「まだ売り物じゃないよ」 米国で見つけた“伝説の旧車” それでも諦めきれず…60代男性が手に入れた1台
「売って帰るという選択肢は、まったくなかったですね」。1971年式のダットサン240Zを前に、60代男性オーナーはそう語った。子どもの頃、近所のお兄さんが乗っていたフェアレディZに憧れ、いつか自分も乗りたいと思い続けてきた。長年かなわなかった夢を実現したのは、仕事で赴任した米国での“奇跡の出会い”だった。

【愛車拝見#376】 目当てのZを見に片道3~4時間 店の奥にあった別の1台
「売って帰るという選択肢は、まったくなかったですね」。1971年式のダットサン240Zを前に、60代男性オーナーはそう語った。子どもの頃、近所のお兄さんが乗っていたフェアレディZに憧れ、いつか自分も乗りたいと思い続けてきた。長年かなわなかった夢を実現したのは、仕事で赴任した米国での“奇跡の出会い”だった。(取材・文=平木昌宏)
日産車の歴史や名車の魅力を伝える「プリンスの丘 自動車ショウ」が、東京・武蔵村山市のイオンモールむさし村山「つむぐひろば」で開催された。会場に集まった名車の中で存在感を放っていたのが、北米仕様の左ハンドル車、ダットサン240Zだ。
オーナーにとって、Zは子どもの頃から特別な存在だった。近所のお兄さんが乗る姿を見て、そのかっこよさに引かれたという。ただ、日本では状態のいい車両になかなか出会えず、趣味に使える時間も限られていた。
購入の好機が訪れたのは、単身で米国に赴任していた2017年。休日を自由に使えるようになり、現地で憧れのZを探し始めた。日本より乾燥している地域が多く、サビの少ない車両を見つけやすいことも、米国で探す理由になった。
インターネットで気になるシルバーの240Zを見つけると、米国人の同僚とともにオハイオから車で3~4時間かけて、インディアナ州のショップへ向かった。しかし、実際に確認した車両は塗装し直したような跡があり、改造も加えられていた。なるべく元の姿を残した個体を求めていたオーナーにとって、期待していた状態とは異なっていた。
遠方まで足を運んだものの、目当ての車両は購入を断念。ところが、ショップの奥に置かれていた別のZが目に入った。表には並べられておらず、隠れるように置かれていた1台だった。
「まだ売り物じゃないよ」
店側からそう告げられたが、ほとんど手を加えられていない姿と良好な状態に強く引かれた。「これが欲しい」と伝えると、いずれ販売する予定だと説明されたため、準備ができたら譲ってほしいと交渉。後に購入できることになった。
初めて運転した時の気持ちを尋ねると、「うれしかった」と率直に振り返る。購入時はほとんどノーマルの状態だったが、その後、キャブレターやマフラーを交換し、少しずつ自分好みに仕上げていった。
年式が古いため、部品に手を入れる際にボルトが折れるなど、作業が思うように進まないこともあった。それでも週末になると、オハイオののどかな道でドライブを楽しんだという。

スタンドで「何か出ているよ」 ボンネットから上がった水蒸気
米国で乗っていた際には、思わぬトラブルにも見舞われた。暑い時期にガソリンスタンドへ立ち寄ったところ、周囲の人から「何か出ているよ」と声をかけられた。
車を確認すると、ボンネット付近から白い水蒸気が上がっていた。運転席にいたオーナーは異変に気付いておらず、車を降りて初めて状況を知ったという。原因はファンベルトの断裂だった。
突然の事態に「焦りましたね」と振り返る。その後、暑い時期のオーバーヒート対策としてラジエーターをアルミ製に交換し、症状は改善したという。こうしたトラブルも含め、米国で過ごしたZとの時間は強く印象に残っている。
2021年、約5年間の米国赴任を終えて帰国することになった。しかし、現地でようやく手に入れた愛車を置いて帰る考えはなかった。
「売って帰るという選択肢は、まったくなかったですね」
帰国時には専門業者へ輸送や国内登録を依頼。日本で乗るために必要となる右側のミラーやスピードメーターなどを整え、国内でのカーライフをスタートさせた。
現在は車庫でカバーをかけて保管し、週末になるとドライブに出かけている。エアコンを外しているため真夏に乗るのは厳しいものの、「ちょっと時間に余裕ができたので、週末のドライブを楽しんでいます」と笑った。
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