大阪城ホール2DAYSの有観客ライブが無事終演 観客のマナーが今後の指針、音楽業界に光

「Osaka Music DAYS!!! THE LIVE in 大阪城ホール」公演2日目に登場した奥田民生
「Osaka Music DAYS!!! THE LIVE in 大阪城ホール」公演2日目に登場した奥田民生

奥田民生は久しぶりのステージに緊張「曲、覚えてるのか?」

 ステージごとの転換時には空気の入れ替えも兼ねて、たっぷりと時間が取られていた。グッズ販売やトイレも混雑することはほとんどなく、観客は入場時に配られたアルコールスプレーでこまめに消毒を行っていた。観客の動きが今後のライブの指針となる。集まった音楽ファンみんなが生のライブを体験したいという願い、その全てがこのイベントを作り上げているのがよく分かった。

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 アコースティックの弾き語り“ひとり股旅”で登場した奥田民生は「人前に出るのは久々、緊張しております……曲、覚えてるのか?」と苦笑いしつつも、「愛する人よ」を披露。鳴りの強い歌声といつものペースでライブが進んでいくが、さすがの奥田も久しぶりのライブと歓声の聴こえない客席に戸惑う瞬間も。それでも「今やってはいけない曲です」と冗談を言いつつ、「さすらい」でステージを締めた。

「スターダストレビュー」は「年寄枠の出演」(平均年齢61歳)と自虐するも、今なお年間100本以上の公演を続けるベテランアーティスト。半年近くライブができなかったのはデビュー以降初めてのことで、「自分たちの音楽を育ててくれたのは観客の拍手があってこそ」と感謝の気持ちを伝え、「夢伝説」「木蘭の涙」など名曲を披露。根本の美しいハスキーボイスとどこまでも伸びていく高音、抜群の演奏力は圧巻だった。

 リハーサルから楽しげに音を鳴らしていた「Saucy Dog」は1曲目の「煙」から軽快なリズムと心地よい緩急をつけたサウンドで会場の熱量を高めていくと、アグレッシブなサウンドの「雀ノ欠伸」ではメンバー3人がうれしそうに互いの表情を見て演奏していた。「MCでみんなが応えてくるだけでも楽しい」と、これまで日常的だったライブの1シーンでさえも今は新鮮に見えると感慨深げな様子も見せ、ラスト曲「結」で全身全霊のバンドサウンドを鳴らし、「ライブハウスでまた会いましょう」と約束を交わした。

 2日間のイベントを締めるトリは「go!go!vanillas」。まずは新曲「アメイジンググレース」で最新のバンドサウンドを鳴らすと、「思い切り夏を楽しんで!」と「SUMMER BREEZE」「エマ」とパワーチューンを連発。うれしくて楽しくて、でも歓声が出せない観客はたまらず地団駄を踏んだり、飛び跳ねたりと全身で音に応えていく。「ライブ最高!」と思わず叫んだメンバーの言葉に大きくうなずく人もいた。

 マスク越しでも伝わる1人1人の最高の笑顔にメンバーも盛大な音で応えていき、「絶対音楽は必要だよ。生の音楽はここ(ライブ)にしかない。まだきっと賛否両論があると思う。それでも今日ここに来てくれた人に、普通のライブをするんじゃなく、心に何か残したい」と、集まってくれた観客へ感謝の気持ちを伝え、最終曲「マジック」でステージの幕が閉じられた。

 観客のマナーの良さが光った今回のライブ。規制退場にゴミの持ち帰り、分散しての電車移動、帰路では混雑した飲食店に立ち寄らないなど、最後まで観客全員がルールを守って行動することが、また次のライブやイベントへの道につながる。難しいことは何1つない。ガイドラインやルールを守って、1人1人がしっかりと意識を持って行動することで、またライブハウスやコンサート会場で音楽が鳴り響き、バンドワゴンが全国各地を巡り、音楽がライブを愛する全ての人の元へとやってくるはずだ。

文=黒田奈保子

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