車屋の裏で眠っていた“日本の名車”を復活、35年かけて夢実現 息子も愛好家に成長「100%父の影響」
親子で旧車イベントに参加していた奥上さん。エントリーした車両は中学生の頃から憧れ続けたスバル360。クルマ屋に眠っていた車両を1年間掛けて登録までこぎ着けたこん身の1台。思い出のプラモデルを車内に置くなど思い入れもたっぷりだ。
35年間探し続けた憧れのクルマに乗る
親子で旧車イベントに参加していた奥上さん。エントリーした車両は中学生の頃から憧れ続けたスバル360。クルマ屋に眠っていた車両を1年間掛けて登録までこぎ着けたこん身の1台。思い出のプラモデルを車内に置くなど思い入れもたっぷりだ。(取材・文=土田康弘)
埼玉・所沢市で開催された第25回「クラシックカーフェスティバルinところざわ」(10月20日開催)に息子と参加していた奥上さん。エントリー車両はちっちゃくてカワイイ、スバル360(1965年式)。そんなスバル360には奥上さんの35年の思いがこもっていた。
「中学生の頃にすでに旧車だったスバル360は当時の旧車雑誌で初めて見かけたんです。すぐにそのボディーフォルムにほれ込んでいろいろと調べ始めました。開発ヒストリーの書籍も出ていたので読んだところ、歴史的にも意味のあるクルマで、ますます好きになっていったんです。中学の卒業アルバムにもイラストを添えて『360に乗るんだ!』と書いたのを覚えています」
その後、奥上さんは何台かのクルマを乗り継いだが、スバル360とはなかなか出会いがなかった。しかし、中学生の頃の思いを忘れてしまったわけではなくずっと探し続けていたのだ。そんなある日のこと、クルマ好きの友人から“クルマ屋さんの裏にスバル360が放置されている”と告げられる。
中学生の頃に作ったプラモデルが今も健在
「すぐにクルマを見に出向きました。するとガレージの裏側にひっそりとスバル360が置かれていたんです。まさに眠っているという感じでした。これは自分が乗らなければと思ったんです。交渉して購入することにしました。こうして中学生の時に憧れたクルマを35年の時を経て手に入れることができたんです」
不具合箇所もあったので少しずつ修理、レストアを実施して約1年間かけて走行可能な状態にしてナンバー登録、晴れて公道に乗り出すことになる。
「このクルマに乗るようになって、中学生の頃にスバル360のプラモデルを作ったことを思い出したんです。しかも物置を探していたら壊れていたけど奇跡的に残っていたんですよ。そこでディスプレーを新たに作ってスバル360の車内に飾ることにしたんです。これは35年間の思いをつないでくれているプラモデルでもあるんです」
親子でスバル360をシェアして乗る日も近い
今回のイベントに一緒に参加した息子は、クルマ好きの父の影響を受けて1歳の頃から車のイベントにも参加している。早々にクルマの免許を取って実家のクルマの運転も始めている。
「息子は運転免許は取ったのですが現在マニュアル車の練習中です。慣れてきたらスバル360に乗る許可を出すつもりです。息子もクルマにすごく興味があって、親子で話ができるのも楽しいですね」
息子も父のクルマ好きが遺伝し、旧車をこよなく愛する青年に育っていた。現代のクルマではなくやはり旧車に興味があるという。
「100%父の影響ですね。古いクルマにすごく魅力を感じるんです。特に360ccの2ストロークのクルマを自分でも所有して乗ってみたいと思っています」
長年温め続けたクルマに出会い、親子でカーライフを楽しんでいる奥上さん。クルマへの熱い思いが伝わってくる2人だった。