまでクルマに興味のなかった女子高生は、すっかり沼にハマった。愛好家の間で根強い人気を誇る、日産180SXに乗るのは、26歳の会社員、久保田凜さんだ。しかも、大学1年の頃から大事に乗り続けているという。仰天の愛車物語とは。(取材・文=吉原知也)

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 1992年式の中期型で、TYPEIII スーパーハイキャス。車体カラーはスーパーブラックで、“走り屋”のオーラを放っている。「コンビニやガソリンスタンドに寄ると、もう世代の方々から声をかけられることが多くて。夜に走っていて横にピタっとつけられたときに、運転席を見た相手のドライバーから驚かれることもあります(笑)」。ハンドルを握っているのは、ほんわか優しい雰囲気の久保田さん。そのギャップは確かに驚きだ。

 大学入学の春にマニュアル免許を取得。「すぐ乗らないと忘れちゃう」と、家族でマイカーを探しに行った。「もともとはS13シルビアが欲しかったんです。でも当時全然なくて。ターボのクルマに乗りたいなと思っていた中で、兄弟車の180SXに決めました」。

 最初に発見した180SXが候補に。しかし、中身はボロボロで購入を断念。「悔しくてがっかりして、家でふて寝していたんです。そうしたら、その日の夕方に親から『クルマを決めたから!』って言われて。それで、親が決めたこの180SXに乗ることになりました。実は納車まで写真だけで現物を見たことがなくて、まるでお見合いですね(笑)」。

 2015年6月、納車の際もちょっとした珍事が。父親が納車の手続きをして乗って帰ってくる途中に、「パワステベルトが吹き飛んで、白煙が上がって……。最初からやんちゃぶりを出しているクルマなんです。いったん入院して、それからようやく我が家に来ました」。コメディードラマのような秘話を聞かせてくれた。

 クルマ好きの道に導いてくれたのは、父親の存在が大きい。「私が高校生のときに、父がマツダRX-7(FD)を購入したんです。私は『変なの買ってきたぞ』としか思っていなくて。そうしたら受験生の夏休みに、本格的に勉強しないといけないタイミングなのに、父がいきなり、『このアニメを全部見ろ』と言ってきて。それが、『頭文字D』だったんです。まったく知らない世界。でも、面白いってハマっちゃったんです。高校3年の夏までは一切興味がなかったのですが、そこから大黒パーキングエリア(PA)に金曜の夜に父のFDに乗せてもらって一緒に行って、クルマの車種や知識を教えてもらい、どんどん好きになっていきました。本当に、人生が一転しました」。大学では自動車部、現在は自動車関係の会社に勤めており、まさに運命を変えたと言える。

「かっこいい、かわいい、キャンプ行きたい。最近そうやってクルマが好きになっている若い人は増えています」

 自分が乗って8年、31歳を迎える愛車。「自分より年上です。おじいちゃんクルマなので、不調が出たらちょっとずつ直して乗っています。見た目に反して、そこまでクセがあるわけじゃないんですよ。初心者に優しいクルマです」。目立つ1台に乗ることで、人の輪が広がった。「親世代やクルマ好きの方々、面白い“人との出会い”があり、つながりができました。大学時代に、友達4人と、アクアラインを通って東京ドイツ村(千葉)に女子旅に行ったこともありました。『こういうクルマになかなか乗れないから乗ってみたい』って言われて。同世代とのクルマを通した思い出ができたことも、すごくうれしく思っています」と実感を込める。

 若者の車離れが指摘されているが、「若い世代の中では、単純に移動手段と捉えてクルマを持つのか、趣味で楽しむのか、その2パターンに分かれているように思えます。かっこいい、かわいい、キャンプ行きたい。最近そうやってクルマが好きになっている若い人は増えているという印象があります」と語る。

 走りのイメージの愛車だが、平日は仕事で忙しいため、土日にゆっくり無理せずドライブ。スーパーに買い物にも行く。サーキットは年1回行くか行かないかで、「楽しくワイワイとサーキットを走る感じです。それでも、年1回は戦闘モードになるかな(笑)」。それが久保田さん流だ。

 いたわって大事に大事に。「手放したら二度と乗れなくなるクルマです。このクルマも、自分も、乗れる限界まで乗っていきたいですね」と声を弾ませた。

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