芸歴16年の北原里英が語る俳優業のターニングポイント 先輩俳優の演技に涙したワケ

映画『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』(2月16日公開)に出演した俳優の北原里英(32)。2021年9月に結婚した俳優の笠原秀幸(40)は良き相談相手で、結婚生活が仕事にいい影響を与えていると語った。

インタビューに応じた北原里英【写真:荒川祐史】
インタビューに応じた北原里英【写真:荒川祐史】

結婚3年目の夫・笠原秀幸は「心強い」

 映画『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』(2月16日公開)に出演した俳優の北原里英(32)。2021年9月に結婚した俳優の笠原秀幸(40)は良き相談相手で、結婚生活が仕事にいい影響を与えていると語った。(取材・文=平辻哲也)

 07年、AKB48 第二回研究生(5期生)オーディションに合格して、08年からAKB48メンバーとして活躍。NGT48キャプテンを務めた北原。18年の卒業後、ドラマや映画に出演。21年には俳優の笠原秀幸(40)と結婚し、公私共に順調だ。夫とは仕事の相談をすることも多いのだという。

「同じ仕事をしているので、すごく心強いです。きっと難しい瞬間もあるのかもしれないけど、今のところ、うまくいっています。この『マーダー★ミステリー』も家で一緒に見て、『普段の芝居よりもいいね』と褒めてくれました。確かに素とお芝居の狭間のような絶妙な顔をしていて、自分はこういう顔をして、人の話を聞いているんだ、みたいな発見が多い作品でした」と振り返る。

 読書家で、昨年8月は『おかえり、めだか荘』(KADOKAWA)で小説家デビューも果した。ルームシェアするアラサー女性4人が30歳を目の前に立ちはだかる仕事や恋愛、結婚、家族の悩みをリアルに描いた成長物語。「KADOKAWAさんが小説を書ける芸能人を探している」とマネジャーから話をもらい、オーディションのようなスタイルで作品を読んでもらったのだという。

「小説でもエッセーでもいいから2つ作品を送ってください、と言われ、絵本になるようなポエムと、『おかえり、めだか荘』の原型になるアラサー女性の憂鬱を書いたエッセーを送ったら、気に入ってもらえたんです。編集者さんからは『ルームシェアを題材に連作短編集という形でどうですか?』と提案されました」

 書く時間が取れず、脱稿までは2年がかり。この映画の共演者で作家としても活躍する劇団ひとりに相談したこともあった。

「書き上げた後にタイトルづけで悩んでいたのが映画の撮影の時期だったんです。タイトルは50個くらい候補を考えたのですが、なかなか決まらなかったんです。ひとりさんは『いつかしっくり来ることがあるから、諦めちゃダメだよ』と言ってくれ、その後、100個以上出した中、最終的には原点に立ち返って、この題名にして納得できました。本当に感謝しています」

 劇団ひとりからは「半分まで読んだが、かっこつけていなくていいね。面白いし、上手だ」との感想ももらった。

「ありがたいことに褒めていただくこともあって、うれしいのですが、まだ読んでない人に届けるにはどうしたらいいのかと苦戦しています。今年の目標は映像化していただくこと。ドラマ向きではないかと思っているんですよね。今は2作目も書きたいと思っています」

 芸能生活は16年。俳優になりたくて、AKB48のオーディションを受けた。その気持を強くしたのは、AKB48時代の11年2月から放送された『桜からの手紙~AKB48 それぞれの卒業物語~』で先生役を務めた上川隆也の演技を見たことだった。当時は思うように女優業をやれていなかった。

「上川さんのお芝居を見て、本当に感動して、私もこんな芝居をやってみたいと思いました。上川さんの役は病で余命いくばくもない先生役でした。桜が咲く幻覚を見るというシーンでは、表情を見ているだけで、桜が咲く瞬間が分かるんです。涙があふれてきて、芝居って、こういうことなんだ、と思いました。私は今も、上川さんのような域にはいけていない」

 上川とはその後も共演する機会があり、昨年末には偶然、テレビ局で出会って、小説も手渡すこともできたという。

「夫も上川さんとすごく縁があるので、ヒデさんと結婚したことによって、より関係性ができた気もするので、すごくうれしいです。結婚してからは、いろんなことが変わってきました。安心して仕事ができるし、頑張らないといけないと思う一方、『この人がいるから大丈夫』っていう余裕もあって、ナチュラルに取り組めるようになりました」

 プライベートも変化に加え、仕事でも既婚者役、母親役が増えてきた。

「子ども好きなのでうれしいです。子どもとのお芝居はうそがない。お母さん役を積極的にやっていけたら、もう一皮むけるんじゃないかなと思っています。プライベートでもいつか子どもを欲しいと思っています」と願っている。

□北原里英(きたはら・りえ)1991年。愛知県出身。2007年、AKB48第二回研究生(5期生)オーディションに合格して、08年からAKB48メンバーとして活躍。15年、NGT48に移籍し、キャプテンを務める。18年にNGT48を卒業。卒業後、ドラマや映画に多数出演し活躍している。俳優ほか23年には小説家としてデビューを果たす。近年の代表作として、映画『女子大小路の名探偵』(23)、『神さま待って!お花が咲くから』(23)など。

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