「なんちゅうセンスや!」貴重ポルシェに独自カスタム 50代オーナーの圧倒的こだわり

「なんちゅうセンスや!」。自動車ショップから帰ろうとしたら、カスタムした愛車を見て突然、後ろから聞こえてきた他の客の声…。それは車のオーナーにとって決して気持ちのいい言葉ではないだろう。しかし、「気にしない」と悠然と構えたのが、17台のポルシェを乗り続けている555(@930turbo77_88)さんだ。愛車への思い、こだわりについて詳しい話を聞いた。

1979年式ポルシェ911(930)SC【写真:555さん提供】
1979年式ポルシェ911(930)SC【写真:555さん提供】

ポルシェに乗って17台目 「この911は好きなようにして乗ろうと」

「なんちゅうセンスや!」。自動車ショップから帰ろうとしたら、カスタムした愛車を見て突然、後ろから聞こえてきた他の客の声…。それは車のオーナーにとって決して気持ちのいい言葉ではないだろう。しかし、「気にしない」と悠然と構えたのが、17台のポルシェを乗り続けている555(@930turbo77_88)さんだ。愛車への思い、こだわりについて詳しい話を聞いた。

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「ポルシェに何を履こうが、何色を選ぼうが、
自分が楽しければ
それが一番だ!と思いながら
ショップを後にする

背中で聞こえる
『なんちゅうセンスや!』など
気にしない
人の声に惑わされることほど時間の無駄は無い
好きなように
好きな911に
好きなホイール履かせる」

 2月26日、555さんが投稿したのは1枚の愛車のカスタム画像。1979年式のポルシェ911(930)SC 3.0で、昨年12月に購入した1台だ。

「私にとって17台目のポルシェです。現在他に3台所有していますが、そちらはノーマルで維持しようと思っているので、改造できないことにストレスが溜まり、この911は好きなようにして乗ろうと思いました」

 カスタムは、内外装に555さんのこだわりが満載だ。

・純正シートにぺピタグリーン(千鳥格子)のファブリックを貼る
・エンジンフードグリルはアメリカのクラフト工場にオーダー
・数年前から保管していた 944turbo用のホイール「テレフォンダイヤルホイール」を「アップルグリーン」にペイント
・ホイールに合わせてボディーサイドにデカール(カッティングステッカー)を貼る
・ポルシェのシンボルクレスト(ブランドロゴ)がグリーンにリペアされているものをイーベイで見つけて購入して交換

 白いボディーに、グリーンが映える唯一無二のオリジナルカスタム。統一感があり、デザイン性も秀でている。

 しかし、ショップで他の客から聞こえて来たのは、思わぬ声だった。

「なんちゅうセンスや!」

 ポルシェに精通する555さんは、その背景をこう語った。

「最近、古い空冷ポルシェは特に改造はご法度みたいな雰囲気があります。ネットでもノーマルの方が販売額も高いですし」

 45年前のポルシェはまさにその範囲の1台。声の主は顔見知りで、同じくポルシェに詳しい人というのが分かる。

 ただ、愛車をどのように楽しむかはオーナーの権利だ。

「ノーマルにこだわって楽しむのもあり、改造して自分だけの車に仕上げるのもあり、楽しみ方は自由だと思います。趣味の世界を縛られるのは一番の時間の無駄です」と指摘する。

1989年式ポルシェ930スピードスターも所有。妻と参加したクラシックカーラリーにて【写真:555さん提供】
1989年式ポルシェ930スピードスターも所有。妻と参加したクラシックカーラリーにて【写真:555さん提供】

子どもが独立後、妻が後押し「そろそろ好きな車買っていいよ」

 50代後半の555さん。ポルシェとの出会いは、小学校にさかのぼる。

「小学生時代に『サーキットの狼』がはやり、スーパーカーブームがありました。その時からのポルシェファンです。ポルシェ以外に興味はありません」という筋金入りのマニアだ。

 一方で、車を所有するまでは時間を要したと振り返る。

「実際にポルシェに乗るまでには時間がかかりました。働いて(経済的に)ある程度の余裕はありましたが、子どもが3人いますから。結婚当初乗っていた日産のスカイラインGT-Rを手放して、ファミリーカーに乗り換えました。仕事も忙しくなり、車のことは忘れて毎日忙しく働いていました。やがて子どもたちが大学卒業して肩の荷も下りたころ、妻から『そろそろ好きな車買っていいよ』と言われて、、、それじゃぁ『ポルシェに乗りたい!』と子どものころの夢を実現させることになりました」

 待望の1号車が自宅にやってきたのはわずか9年前のこと。ようやくハンドルを握って、街を走らせることができた。

「それからはポルシェ漬けの日々です。9年で17台のポルシェに乗りました。空冷から水冷まで…1965年から続く911シリーズには本当にたくさんのモデルがあります。一度気になると乗ってみたくなるんです」

 1台で満足せず、愛車遍歴を重ねたのには理由がある。

「ポルシェは友人の車を借りて、少し乗るだけではダメなんです。実際に所有して、共に旅して、洗車して、メンテして(ショップ頼みですが)、そうやって各モデルの良さや悪さなど身をもって体験していると、おのずと数あるポルシェのモデルの中から、自分にとっての最良のポルシェが分ってきます。ぜいたくな話ではありますが、17台乗ってみて、『930』や古いほうが自分には合っているんだなぁと再認識しました。幸いご縁もあり、この930SCを手に入れました。他にも930型のスピードスターというオープンカーも持っています」

日曜の朝、車好きが集まる芦有ドライブウェイの様子【写真:555さん提供】
日曜の朝、車好きが集まる芦有ドライブウェイの様子【写真:555さん提供】

激変したカーライフ そして新たに加わる夢の1台とは…

 あまりに奥深いポルシェの魅力。9年間の間に、多くの思い出も作ってきた。

「出不精な私がポルシェを手に入れてから、あちこち行きました。クラシックカーラリー等のイベントにも妻と参加したり、クラブに入って年に2回 40台近いポルシェが集まるツーリングに参加したり、気の合う仲間と毎月のようにツーリングに出かけています。ツーリングのない日曜は東六甲展望台(芦有ドライブウェイ)に上がり、車好きの仲間と時間を忘れて車談義に花を咲かせています。ポルシェのおかげで楽しい毎日を過ごしています」

 あふれんばかりのポルシェ愛。ただ、これで終わりではない。

 18台目となるポルシェが、まもなくラインアップに加わろうとしている。

「実は今、1台納車を待っています。1966年製の1st generation911、一番最初の911です。私と同じ年のポルシェに乗る。また一つ夢がかないます」と555さんは結んだ。

次のページへ (2/2) 【写真】リアショット、リアエンジンフードグリル、グリーンのクレスト
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