細田佳央太、自分の芝居に「がっかり」から始まる“逆転の発想”「できるようになるためにどうしたらいいか」

俳優・細田佳央太は、NHK大河ドラマや朝ドラなど話題作に次々と出演し、注目を集める若手実力派俳優の1人だ。活動を始めた4歳から早くも20年。確かなキャリアを築いているが、本人に慢心は一切ない。俳優人生のターニングポイント、そしてストイックな役作りを支える根底を探った。

インタビューに応じた細田佳央太【写真:増田美咲】
インタビューに応じた細田佳央太【写真:増田美咲】

ターニングポイントは主演映画『町田くんの世界』

 俳優・細田佳央太は、NHK大河ドラマや朝ドラなど話題作に次々と出演し、注目を集める若手実力派俳優の1人だ。活動を始めた4歳から早くも20年。確かなキャリアを築いているが、本人に慢心は一切ない。俳優人生のターニングポイント、そしてストイックな役作りを支える根底を探った。(取材・文=小田智史)


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 4歳から活動を始めた細田は、子役時代はオーディションに落ち続ける日々だったという。

 最初の大きな成功体験は、高校1年生の時に1000人超えのオーディションを勝ち抜き、石井裕也監督作の映画『町田くんの世界』(2019年)の主人公に抜てきされたこと。そこから、22年に『もしも、イケメンだけの高校があったら』(テレビ朝日系)で連続ドラマ初主演、23年に『どうする家康』で長男・信康役を務めてNHK大河ドラマに初出演、昨年は『あんぱん』でNHK連続テレビ小説にも初出演と瞬く間に実績を積み上げてきた。

 現在24歳。人生の大半を芸能活動に充ててきた。「よく見捨てられず来たなと思います」と細田は笑う。

「子役からやらせていただいて、マネジャーさんもいろんな方に担当していただいてきました。粘りって本当に大変なことだと思いますし、よく会社が僕を切り捨てなかったなと今になってすごく感じます(笑)。事務所に入ってすぐに結果が出る人もいますけど、僕は(結果が)出ない側の人間だったので、会った人にすごく恵まれてきました。『縁』『運』といった言葉や数字では計れないようなものに支えられている俳優人生だと思います」

 細田自身が考える俳優業におけるターニングポイントは、「人生が大きく変わった」と公言している、主演を務めた映画『町田くんの世界』。「これはあと10年変わらないと思います」と話す。

「『町田くんの世界』が一番大きな転機としてブレないのは、それだけ当時培ってもらったものや土台が、今にちゃんと生きている証拠だと思います。共演者・関係者や作品の影響を受けて考え方が変わった時に、別の作品を転機として挙げる可能性はあるかもしれませんが、メンタルや臨み方はあれから変わっていません」

 だからこそ、石井監督からの“教え”は、細田の中にしっかりと根付いている。

「とにかく一生懸命やる、1日1日をちゃんと生きることはすごく大事にしています。『一生懸命』は石井さんから直接教えていただきました。僕らが演じるのは、どこまでいっても人間。その人間を正しく映すとなった時に、自分たちが人間的な生活をしていないと無理だと思っています。だから、ちゃんと人間らしく不器用にあがいたりして、その中で見つける幸せを大切にしていかなければいけない。『昨日より今日、今日より明日、明日より明後日』という感じブラッシュアップで、生きていけたらいいなって。『その4日間だけのことしか考えなくていいよ』とも最近もある方から言っていただきました」

細田佳央太の理想の俳優像とは【写真:増田美咲】
細田佳央太の理想の俳優像とは【写真:増田美咲】

「自分の嫌なところ」と向き合う勇気

 若き日は思うように仕事を取れない時期もあったが、「仕事を辞めたいと思ったことはない」という。一方で、大河ドラマ『どうする家康』で初めての感覚も味わったと明かす。

「『どうする家康』で初めて死ぬ役が来た時の反動はありました。死ぬ恐怖みたいなものを物理的により近く感じてしまった時があって、『死にたくない』じゃないですけれど、『なんでこの男の子は死ななきゃいけないんだろう』と考えすぎてしまいました。一種の“燃え尽き症候群”に近い精神的な負荷を感じました」

 そこからメンタルを持ち直すことができたのも、周囲のサポートがあったからだと振り返る。

「マネジャーさんや周りの方にも支えていただきました。俳優はいわゆる個人でのお仕事ですけど、“1人じゃない”なと。同じような経験や“地獄”を見てきた人は当然いて、そこから(這い)上がれている人がいることを考えると、落ちたからといって上がれないわけじゃないと思います。1回上がれたら、もう1回落ちても大丈夫、だって1回上がっているからという実績にもなる。これも教えていただいたことですけど、信じて、続けて、マネジャーさんも時間をかけて自分を見てくださったからこそ、自分も上がれたと感謝の気持ちでいっぱいです」

 さまざまなジャンルの役を演じてきた細田だが、「すごくビビりですし、性格はひねくれています(笑)」と茶目っ気たっぷりに自身のキャラクターについて語る。

「基本的に自信がないので、自分の嫌なところしか見えていません。どの作品を見ても自分の芝居にがっかりするし、最近はそれがどんどん早まって、『今日大丈夫かな』と頭を抱える回数と深さがだいぶ変わってきたぐらいには自信はないです。でも正直、それでいいと思っている自分もいるんです」

 もちろん、成長することを放棄しているのではなく、もう“これから良くなる道しかない”というある意味での逆転の発想だ。

「自分のことを客観視しなきゃいけないと分かっていながらも、ネガティブな人間なのでできないことの方が目に付いてしまう(苦笑)。だからこそ、できるようになるためにどうしたらいいかと考えます」

 理想の俳優像を尋ねると、「役者が何たるかみたいなのはあんまりないです」と苦笑いする。

「現場で一番偉いわけでもないですし、『俳優部』といえど各部署と同じ平行のラインで、俳優だから特別な何かをするわけではないので。ただ表に立つ人間として、その作品を背負って良いも悪いも評価の的になるという意味では、今後もちゃんと作品と向き合ってやっていかなければいけないし、責任感は年々強くなっている感覚はあります。今年は作品数もたくさん出させていただいていて、『こんな役もやるんだ』と幅も広がっていると思います。今後の情報解禁を含めて楽しみにしていただければうれしいです」

 まだ24歳。細田の俳優人生は無限の可能性を秘めている。

□細田佳央太(ほそだ・かなた)2001年12月12日、東京都出身。4歳から子役として活動を始め、以降ドラマや映画で活躍。19年に映画『町田くんの世界』で1000人超えのオーディションから主演に抜てきされ、22年には『もしも、イケメンだけの高校があったら』(テレビ朝日系)でドラマ初主演を務めた。主な出演作に『ドラゴン桜』(TBS系/21年)、大河ドラマ『どうする家康』(NHK/23年)、連続テレビ小説『あんぱん』(NHK/25年)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』(TBS系/26年)、『GIFT』(TBS系/26年)など。

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