――外山監督は芳根京子主演の「わさび」、村上虹郎主演の「春なれや」の2つの短編では脚本、製作、配給、宣伝まで1人で手掛けてきました。これまでのやり方とは違った？

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外山「でも、『今まで自分がやってきたことを捨てるな』というお二人だったんです。『器用に商業映画をやるな』『サイズが大きくなっても、そのままでいけ』と。そういう軌道修正をしてくださったので、ありがたかったです」

――村上さんはお二人とも仕事をしていますが、ヒロインにはインディーズ映画を中心に活躍している芋生さんを起用しました。どんな意図でしたか。

豊原「キャスティング、原作ありきには疑問を感じていました。役に合った人を純度高く選びたいと思っていました。実は、芋生さんとはその春に舞台の演出もしていたこともあったのですが、能動的にオーディションにやって来てくれた」

――本作では豊原さんは初のプロデューサー、小泉さんはアソシエイト・プロデューサーを務めました。現場ではどんな動きだったんですか？

豊原「プリプロ(製作準備)からベタづきでしたね。個人の仕事がある以外は現場にいました。俳優の送り迎えなどもやりました。『え、5往復？』。ここまでかというくらいのスケジュールだったので、ちょっと凹みそうになったこともありました(笑)。だから、ほかの現場に行った時にふと、『プロデューサーは来ていないのかな』と疑問を持ったことも。でも、他にも作品抱えてたら通常はそんなもんです。我々は初めてだったので、いろいろ知らなければいけないこともあったので」

外山「現場では本当に汗を流していましたね。見物人の方から『どこにいるの？』と聞かれたこともありました」

――外山監督から見て、豊原さん、小泉さんはどんな方でしたか？

外山「豊原さんは熱量がすごい。小泉さんは本当に親身になって、『監督とは何か』を教えていただきました。小泉さんは相米慎二監督や黒沢清監督など一流の映画監督と共にやってこられています。僕自身は1人で映画を作るというやり方をやってきたので成熟できてないことだらけで、スタッフと一緒にやるということはどういうことなのか、信頼関係を築くには、など教えてくれました。またデジタル世代の僕はフィルムの時代と違って、デジタルは得だと思っていたけども、フィルムでワンシーンワンカットを撮る情熱など失っているものが沢山あることを気付かさせてくださいました」