「こいつに煽り運転されて…」 ウソ投稿も真実暴かれツイ消し“逃亡” 弁護士「投稿した方を刑事告訴」
SNS上であおり運転事故被害を告発も、実は投稿者が“加害者”の疑惑が浮上し、大騒動となっている。ツイートした本人は“ツイ消し”して逃亡。顔出しでさらされた被害者の男性は、弁護士に相談し、泣き寝入りしない姿勢を示した。被害者から相談を受けている藤吉修崇弁護士に法的な問題点と今後の対応を聞いた。
「日頃から煽り運転しまくってるアホらしいしいつか痛い目みるね」→投稿内容はでたらめ
SNS上であおり運転事故被害を告発も、実は投稿者が“加害者”の疑惑が浮上し、大騒動となっている。ツイートした本人は“ツイ消し”して逃亡。顔出しでさらされた被害者の男性は、弁護士に相談し、泣き寝入りしない姿勢を示した。被害者から相談を受けている藤吉修崇弁護士に法的な問題点と今後の対応を聞いた。(取材・文=水沼一夫)
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「こいつに煽り運転されてつっこまれたんだけどこいつの事知ってる人いますか?」
ツイッター上にあおり運転被害を訴える投稿がアップされたのは2月17日だった。添付された画像には、前方に1台の車が停車しており、電話中の男性と女性の姿が写っている。2台の車がぶつかった事故後の様子を捉えたものだ。
画像は少なくとも147万回以上表示され、2567件のリツイートと6169件のいいねを受けるなど、瞬く間に拡散した。同時にツイートに促される形で、男性の個人情報を特定する動きが広がった。撮影者は翌18日も「日頃から煽り運転しまくってるアホらしいしいつか痛い目みるね」など、男性に対して中傷の言葉を浴びせていた。
ところが、19日、藤吉弁護士が「拡散希望」と題するツイートを行うと、状況は一変する。
「このアカウント主に顔写真をさらされた人の代理人になりました。ツイートでは依頼人があおり運転を行ったことになってます。この虚偽ツイートのせいで依頼人は不安で夜も全く眠れない状況なので、早急に名誉回復の必要性を感じ私の方から真実をツイートさせていただきます」。実はあおり運転事故被害者とされた男性が加害者だという。
藤吉弁護士は、事故の概要を説明した。
「交差点において、相手が左折、依頼人が右折でした。もちろん左折が優先なのですが、依頼人がいけると判断して先に右折してしまったことに相手方が腹を立てて、あおった上で依頼人の車両に衝突してきました。相手方が投稿している内容は全くの虚偽です」
そして、依頼人から受け取ったドライブレコーダーの映像を公開した。明らかに左折車が接近し、車をぶつける様子が確認できる。
「アカウント主は、依頼人の方が女を乗せてイキり散らして絡んできたとツイートしてますが、そんな事は全くなく、相手方の方が左折優先だろと一方的に怒鳴っていたのが真実です」
投稿者の「あおり運転をして突っ込んできた」「あおり運転の常習犯である」「事故後にイキリ散らした」などの主張は、全くのでたらめだった。
「確かに右折の方法には問題があったかもしれません。しかし、アカウント主が依頼人の顔写真を晒してまで虚偽のツイートをして依頼人を攻撃するのは間違ってます。皆さん、できればこれ以上依頼人を晒すことはどうか控えていただきたいと思います。早急にアカウント主を名誉毀損で刑事告訴および損害賠償請求をした上で、衝突による身体の痛みがまだ続いているので、それについても損害賠償請求をしていきます。また同時に依頼人の個人情報を晒した人物も適切な対応をしていく所存です」と、藤吉弁護士は続けた。
加害者がツイ消ししようと、ドラレコの映像は動かぬ証拠だ。また匿名であっても誹謗中傷は許されない。濡れ衣を着せられた男性はネット上に氏名が公開されるなど、深刻な被害に遭っている。
藤吉弁護士は今後の見通しについて、ENCOUNTの取材に、「最初に投稿した方を刑事告訴して、本人も同乗していた妻もけがをしているのでそれについては交通事故の対応として損害賠償請求をするという形になろうかと思います」と指摘。「アカウントも消されていて、ある程度、名誉回復ができるのであれば、どこまでツイートに対する責任を追及するかはまた依頼人と確認はしないといけないと思っているんですけど、今回さらされたことによって2人ともダメージが大きい。告訴期間は6か月以内なので、半年以内でどうするか決めたいです」と話した。
情報をうのみにする怖さ 「過剰な私的な制裁というのは誰も得することではない」
投稿した当事者の加害者からは謝罪の言葉はないという。一方で、投稿の内容を信じて個人情報の特定に動いてしまった人たちからは謝罪の言葉があったことを明かした。「加害者からは(謝罪は)ないですが、個人情報をさらした人とかはもう5~6人から謝罪のメールは来ています」
片棒を担いだ責任を感じているようだが、氏名など極めて私的な情報をネット上に拡散させてしまったことは取り返しがつかない。被害者はメンタルもやられているという。「依頼人ともお話して協議中ではあるんですけど、場合によっては発信者情報の開示をして損害賠償請求をする可能性はあります」と、アカウント保有者の開示を請求することを示唆した。
投稿があった時点では、情報が虚偽だったかどうか判別がつかなかった。これもネットの怖さだ。今回、ドラレコに映像が記録されていなかったら、どうなっていたか分からない。ただ、どんな場合でも度を超えた“私刑”は避けたほうがいいと、藤吉弁護士は訴える。「情報を選別するのは難しく、それに対する感想とか言う分にはやむを得ないと思うんですけど、掲載している以上に不必要な情報とかそういったものを調べて掲載していくことに関してはやめたほうがいいんじゃないかと思っています。情報の真実性とか、その判断の仕方を学びましょうといっても難しいので」と忠告した。
投稿は被害者の許可を得て、再発防止のために行ったといい、「スシローの事件もそうなんですけど、最近SNS上での私的な制裁がかなりエスカレートしているなと感じています。基本的には過剰な私的な制裁というのは誰も得することではないので、そういったことに加担する行為やきっかけを招く行為はできるだけ控えていかないと今後ますますエスカレートしていくんじゃないかなと考えております」と注意を呼びかけた。
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「弁護士法人ATB」藤吉修崇弁護士 誹謗中傷ドットネット
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藤吉修崇弁護士YouTube 二番煎じと言われても【弁護士藤吉修崇】
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