ジュリア、スターダム→新団体マリーゴールド移籍の真相「もっとあの爺さんから吸収したい」

女子プロレスの新団体マリーゴールドが20日、後楽園ホールで旗揚げする。ここに令和女子プロレス界のエース、ジュリアが参戦。しかも旗揚げ戦では因縁浅からぬSareeeとの対戦が実現する。ジュリアといえば、世界最大のメジャー団体WWEの「レッスルマニア」を観戦し、現地のNXTでも異例の紹介を受けたばかり。そんなジュリアは何を思うのか。

旗揚げ戦に向け準備万端のジュリア
旗揚げ戦に向け準備万端のジュリア

ロッシー小川に出会ったから今の私がいる

 女子プロレスの新団体マリーゴールドが20日、後楽園ホールで旗揚げする。ここに令和女子プロレス界のエース、ジュリアが参戦。しかも旗揚げ戦では因縁浅からぬSareeeとの対戦が実現する。ジュリアといえば、世界最大のメジャー団体WWEの「レッスルマニア」を観戦し、現地のNXTでも異例の紹介を受けたばかり。そんなジュリアは何を思うのか。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

 2024年最大ともいえる事件がついに動き出す。年間売上15億円と、新日本プロレスに次いで業界第2位のスターダムから離脱したロッシー小川氏が、同団体を退団した選手とともに新団体マリーゴールドを立ち上げた。ロッシー氏といえば、全日本女子プロレス時代から、日本の女子プロレス界をつくってきた重鎮だ。

 そのロッシー氏が、3月31日までスターダムのエースだったジュリアとともに新団体を立ち上げる。

 素朴な疑問として、なぜジュリアは新団体への道を歩もうと思ったのか。

「(新団体を立ち上げる話は)去年の段階で耳に入ってきたけど、いいと思ったし、その話を聞いた時、私は携わりたいなと思った。とくに誘われたりしたわけじゃなかったけど、ものすごく興味が湧いた」

 ジュリアは目を輝かせながらそう話した。

 だが、いわば令和女子プロレス界において最も安定した収入やステータスを誇るはずのスターダムを、なぜ離れようと思ったのか。

「私、なんかねえ……安定できないんだと思います。落ち着きがないんだと思う。1か所にずっといるのができないのかな。どういうことなんだろ、これは。もちろんスターダムにいて成長させてもらったし、学ばせてもらったし、今の自分があるのもスターダムにいたからだと思う」

 ここまで一気に話したジュリアは、一人の人物の名前をあげた。やはりロッシー氏だった。

「だけど元を辿ると、ロッシー小川に出会ったから今の私がいるから。あの爺さんといると面白いんですよ、すごく。ホント女子プロレスをすべて知り尽くしている辞書みたいな人だから、あの人の昔話とかをBGMみたいに聞いているだけでメチャクチャ面白い。勉強になるから、そういう話もたくさん知りたい。プロレスの考え方みたいな、そういうのはたぶん、ロッシー小川を超える人は、たぶんいないと私は思うから。それをもっとあの爺さんから吸収したいと思った」

 前述通り、新団体マリーゴールドの旗揚げ戦で、ジュリアはSareeeとの対戦が決まっている。

「やっとか……ていう気持ちもあるけど、今がいいタイミングではあるかなみたいな。もうちょっと前の私だったら、相手にされなかった可能性もあるのかなあみたいな。そこはわからないけど。でもSareeeとは5、6年前に一度シングルでやっているけど、今のジュリアはその頃とは全然違うし、その間にSareeeもいろんな経験をしてきて今がある。旗揚げ会見でも言ったけど、私が今のSareeeと闘うことは、ベルト以上に価値があると思っているから。ベルトがなくたってSareeeはSareee。そういう選手って、この女子プロレス界って何人いるんだろう?」

5月20日、後楽園ホールでは、ついにジュリアとSareeeが危険な再会を果たす
5月20日、後楽園ホールでは、ついにジュリアとSareeeが危険な再会を果たす

「あの時の悔しさがあったから今の自分がいる」

 実はここで振り返りたい話がある。2023年3月、WWEとの契約期間を終えたSareeeが、帰国した際に物議を醸した言葉があった。

「プロレスなので、私は“闘い”だと思うんですね。なので、キレイとかわいいとか、いいですよ。もちろんそれもいいんですけど、その前にしっかりと“闘い”をやった上で、そういうことをやっていかないと。ウソはあとからバレてしまうので。しっかり私が“闘い”っていうものを日本の女子プロレス界に。(日本に)帰ってきて、しっかり見せていきたいと思っています」(2023年3月13日、猪木元気工場(IGF)で実施された「Sareee-ISM」開催決定会見でのSareeeの言葉より)

 これを聞いたジュリアが当時、一部のメディアで持論を展開していた。改めてこれについての見解を求める。

「Sareeeの話を聞いた時、これはスターダムのことを言っていると思った。言われやすいから。っていうのは一番大きな団体ですよね、会社として。だから、もちろん真面目に取り組んでいる選手もいるんだけど、なかにはそうじゃない選手もいるんですよ。大きくなってくると、そうじゃない選手も出てきて、ちょっと環境が悪い時期もあったんですね。ご存知の通りだと思うんですけど、そういう時期に怪我人が続出したりだとか、そういう時期に『練習してないんじゃないか』とか言われて、結果的にはそこにつながったんですよね。だけど、真面目にやっているヤツもいるんだよ。だから、やっているヤツもいるのにその言い方。ちゃんと見えてないだろって私は思ったの。なんならお前も顔、かわいいしって感じだったから、ちょっと言い返したくなっちゃったの」

 ともあれ、Sareeeがこの1年、令和女子プロレス界で文字通り「闘い」を色濃く見せつけてきたのは事実であり、ジュリア VS Sareeeが令和女子プロレスにおける最大のキラーカードであることもまた、否定する者はいないだろう。

「そのくらいに育ってきましたか? それは私が頑張ったからですよねえ?」

 思わずジュリアに「そういう気持ちがある?」と聞き返すと、「ありますよ、あります、あります」と答えたジュリアは時計の針を2019年に戻した。

「移籍をしたんですよね、昔(2019年10月)。アイスリボンっていう団体からスターダムに移籍をした時に、悪い辞め方だったから、悪いイメージがついて。バッシングもいただきましたし、いろんな意見もいただきましたし、その時に、絶対にこれはひっくり返さないといけないと思ったんですよ。迷惑をかけた人いるので。そういう人たちのためにもだし、ファンのためにもだし、一番は自分自身、家族のためにも友だちのためにも。全部のために私は『絶対にこんなヤツ成功しねえから』って言われた言葉をひっくり返さなきゃいけないって一番に思っていたから、あの時の悔しさがあったから今の自分がいると思いますね、はい」

リラックスした表情を見せたジュリア
リラックスした表情を見せたジュリア

新団体マリーゴールドはプロフェッショナルが集まる場所

 再び時計の針を2024年に戻そう。実はひと月前、ジュリアは世界最大のメジャー団体WWEの「レッスルマニア」を観戦した。

「(『レッスルマニア』には)圧倒されましたよ。スケールが全然違うし、壮大で、感動して、圧倒されて、バックステージでもそうだし、8万人の観客の一気に怒る大歓声と。あれはホントに行ってよかったなっていうか。もちろん日本のビッグマッチで3千人の会場で闘って、それがその次の大会で何百人増えたとかって、それもいいけど、あれを見ちゃうと、それじゃ満足できないなって……。目指すところって果てしなく、ホント高いところまでどこまでもあるなっていうのをすごく実感したんですよ。私はそういう気持ちで居続けたいなあって」

 実際、WWEの傘下団体であるNXTでは、最前列で観戦中のジュリアが会場にある大型スクリーンを使って、紹介されるシーンが。米専門メディアでは「ジュリアはWWEのNXTに向かうだろう」と断定的に報道されていた。これに関してジュリアは、「人生、何が起こるかわからないことが、私は生きていて連発しているんですよ。だから安定していないんですよ、私の人生」と話し、次のように続けた。

「この間、私がアメリカに行った時に、NXTで私がバーンてスクリーンに映る(紹介される)ことも、(WWEの首脳陣の一人である)HHHと握手して、それをXにUPすることも、その直前まで思いもしていなかったことが起きてる。マリーゴールドっていう新団体ができるってことだって誰が想定したの? 私だって想定していなかったことが突然起きて、それの連続なんですよね」

 そこまで話すと、ジュリアは「正直、私がここにいられるのは、もしかしたら短いかもしれないし、ずっといるかもしれないし、それはわからない」と話したが、「だけどここ(マリーゴールド)は本当に努力をしている人に限るけれども、レスラーとして目指すべき場所にふさわしいプロフェッショナルが集まる場所で、半端な気持ちで足を踏み入れては行けない場所だと思ったッスね、はい」と口にした。

 スターダムからの離脱、新団体の旗揚げ、WWEとの遭遇と、畳みかけるようにジュリアの人生は動き出したが、実際の旗揚げ戦におけるSareee戦で、ジュリアはいったい何を見せるか。

「私はこれは始まりだと思っているので、ジュリアVS Sareeeの。もちろんプロレスだからキレイな技だったり、個性だったりいろいろあるけど、やっぱり……気持ちですよね、見せたいのは。さっきも言ったけど、ベルト以上の価値がある選手だから、Sareeeは。だけど猪木イズムだかSareeeイズムだか分からないけど、そんなことはどうでもいいから、Sareeeの中味を全部教えてよって思う。全部叩き込んでくれよって。何をしてもいいよ。だって私がずっと闘いたかったんだもん。あの時に受けた刺激をずっと5年間ずっと欲していたから。だから、何かある度に名前を出していたんだと思いますよ、無意識に。たっぷり味わいますよ、まずは。これははじまりなので…」

 注目の大会は20日、後楽園ホールで開催される。令和女子プロレスにおける最も熱い闘いが火蓋を切る。

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