『音楽の日』91人ダンスコラボ演出のs**t kingz 『ラヴィット!』でAD60人パフォーマンス実現へ「既にウルウル」

4人組ダンスパフォーマンスグループ・s**t kingz(シットキングス、略称・シッキン)は、昨年7月15日放送のTBS系特番『音楽の日』で、総勢91人によるダンスコラボをプロデュースした。インタビュー「後編」では、事務所の垣根を越えて実現したコラボの裏側、今年1月から出演しているTBS系『ラヴィット!』のこと、グループと各自の今後を語っている。

s**t kingzの(前列左から)Oguri、NOPPO、(後列左から)kazuki、shoji【写真:北野翔也】
s**t kingzの(前列左から)Oguri、NOPPO、(後列左から)kazuki、shoji【写真:北野翔也】

昨夏に事務所の垣根を越えさせた4人が26日、レギュラー最終日に締めくくり

4人組ダンスパフォーマンスグループ・s**t kingz(シットキングス、略称・シッキン)は、昨年7月15日放送のTBS系特番『音楽の日』で、総勢91人によるダンスコラボをプロデュースした。インタビュー「後編」では、事務所の垣根を越えて実現したコラボの裏側、今年1月から出演しているTBS系『ラヴィット!』のこと、グループと各自の今後を語っている。(取材・文=よもつ、構成=柳田通斉)

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shoji「(『音楽の日』の企画は)TBSさんから、『いろんな事務所の人が集まるので、ダンスで何かできないですか』と話をいただき、『この人たちとこの人たちがこの曲でコラボしたら面白いかも』ということをリストアップしました。若い子たちのパフォーマンスを途中で入れることも提案しました」

kazuki「事務所の垣根を越えるという思想、スタートはSKY-HIが始めた(プロジェクト)『D.U.N.K』です。そこをテレビ版として全員で引き継いだみたいな感覚はありました。SKY-HIも見に来てくれて、応援してくれていました」

kazuki【写真:北野翔也】
kazuki【写真:北野翔也】

強烈なインパクトを残した企画の成功までには、出演者、スタッフ、関係者全員の苦労があった。

shoji「(旧ジャニーズ事務所の)Travis Japanの出演は『難しいですよね』みたいな話をした時に、TBSの方が『せっかくの企画なんで、僕たちも頑張ります』と言って、交渉してくださいました」

kazuki「(昨年12月の『D.U.N.K』にTravis Japanが出演した際に)MCで言っていましたけど、『音楽の日』がきっかけでトラジャは、いろんなアーティストとコラボしていくようになったようです。変わるきっかけになったのかなと」

Oguri「(準備の大変さは)僕らもそうですけど、手伝ってくれるアシスタント達も40~50人動員して、それぞれが振り入れをしてくれました」

shoji「アシスタント達で1度人数分の立ち位置とかも全部作って、バラバラに振りを教えに行ったり、一緒に集まって練習したり。期間も短かったら大変でしたね」

Oguri「いろんな返事を待ったりとか」

shoji「どの事務所も初めてだったので、『どこまでOKしていいのか』といろいろと悩まれて、僕たちも質問に『(アーティストの)見栄えが悪くなることはありません。絶対にカッコいいものになるので』と言って、すり合わせて作っていきました。(少年隊の『仮面舞踏会』をGENERATIONSの白濱亜嵐がセンターで踊るなど)あえてその事務所じゃない方をセンターにしました。『みんなで新しいものが始まった』というのを感じて欲しかったので」

NOPPO「郷(ひろみ)さんにも参加してもらって」

kazuki「一緒に(『R.Y.U.S.E.I.』のダンス)やってくれてましたね」

shoji「『往年のダンスナンバーをやろう』となった時に郷さんの話が出ましたが、誰よりも笑顔で踊ってくださった。しかも、立ち位置が5.5番だったんです。『GO!GO!』で(笑)。それに気付いて、『ボク5.5番なの?』と喜んでくださいました」

NOPPO【写真:北野翔也】
NOPPO【写真:北野翔也】

SNSで調べて「この人とこの人でやったら萌える」で組み合わせたコラボ

NOPPO「コラボ相手のことも、shoji君がそのアーティストのファンの方の反応を調べて、『この人とこの人でやったら絶対萌えるから』っていろいろと考えていました」

shoji「この2人は同じオーディション番組に出ていたとか、同じダンスグループやスクールにいたとかをSNSで調べました。うれしかったのは、『シッキンさんがやってくれるなら』と言って、出演してくれた方がたくさんいたこと。自分たちが15年近くかけて積み重ねてきたものがあって、『音楽の日のパフォーマンスができたんだな』と考えると、『やってきて良かったな』と思います」

言葉通り、この企画の実現はs**t kingzの4人が、これまで振り付けで多くのアーティストや関係者と関わってきたことが大きかった。

shoji「4人でほとんど全部の事務所と仕事をしているので、いろんな人と話せてコミュニケーションが取れる。僕たちが一緒に『イェーイ』と言っていた人やアーティストの方たちが、会社で偉くなってる(笑)。ダンサーに愛がある人たちがたくさんいる。だから、今後も僕たちが動いて、次の世代のために変えていきたいという思いはあります」

そんな4人の2024年は、『ラヴィット!』のシーズンレギュラー出演から始まった。

kazuki「始まるまで緊張しました。生放送だし、(共演者は)スキルフルな芸人さんだし、何が飛んでくるか分からない。準備のしようがないから、過去の放送をたくさん見て『こういう雰囲気なんだ』というのをつかむ努力はしました」

shoji「NOPPOは不安がってたもんね」

NOPPO「僕は口下手なんで。そういうのは……苦手です(笑)」

kazuki「毎回、何か(カツラを)被ってるよね。NOPPOが出演したときの写真がポンと(Xに)出て、カツラ? ってなる」

NOPPO「逆に『助かった』と思ってます(笑)」

shoji「変なこと言っても、皆さんが面白くしてくれるので、『芸人さんってすごいな』と感じています。うちの息子たちは小学生ですが、友達から『見た』って言われるらしくて、それがすごくうれしいです。子どもたちはダンサーがバラエティーに出てることに違和感を持っていないですし、そういう先入観のない人たちがこれから育っていくと思うと、ダンサーにとってプラスだと思います」

番組に出演してグループの知名度を上げ、ダンスの裾野を広げる。結果、次世代ダンサーが活躍する場が増えると信じている。

shoji「僕たち、今年は『s**t kingzFes』(7月27、28日・横浜BUNTAI)をやるんですけど、そこでも頑張ってるダンサーたちをピックアップして、ダンスを披露できるようなコーナーを作ったり、僕たち自身もパフォーマンスを見せていきたいと思っています。あとは、海外でのワークショップができたら。コロナ禍で止まっちゃったので、そういうのも少しずつ始めたいです」

Oguri【写真:北野翔也】
Oguri【写真:北野翔也】

俳優、トークショー、絵画…個人活動が充実も「夏から毎日4人で」

近年、shoji、Oguri、NOPPOは俳優活動に取り組んでいる。NOPPOは4月期の日本テレビ系『ACMA:GAME』に出演。Oguriは、4月26日開幕の舞台『空夢』(東京・すみだパークシアター倉)に出演する。

Oguri「以前、ダンスの先輩たちがダンサーだけでやる舞台みたいなのをやっていて、それに1回参加したのもあって、事務所に入るときに『お芝居もやっていきたいです』と伝えました。ただ、(ダンスとは)全然違いますね。つながるものだと思ってたんですけど、まだつながらない。でも、できないことがある方がワクワクします」

NOPPO「(現場では)目、バッキバキですよ(笑)。でも、そうした(俳優)方と触れ合えるのが、経験として本当にうれしいですね」

shoji「舞台は演出家の方と話し合って一緒に悩んで、共演者の方いろんなことを共有し合えるんですけど、映像の世界には違う難しさを感じます。初めてのドラマは(TBS系)『半沢直樹』でしたが、周りにうまい人しかいなかったのですごく勉強になりました。なので、共演の方たちが休憩中に何をしているのか、本番直前はどういう切り替えがあるのか、そんなことを見てました。一流歌手の方やダンサー達からいろんなことを学んできたので、見て学ぶ習慣がついています」

kazukiはYouTubeチャンネル『カズキのタネ』の全国トークショーツアーが3月から始まり、NOPPOは作画および原案を手掛けた絵本『ちぐハグ』を4月27日に出版。5月1~5日には、初個展を横浜市の象の鼻テラスで開催する。

shoji「s**t kingzってダンスが軸ですが、『どのs**t kingzが面白いか』を探し続けたいと思っています。50歳になった時に、『シッキン、今、新しいことやってるな』と思ってもらえる。そういうグループでい続けたいです」

個人活動が多忙だと、4人がそろう機会は少なくなる。だが、それは全メンバーが望んでいたことだった。

kazuki「4人で集まれる日は減りましたね。フェスの準備で打ち合わせをしたいときも、すぐにできない。でも、それを目指してはいましたし、やりたいことをやれるグループで、4人で集まったときに、『バッとパワーを発揮する』というのを言っていました」

『ラヴィット』も2人ずつの出演。だが、3月26日のレギュラー最終日には4人で出演予定だ。s**t kingz振り付けの番組AD総勢60人以上によるダンスも準備されている。

shoji「ADさんたちの普段の仕事ぶりをテーマにしたストーリー性のあるダンスを作りました。曜日ごとに違うADさんたちが頑張って練習して踊っているのを見て、既にウルウルきています。ぜひ、見ていただきたいです」

4月以降も個々の活動をしながら、グループとしての準備も進めていく。

shoji「今年も4人でやれることを準備しています。夏ぐらいからは毎日のように顔を合わせる日が始まるのかなという気がします」

人々を巻き込みながらダンスの可能性を追求しつつ、新しいフィールドにも挑戦する4人。40代、50代になっても、彼らは唯一無二の存在を目指し続ける。

リーダーのshoji【写真:北野翔也】
リーダーのshoji【写真:北野翔也】

“振り付け著作権”の確立を目指した動きも「次世代のために」

〇…shojiは「振り付けの著作権」にも言及した。国内では作詞、作曲、映像作品などの著作権が法律で守られているが、ダンスの振り付けにはそれがないからだ。「法律を変えて、管理団体を作って、各音楽事務所、レーベルがそこと契約することになるので、僕たちの時代には完成しないと思います。ただ、ダンサー、振り付け師を目指す子どもたちもいるので、そこを守れるようにはしたいです」。振り付けに権利が発生すれば、“発明者”に著作権料が入る。その分、振りを自由に真似できなくなる可能性もあり、shojiも「『これをやるなよ』の考えではないです」と話す。難しい問題だが、海外では個人レベルで振付師の権利が認められるようになっているという。多くの事務所と関わりを持つs**t kingzは、そんな難題解決の担い手にもなろうとしている。

□s**t kingz(シットキングス)2007年に結成のダンスパフォーマンスグループ。メンバーは、リーダーのshoji(持田将史=39・神奈川)、kazuki(濱本和樹=37・神奈川)、NOPPO(増田昇太=37、神奈川)、Oguri(小栗基裕=37・東京)。米国最大のダンスコンテスト「Body Rock」で10、11年と連続優勝。世界各国からオファーが殺到し、これまで25か国以上を訪問。三浦大知、BLACKPINK、東方神起ら国内外のアーティスト450曲以上の振り付けを手がけている。

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