「しゃあないかな」 ドイツ車4台持ちの“価値観崩壊”…とりこにしたイタリア車の魔力とは

車が違えば文化も違う。ドイツ車4台を所有する男性オーナーは約1年前にイタリア車1台を追加したところ、イタ車の魅力にハマってしまったという。壊れないドイツ車から「壊れてもしゃあない」と寛容に。さらに人間性まで明るくなったという。いったい、何がそんなに違うのか。

1990式のアルファロメオスパイダー・ヴェローチェ【写真:ENCOUNT編集部】
1990式のアルファロメオスパイダー・ヴェローチェ【写真:ENCOUNT編集部】

米国仕様の並行輸入車に一目ぼれ

 車が違えば文化も違う。ドイツ車4台を所有する男性オーナーは約1年前にイタリア車1台を追加したところ、イタ車の魅力にハマってしまったという。壊れないドイツ車から「壊れてもしゃあない」と寛容に。さらに人間性まで明るくなったという。いったい、何がそんなに違うのか。

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 男性の愛車は、真っ赤なボディーが美しい1990式のアルファロメオスパイダー・ヴェローチェ。

「アメリカ仕様なんですけど、それを並行輸入で持ってきた車らしいです。お店を見ていたらひょんなことから目について、車がとにかく僕に『私をもらってってください』じゃないですけど、そういうオーラがあった。じゃあ、いただきましょうかと。一緒に家族になりますかということで手に入れました」と、1年ちょっと前に購入した。

 ほかに車は4台ある。驚くことに、すべてドイツ車だ。

「BMWのカブリオレ、オープンカーが3台とフォルクスワーゲンの大きなワゴン車を持っています。質実剛健な国のカチッとした車ばかりだったんですけど、こういう息の抜けるようなちょっと楽しそうなのもいいのかなと」

 オープンカーという部分だけは変わらないのは、「開放的な車が好き」という男性のこだわりだ。ちなみに3台のBMWは「昔ボロボロなのを買ってレストアして乗り出したら、いろんな方からこの車を引き取ってくれないか、こういうのあるよというご縁があって、その都度手に入れていったら3台に増えちゃった。仲間の間で、私は屋根のない車しか乗ってないというイメージもついちゃっています」という入手経緯がある。

 アルファロメオに乗って気づいたのは、ドイツ車との歴然とした違いだった。

「やっぱりドイツ車はしっかり作っていますよね。精密ですよね。乗っていて安心するところなんですけども、これはもう遊び心満点。取っ手を持っているとポロって取れるぐらいですから。イタ車というのは陽気な部分があるんですけど、見かけと違って繊細ですよね。なんだろう、いろんなところが壊れて当たり前みたいな(笑)。ドイツ車には一切それがないので、それに慣れるまではちょっと怖いところがあったんですけど、それが当たり前だなと思ってしまうとすごく楽しいです」と話した。

 最初は悩み、緊張もした。何しろ赤いボディーのオープンカーだ。嫌でも目立つ。

「年齢的にこの歳になってこんな派手なのが乗れるのかな」

 だが、もともと赤は好きな色だった。イタリア車とは相性もいい。思い切って決断した。

「ある程度の年齢になると、赤は封印して、黒だとかシルバーになっちゃうんですけど、もう60過ぎちゃっているのでそろそろいいかなと。今、力がなくなってきているので、こういうの見て元気が湧き出ればなと思い、この色合いにしました。もう先ないですからね(笑)。少し楽しまないと。いっぱい働いてきたので」

 購入価格は220万円ほど。レストアに追加で100万円をかけている。それでも、「やっぱりまだまだいじらなきゃいけないところがいっぱいあるんですよ。もうちょっと直してあげなきゃいけないところを直しながら長く付き合っていければなと」。

 不思議なことに、修理も苦にならない。壊れても許せる。ドイツ車を保有していたときにあった価値観は“崩壊”した。

「(イタリア車のオーナーは)みんな同じ経験をしていると思うんですね。壊れてもしゃあないかなって。これが当たり前だなって気分にさせてくれる車というんですかね。買ってよかったと思います。イタ車好きな人とお話もできるようになって、またちょっと自分も変わりました。人間性が明るくなりましたね」と男性は陽気に語った。

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