岩手でガソリン混入の灯油が販売 全42件が回収済み、発生の背景に運営元「100%ヒューマンエラー」

岩手・大槌町のガソリンスタンドで、1月25~26日にかけて販売された灯油の中に誤ってガソリンが混入していたことが分かった。ガソリンが混入した灯油は、29日正午までに42件全てを販売元が回収。幸い大事には至らなかったが、灯油が混入したガソリンを使用するとどのような危険性があるのか。また、一般の人が見分けることは可能なのか。混入事故を起こしたガソリンスタンドの運営元に話を聞いた。

岩手でガソリン混入の灯油が誤販売(写真はイメージ)【写真:写真AC】
岩手でガソリン混入の灯油が誤販売(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ガソリンが混入した灯油は、29日正午までに42件全てを回収

 岩手・大槌町のガソリンスタンドで、1月25~26日にかけて販売された灯油の中に誤ってガソリンが混入していたことが分かった。ガソリンが混入した灯油は、29日正午までに42件全てを販売元が回収。幸い大事には至らなかったが、灯油が混入したガソリンを使用するとどのような危険性があるのか。また、一般の人が見分けることは可能なのか。混入事故を起こしたガソリンスタンドの運営元に話を聞いた。

 灯油が混入したガソリンを販売したのは、同町のガソリンスタンド「セルフサービスポート マスト」。同スタンドを運営する冨士見総業株式会社の担当者によると、日々の燃料在庫を確認する帳簿を確認したところ、販売記録とタンク内の実在庫に差異があり事態が発覚。各所への連絡に至ったという。

 担当者は、「購入された方にはスタンドまで持参していただきました。すでにご自宅のタンクに入れられている方も数人おられ、その場合はこちらで回収にうかがい、新油をお持ちし対応させていただきました」と対応を説明。店舗に返却に来た購入者からは「大変だったね」「間違いはあるから」などの声をかけられたといい、「温かい励ましの声をいただき本当に助けられました」と語る。

 今回のように、異種の油種が混ざることは「コンタミ事故」と呼ばれる。同社でコンタミ事故が発生するのは初めてだといい、発生理由については「社内ではタンクローリー受け入れのマニュアルやチェックリストをそろえていますが、それらの記入がきちんと行われておらず、今回の問題が起きました。きちっとマニュアル通りに決められたことをやっていると、絶対起こらないこと。自然発生の可能性はなく、100%ヒューマンエラーです」と言い切る。

 大事に至らなかった要因は、周知活動の徹底にあるという。

「一番は防災ラジオによる情報の周知ですね。大槌町は被災地のため、防災ラジオが配布されており、そこで約1時間に1回、情報を発信しました。街に設置された防災無線や、新聞・テレビといった各メディアに取り上げられたことも大きかったです。確認方法としては店舗に持参、もしくはご自宅に回収に向かった際に、購入されたレシートとガソリンが混入した灯油を販売してしまった時間を照合し、判断いたしました」

 ガソリンが混入した灯油を実際に家庭で使用してしまうと、「ストーブに使用した場合、異常燃焼し、発火して火災に至ります」と担当者。今回は自治体やメディアの働きで周知され、使用事故を未然に防ぐことができたが、購入者自らコンタミ事故に気づくことはできるのだろうか。

「においでも見分けることはできますが、一般の方には難しいと思います。判断できるとすれば色ですね。灯油とガソリンは本来無色透明ですが、ガソリンには赤みを帯びた色、軽油には黄緑色がわざと着色されています。今回の問題を受けて、店舗にあった該当の灯油を確認したところ、正規の灯油に比べ色の違いが見られました」

 今後の対応について、担当者は「事案が発生したスタンドも含め、全スタンドで研修を開き、受け入れ手順の確認徹底など1つ1つ再教育を行っていき、再発防止に努めてまいります」としている。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください