トム・ブラウン“月収120円”の極貧時代 趣味を捨て、290円朝食で白米8杯「理想と現実の距離がすごすぎた」

お笑いコンビ・トム・ブラウンは現在、数多くのバラエティー番組から大型CMまで幅広く活躍中だ。狂気的な漫才と愛嬌あるキャラクターで人気を集める2人だが、つい8年前までは「月収120円」という極貧状態だった。そんなどん底から、1万人超を動員する全国ツアーを開催するまでに這い上がった、泥臭いサクセスストーリーを2人が明かした。

極貧だったという下積み時代について語ったトム・ブラウン【写真:高田啓矢】
極貧だったという下積み時代について語ったトム・ブラウン【写真:高田啓矢】

1杯30円の酒で酔った日々

 お笑いコンビ・トム・ブラウンは現在、数多くのバラエティー番組から大型CMまで幅広く活躍中だ。狂気的な漫才と愛嬌あるキャラクターで人気を集める2人だが、つい8年前までは「月収120円」という極貧状態だった。そんなどん底から、1万人超を動員する全国ツアーを開催するまでに這い上がった、泥臭いサクセスストーリーを2人が明かした。(取材・文=島田将斗)

 2018年の『M-1グランプリ』で決勝に進出し、その後も日本テレビ系『有吉の壁』への出演などで波に乗り、CMに出演するまでとなった2人だが、日の目を見るようになるまでは本当に貧しい生活を送っていた。

「よく近くのSガスト(低価格・高速定食型のガスト)に行ってました。290円のモーニングメニューでご飯が食べ放題だったので。朝に行って、お腹パンパンになるまで7~8杯食べて、それで次の日の分まで5食分ぐらいをまかなってました」(布川)

 アンケートに答えてもらえるコロッケ1個と納豆とみそ汁がおかず。バランスは明らかに合っていないが関係ない。「コロッケ8分の1でご飯1杯いけます」と笑い飛ばした。

 和風創作居酒屋チェーン『わん』で飲食することが憧れだった。その代わりに訪れていたのは近隣の学生がよく利用することで知られている新宿の激安居酒屋『めだか』だった。

「『わん』が見えるところに座って、1杯30円の酒を飲んでましたね。3月は30円、4月は40円、5月は50円っていうキャンペーンをやっていて。もう『わん』は高級店でした」(布川)

 相方のみちおも負けてはいない。もやしの上にもやしを乗せて丼に見立てるオリジナルメニュー「もやし丼」を生み出し、袋麺を粉々にくだき、本来のゆで時間の倍以上の時間をかけて麺をゆでてかさ増しした。

「もやしを細切れにして、ちょっと甘めに味付けをしてお米に見立てるんです。その時にちょっとだけもやしを残して醤油で炒めるんです。それをもやしの上に乗せてもやし丼です。家系ラーメンに行けた時にはおかわりもたくさんしていました」(みちお)

 みちおはそんな当時から20キロほど増量したといい、現在は体重「110キロ」。普段サバを読んで107キロと明かすそうだが、この日のインタビューでは本当の体重を告白した。隣にいた布川は「ちょっと誠意感じました」と笑っていた。

 今でこそ和やかに振り返られるが、当時は先の見えないどん底の状態。そんな日々の中、「これどうやら売れないぞ」と危機感を抱いた布川は、結果を出すために自身の趣味を全て絶ったという。

「巨人ファンなんですけど野球も一切見なくなって、プロレスもラーメンも行かなくなりました。とにかく全てをなくして、最悪でした(笑)」(布川)

 唯一見ていたのが、漫才だった。スマホを安く契約した際に副商材として無料で付いてきたiPadを使い、とにかく映像を見続けた。

「とにかく漫才を見まくったほうがいいよって話を先輩にもらって。自分の好きな人の漫才を何回も見たら、漫才のやり方がなんとなく分かるって聞いたんです。笑い飯さん、千鳥さん、オードリーさん、タカトシさんをいっぱい見ました」(布川)

 同じネタを500回以上見続けると「ここはフリになってんのか」「ここが邪魔だからなくしたんだ」と漫才の構造が分かってくる。先輩に言われて始めたことだったが、「早く見て新しいところを見つけたい」という楽しさに変化していった。

 一方のみちおは、過酷な現実から逃れるように物語の世界へ没入していった。所持金150円あれば、100円でDVDを借り、残りのお金で食事を摂るような毎日。数十円で借りられる「貸しマンガ」すら借りられなくなった時に出会ったのが無料で読めるウェブ小説投稿サイト『小説家になろう』だった。

「ここから書籍化されたものもあるって聞いて、読み始めたら面白かったんですよね。それで救われたんですよね、僕。自分たちは何者かになるはずだと思ってやってるのに、何にもならない。理想と現実の距離がすごすぎて嫌になるじゃないですか。だから物語を見てないとダメだったんですよね。あのサイトのおかげで頑張れました」(みちお)

コンビとしての“絆”の強さについても話した【写真:高田啓矢】
コンビとしての“絆”の強さについても話した【写真:高田啓矢】

“柔道部”の絆「いいものができたときは、うれしさも倍増」

 壮絶な下積み時代がありながら、解散せずに歩んでこれたのは「柔道部の先輩・後輩」という部分も大きい。2人にとってお互いはただの相方ではない。

「お笑いって相方とビジネスライクな関係が多いかもしれないですけど、僕たちは違う。頭がおかしかったら注意もします。『さすがに言い過ぎだよ』って周囲に言われることもありますけど、人間として間違ってたら、言わないのがおかしいですから」(布川)

「ネタ作りで僕の思いが伝わらなかった時は必要以上に悔しい。『柔道部から一緒なのに』って。逆にいいものができた時は、うれしさも倍増するんです」(みちお)

 もやしと無料のウェブ小説で食いつなぎ、趣味を捨ててネタ作りに没頭した日々。当時を振り返り、今の自分たちを見てどう思うか。布川は「早く髪を伸ばしたほうがいいよ、って言いたいですね」と即答した。

「昔は尖ってて、ネタの面白さばっかり考えてたんです。決勝に行けた前年くらいに髪を伸ばし始めたんですけど、周りのアドバイスをもっと早く聞いていれば、もっと早く世に出れたなと」(布川)

 苦しんだ時代を経て、2人の環境は文字通り激変した。

「2017年から18年頃の単独ライブなんて、チケットの初動売り上げが『1枚』だったんですよ。それを考えたら、今は全国で1万5000人規模のツアーをやらせてもらえるようになったので。本当に、声のデカさをとりあえず体感しに来てほしいですね」(布川)

「単独は変なネタを、すごい力強くやってるんで。疲れると思うんですけど、めっちゃ元気になれると思う」(みちお)

 柔道部の先輩後輩として出会い、極貧時代をサバイブしてきたトム・ブラウン。どん底の時代に磨き上げたハングリー精神と絆はいまも変わっていない。「大きな声」と「熱量」が特徴の舞台には並々ならぬ気迫がこもっているに違いない。

□トム・ブラウン単独ツアー2026『僕は僕のよこがおを知らない』
・5月29日(金)
18:00開場/19:00開演/21:00終演
@愛知・青少年文化センター

・5月30日(土)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@愛知・青少年文化センター

・5月31日(日)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@岐阜・じゅうろくプラザ

・6月7日(日)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@札幌・共済ホール

・6月8日(月)
18:00開場/19:00開演/21:00終演
@札幌・共済ホール

・6月20日(土)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@大阪・エルおおさか

・6月21日(日)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@大阪・エルおおさか

・6月28日(日)
14:45開場/15:30開演/17:30終演
@山形・山形県生涯学習センター 遊学館ホール

・6月29日(月)
18:00開場/19:00開演/21:00終演
@宮城・仙台市太白区文化センター

・7月5日(日)
14:45開場/15:30開演/17:30終演
@沖縄タイムスホール

・7月10日(金)
18:00開場/19:00開演/21:00終演
@FFGホール

・7月11日(土)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@FFGホール

・7月20日(月・祝)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@函館・函館市芸術ホール

・8月2日(日)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@新潟市音楽文化会館

・8月9日(日)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@広島県民文化センター

・9月12日(土)
14:30開場/15:30開演/17:30終演
@さくらホール

・9月13日(日)
12:00開場/13:00開演/15:00終演 ※未就学児OK
16:30開場/17:30開演/19:30終演
@さくらホール

・9月14日(月)
18:00開場/19:00開演/21:00終演
@さくらホール

・11月30日(月)
18:00開場/19:00開演/21:00終演
@明治座

トム・ブラウン単独ツアー2026『僕は僕のよこがおを知らない』チケット

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