吉永小百合、朗読で坂本龍一さんを追悼 東北ユースオーケストラ演奏会の出演

俳優の吉永小百合が31日、東京・サントリーホール大ホールで開催された「坂本龍一監督追悼 東北ユースオーケストラ演奏会2024」に出演。約2000人の観客を前に坂本さんへの思いを込めて朗読を披露した。

演奏会で朗読を行った吉永小百合
演奏会で朗読を行った吉永小百合

東日本大震災からの復興を支援しようと立ち上げたオーケストラ

 俳優の吉永小百合が31日、東京・サントリーホール大ホールで開催された「坂本龍一監督追悼 東北ユースオーケストラ演奏会2024」に出演。約2000人の観客を前に坂本さんへの思いを込めて朗読を披露した。

 東北ユースオーケストラは、昨年3月28日に亡くなった作曲家の坂本龍一さんが東日本大震災からの復興を支援しようと立ち上げたオーケストラ。団員は東日本大震災の被災三県(岩手県・宮城県・福島県)を中心とした小学生から大学生までの子どもたちで構成されている。

 今回は坂本さんと親交のあるバイオリニストの成田達輝氏、ピアニストの中野翔太氏らをゲストに招き、総勢100人を超える団員が楽曲ごとに編成を変えながら坂本監督に捧げる演奏を2時間に渡り、心を込めて披露した。

 吉永はインターバルをはさんだ第2部に登場。坂本さんとの思い出の曲に合わせて、5つの詩を朗読。平和への祈り、未来への思いを朗読に込めて坂本さんを追悼した。

 朗読を終えると「(東北ユースオーケストラとの演奏会は)2016年からいつも楽しみに立たせていただき、(今回も)うれしい気持ちで一杯です。皆さんが一生懸命練習して年ごとに素晴らしい演奏をなさるようになって」とほほえみを浮かべてオーケストラの成長を喜んだ。

 続けて坂本さんとの思い出を語った。

「今までは(坂本さんと)メールで、『この詩はどうでしょうか』と言うと『じゃあこの曲にしましょう』といったキャッチボールをしていました。(朗読の1曲目に演奏した)『母と暮らせば』という作品は私が二宮和也さんと共演した映画で、本当にお忙しいのを無理に坂本さんにお願いに上がった大好きな曲なんです」

 海外でのエピソードも披露し「東日本大震災が起こった半年後だったと思います。イギリスのオックスフォードの小さな教会の中で(坂本さんと)朗読会をやらせていただきました。その時、坂本さんがお弾きになったのは110年前のピアノでした。ところが観客の方たちにお尻を向けた状態で置いてあったので、『観客に坂本さんの背中を見せて弾かせる訳にはいかない』と、私たちスタッフがそーっと(笑)。周りに分からないようにピアノの向きを変えて朗読を行いました。すると演奏中に1羽のハトが教会の中で飛んで、それに気付いた坂本さんが『とても感動した』と仰ったんです。私も『平和の使いなのかしら』って気がしましたし、もしかしたら(今は)『大空で坂本さんがそのハトに出会っているかもしれない』ってそんな気がしました」としみじみと語った。

 最後に「これからも(東北ユースオーケストラの)皆さんとご一緒したいですし、観客の皆さんにもぜひぜひこれからも東北ユースオーケストラを応援してください。お願いいたします」と手を振った。

 この日はアンコールを含め全13曲が演奏され、ステージ後方に配置された大きなスクリーンには坂本さんと東北ユースの団員との交流、真剣なリハーサル風景、懐かしい思い出の写真など生前の姿が演奏とリンクする形で映し出された。

『El Mar Mediterrani』、『The Sheltering Sky』、『The Last Emperor』など坂本さんを代表する作品が栁澤寿男氏の指揮で次々に演奏され、ステージ中央には坂本さんがコンサートで演奏していたグランドピアノが坂本さん用に調律された状態で置かれ、ピアニストの中野氏が坂本さんに代わり演奏した。

 本編最後に『Merry Christmas Mr. Lawrence』を披露するとスクリーンに映る坂本さんのピアノに合わせてオーケストラが演奏する感動的な演出が施され、客席からはすすり泣く声が聞こえてきた。

 アンコールでは、1984年の代表作『音楽図鑑』から『Etude』を演奏した。吉永も再びステージに登場し、笑顔を見せながら約2000人の観客と一緒に大きな手拍子で締めくくった。

次のページへ (2/2) 【写真】吉永小百合のアザーカット
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