ド派手ガルウイング改造の軽自動車 女性オーナーは幼稚園送迎に…それでも近づく“別れ”

ダイハツ・コペンは軽自動車でありながらオープンカーの人気スポーツカーだ。女性オーナーの佐藤有香さんは2004年式の中古を09年に購入した。その後、自身でカスタムを楽しみ、車はド派手なガルウイングに変身。息子の幼稚園送迎にも使っているという。なぜ、ここまでの改造に行き着いたのか。

コペンとオーナーの佐藤有香さん【写真:ENCOUNT編集部】
コペンとオーナーの佐藤有香さん【写真:ENCOUNT編集部】

カスタム総額は150万 「内緒で話を進めていたので」

 ダイハツ・コペンは軽自動車でありながらオープンカーの人気スポーツカーだ。女性オーナーの佐藤有香さんは2004年式の中古を09年に購入した。その後、自身でカスタムを楽しみ、車はド派手なガルウイングに変身。息子の幼稚園送迎にも使っているという。なぜ、ここまでの改造に行き着いたのか。(取材・文=水沼一夫)

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 佐藤さんにとって愛車は免許を取得して初めて購入した車だった。 

「仕事の都合でマニュアル車を探していて、この車を見つけました。せっかくなので乗っている人が少ないマニュアル車で、目立つ黄色だったりオープンカーとかちょっと人と違うのが欲しかったので選びました」

 価格は150万円ほどだった。

 カスタムへの気持ちは購入当初からあった。

「もとからショップさんのデモカーを見ていて、そこのエアロがつけたいと思っていました。イベントに参加して他の車を見るようになったら、ああいうガルのウイングとか他のも欲しくなって、それで今に至ります」

 コペンのイベントには近場から遠方まで参加した。「三重、岐阜、愛知とか、東海あたりまでですね。1人で行きます。関東からも結構行く人がいるんですよ」

 オーナー同士で交流するうちに、情報を共有し、刺激を受け、新たな欲も芽生えていった。

 エアロを前後左右につけ、タイヤのホイールを変え、最終的にガルウイングにまで行き着いた。丸みを帯びた車体に、羽根が生え、まるで生き物のような雰囲気がある。

「私の周りはたまたまこういう車が多いので全然気にしたことはないんですけど、やっぱり(カスタムを)やっている人のほうが少ないですね。ガルウイングを作っているお店が埼玉の川口にあるんですよ。なのでみんなそこのをつけていますね。作っているショップさんがみんな一緒です」

 がらりと変身した車に周囲の反響も大きかった。「驚かれましたね。内緒で話を進めていたので」。使用用途はさまざまだが、スーパーでの買い物や息子の幼稚園の送迎にもこの車を走らせている。「やっぱり子どもたちの目を引きますよね。色もそうですけど、すぐ誰のお母さんが来たって言われます。子どもは大好きなので喜んで乗ってくれます」と佐藤さんはほほ笑んだ。

 12年乗ってきて、最大の危機が1度あった。

「一番衝撃的だったのは1回、全損事故をしましたね。山で滑ってガードレールに突っ込みました」

 イベントに向かう途中、小雨が降り、路面が濡れていた。幸い自身に大きなケガはなかったものの、車へのダメージは大きかった。「ちょっと降りるか、お金を払って修理しようかというところまでは行きましたね」。車は修理できたが、恐怖心は今でも消えていないという。「今もありますね。やっぱり嫌です。ちょっと濡れている道路とか山道は」

内装もおしゃれ【写真:ENCOUNT編集部】
内装もおしゃれ【写真:ENCOUNT編集部】

愛車購入13年目で一大決心 「1年ぐらい前から…」

 さまざまな思い出が詰まった1台だが、佐藤さんは年内で愛車を手放す予定だ。

「もう1台、車を買ってしまったんですよ。故障とかもないんですけど、家庭の事情ですよね。次の車も買ったし、置き場も困るしというので。車検もちょうど切れるので」

 まさに一大決心。ガルウイングの取り付け費用は物と合わせて40万円ほど。これまでのカスタム総額は150万前後だという。何より、コペンを通じてかけがえのない仲間ができた。

「寂しいです。1年ぐらい前から降りる予定ではいたんですけど、だんだん近づいてくると、ちょっと寂しい。イベント以外でも(メンバーと)全然普通にご飯に行ったりはするんですけど、やっぱりイベントに車を並べて参加はできなくなっちゃうので。そういうのもあるので、ちょっと降りるのはうーんと思って……」

 後ろ髪を引かれる思いは、手放す瞬間まで続きそう。売却先はまだ決まっていない。

次のページへ (2/2) 【写真】ガルウイングのコペンが一列に並ぶ圧巻の光景、実際の写真
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