西島秀俊がタバコをやめた理由とは 独立後の変化も告白「たくさん失敗できるようになった」
俳優の西島秀俊には、たばこが似合う役の印象がある。ドラマ『MOZU』シリーズでも紫煙をくゆらせ、新作映画『時には懺悔を』(8月28日公開)で演じる探偵・佐竹も、酒とたばこが染みついたような男だ。しかし、本人はたばこを吸わない。かなり早い時期にやめたという。その理由は、健康のためでも、俳優としての体調管理のためでもなかった。

2024年に独立「どうしても新しいチャレンジをしたいと思った」
俳優の西島秀俊には、たばこが似合う役の印象がある。ドラマ『MOZU』シリーズでも紫煙をくゆらせ、新作映画『時には懺悔を』(8月28日公開)で演じる探偵・佐竹も、酒とたばこが染みついたような男だ。しかし、本人はたばこを吸わない。かなり早い時期にやめたという。その理由は、健康のためでも、俳優としての体調管理のためでもなかった。(取材・文=平辻哲也)
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「吸わない友達が多かったんです。遊びに行くたびに灰皿を出してもらうのが申し訳なくて、やめました」
それでも、役が喫煙者なら話は別だ。
「たばこを吸う役だったら、偽物のたばこですが、日常的に吸うようにしています」
撮影の時だけ、たばこを持てばいいわけではない。長年吸っている人物なら、火をつける、持つ、口へ運ぶといった所作が自然に見えなければならない。そのために、普段の生活から役の習慣を体になじませる。
友人の家で灰皿を出してもらうのが申し訳なくてたばこをやめた一方で、役のためなら偽物のたばこを日常的に手にする。西島の役作りへの姿勢がうかがえる。
俳優としての挑戦は、役作りに限らない。西島は2024年、長年所属した事務所を離れ、独立した。
「新しいチャレンジをするということは、周りにとっては困惑する面もあると思います。変化を好まない人もいるでしょうから」
新しい道へ進むことは、自分一人の問題ではない。長年ともに仕事をしてきた人たちへの思いもあった。
「それでも、どうしても新しいチャレンジをしたいと思いました。それで事務所を離れて独立しました」
俳優として長いキャリアを築き、映画『ドライブ・マイ・カー』では世界的な評価も得た。それでも、本人に到達したという感覚はない。
「まだ自分の目指しているものには全く到達していません。それは、よりチャレンジをして、失敗もしていった先にあると思うんです。それができる環境を求めて独立しました」

独立して感じた変化
西島が言う新しい挑戦とは、海外作品への出演だけではない。これまで周囲に任せる部分も大きかったマネジメントにも、自ら関わるようになった。
「周りの人に頼ってやっていたものが、自分で判断して、自分で責任を持ってやる、というシンプルな形になりました」
俳優業以外で判断しなければならないことも増えた。一方で、この1、2年で海外の俳優たちを見る中で、それも一つの当たり前のあり方だと知ったという。
「海外の俳優さんたちを見ると、自分たちで判断をしていて、それが普通だということを感じています」
もちろん、日本のマネジメントにも利点がある。俳優が演技に集中できる環境を作ってくれるからだ。
「プラスの面もありますが、そうではないやり方もある、ということを、この2年ほどで学びました」
独立して何が変わったのか。西島は意外な言葉で表現した。
「たくさん失敗できるようになりました」
「事務所にいると、多くの人たちとチームを組みます。そうすると、やはり失敗しにくくなる面があります。みんなの意見を聞きながら、チーム全体としての幸せというものを考えて仕事や作品を選んでいくことが多かったと思います」
周囲の人のことを考えながら仕事を選んできた。その環境を離れたことで、今は自分で選び、その結果も自分で引き受けられるようになった。
「身軽になった分、思い切ってチャレンジをして失敗しても、自分に返ってくるだけです。それは大きな違いです」
失敗には、当然リスクもある。
「失敗すればいいというわけではないです。失敗すれば、未来が閉ざされる方向に行くわけですし」
それでも、西島は失敗することに価値を見いだしている。
「失敗したとしても、自分の経験値は上がります。それは何か新しいことにチャレンジしたということですから。俳優としても、人としても、それを踏み越えていかなければ、この先には行けないと思っています」
自分で判断し、自分で責任を持つ。失敗すれば、その失敗も自分のものになる。西島秀俊は、自分が目指す「この先」へ進むために、成功を守ることより、挑戦できる場所を選んでいる。
□西島秀俊(にしじま・ひでとし)1971年3月29日 東京都出身。大学在学中より俳優活動を始め、92年に本格デビュー。2021年公開の映画『ドライブ・マイ・カー』では、第45回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞、第56回全米映画批評家協会賞 主演男優賞などを受賞した。ドラマ『きのう何食べた?』シリーズや、映画『首』、『スオミの話をしよう』、『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』、配信『Sunny(サニー)』、『人間標本』など、国内外の映画・テレビドラマ・配信作品に出演。
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