エヴァ初号機を忠実再現 開発に数年…待望の商品化 ファン歴25年の記者も仰天した制作秘話

アニメ作品『新世紀エヴァンゲリオン』の初号機を、“マジで作れる”興奮が止まらなかった――。株式会社デアゴスティーニ・ジャパンが、週刊『エヴァンゲリオン初号機をつくる』を2024年1月4日から販売開始した。4部作で完結に至った新劇場版シリーズに登場するエヴァンゲリオン初号機を組み立てていく定期刊行シリーズで、数年かけて開発を重ね、細部までこだわった「忠実再現」が最大のポイントだ。頭頂高約55.5センチ、1/144スケールの大迫力。そして、パートワークという定期刊行物でエヴァ作品の組み立て模型をシリーズ化するのは史上初めてという。ファン歴25年の記者が僭越ながら、デモンストレーション用の完成版を体感し、ちょっとだけ作らせてもらった。

デアゴスティーニ・ジャパンが総力を挙げたエヴァンゲリオン初号機がすごい【写真:ENCOUNT編集部】
デアゴスティーニ・ジャパンが総力を挙げたエヴァンゲリオン初号機がすごい【写真:ENCOUNT編集部】

頭頂高約55.5センチ、1/144スケールの大迫力 デアゴスティーニ・ジャパンが総力結集

 アニメ作品『新世紀エヴァンゲリオン』の初号機を、“マジで作れる”興奮が止まらなかった――。株式会社デアゴスティーニ・ジャパンが、週刊『エヴァンゲリオン初号機をつくる』を2024年1月4日から販売開始した。4部作で完結に至った新劇場版シリーズに登場するエヴァンゲリオン初号機を組み立てていく定期刊行シリーズで、数年かけて開発を重ね、細部までこだわった「忠実再現」が最大のポイントだ。頭頂高約55.5センチ、1/144スケールの大迫力。そして、パートワークという定期刊行物でエヴァ作品の組み立て模型をシリーズ化するのは史上初めてという。ファン歴25年の記者が僭越ながら、デモンストレーション用の完成版を体感し、ちょっとだけ作らせてもらった。(取材・文=吉原知也)

 メカニックに組み上がった「専用台座」の上に、静かに屹立する初号機。なんと眼が白く光り、装甲板を外すと生々しいコア(機体の重要部分)も赤い光を帯びる。劇中でカギとなるアイテムのロンギヌスの槍とカシウスの槍が台座にかけられており、思わず「おおっ」と取材そっちのけで見入ってしまった。頭を触ってみると、金属の冷やっとする感覚が。開発に携わった同社マーケティング部マネジャーの辻太希さんは「ダイキャストという金属素材を用いています」と教えてくれた。辻さん自身、エヴァファンであるといい、取材を通してその言葉から情熱が伝わってきた。

 ちなみに、『:序』『:破』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の劇中で描写が異なっている歯についても、全3種類を用意。目を赤く光らせて歯を入れ替えることで、各劇場版の“暴走モード”の細かな違いも完全再現できると聞き、驚きのあまり絶句してしまった。

 エヴァの機体は、敵キャラクターである使徒などから猛攻を受けることが多い。何度ピンチを迎えても、再起動して復活を遂げる。初号機は、パイロットで主人公の碇シンジが苦悩するシーンが多いこともあって、失礼ながらどこかなよなよしい(もちろん、怒ったらすごく怖い)イメージを持っていたが、このデアゴスティーニ完成版を目の当たりにすることで、機体から発せられる「迫力」を感じた。いい意味の「冷徹な強さ」を改めて実感することができた。

 同社では、2010年に『エヴァンゲリオン・クロニクル 新訂版』のマガジンシリーズでエヴァを取り上げた実績はあるが、エヴァンゲリオン初号機を組み立て模型としてシリーズ化するにあたっては大きなチャレンジがあった。主要ターゲットとなるエヴァのファンだけでなく、模型・プラモデル愛好家やエヴァ初心者でも楽しめるように、「クオリティーは満足できるもので、ファンを裏切ることのない、ちゃんとしたものを作りたい」と、同社の開発チームがこれまで以上の情熱を傾け、商品化に取り組んだ。

 仰天エピソードが、完成間近のタイミングでの作り直しだ。「もともとは約1年前にプロトタイプの原型はできていたのですが、弊社内で『もっと良くできるのでは』という開発チームの思いもあり、原型師の坂埜竜さんと一緒に全面的にブラッシュアップを行いました。エヴァだけに、最後まで強くこだわって作らせていただきました」と辻さん。まさに徹底追求の仕上がりだ。

 そのこだわりポイントは、書き切れないぐらいたくさんある。辻さんに開発チームのメンバーとしてのイチオシを3つに厳選してもらった。

 まずは、エヴァを操作するスペースである「エントリープラグ」の電動ギミックだ。リアルに再現された挿入口は、リモコンを使ってハッチの開閉ができ、“動く仕掛け”にはうならされる。

 次に、マルチマテリアルの素材だ。「極力、劇中に似せることをテーマに開発しました。触って確かめられる質感にもこだわりました」。プラスチック樹脂に加えて、頭部や装甲板はダイキャストを使用し、胴体の一部は伸縮性のある素材、腕はゴムなどを使っている。「エヴァの機体ってこんな触り心地なんだ」と、想像を膨らますことができる。どこまでもマニアックなファン心理をくすぐる。

 そして、“細かすぎる”ほどの再現性。初号機の武器1つをとっても、ライフルのブローバックの部品がちゃんと動く。辻さんは「マルチマテリアルでこのスケールだからこそできるギミックを数多く取り入れています」と胸を張る。

「エヴァの機体ってこんな触り心地なんだ」と感激の質感【写真:ENCOUNT編集部】
「エヴァの機体ってこんな触り心地なんだ」と感激の質感【写真:ENCOUNT編集部】

スタジオカラー描き下ろしイラスト、「ガイウスの槍」にもファン胸熱

 また、エヴァの世界を徹底追究する付属マガジンでは、テレビシリーズから最新の『シン・エヴァ』までシリーズの全作品について多角的に紹介。例えば設定資料のコーナーでは、秘密結社ゼーレを取り上げるなど、めちゃくちゃ細かくてマニアック。“エヴァ博士”になれるぐらいで、ファンにとっても改めて勉強になるだろう。

 マガジンをめくっていると、初見のイラストが。創刊号は、劇中でヤシマ作戦のあとに綾波レイのエントリープラグに駆け寄るシンジを描写したシーンが封入されている。これは辻さんによると、本誌のためだけにエヴァ作品制作元のスタジオカラーによって描き下ろされたイラストだといい、びっくり仰天。第2号では、「8号機と新2号機」による“伝説の死闘”への出撃シーンのイラストが豪快に登場。コレクターの垂ぜんの的になるはずだ。

 ファンとしては個人的に、一定の購読が条件で読者プレゼントとしてもらえる「ガイウスの槍」(ダイキャスト製)にしびれた。完結作『シン・エヴァ』で初めて出てきた極めて重要なアイテムで、劇中で描かれたガイウスの槍を巡る主要キャラ・葛城ミサトの決死の覚悟が印象的でもあり、とにかく手に入れたいと胸が熱くなっている。

 創刊号でプログレッシブナイフが完成。創刊号から第4号までにロンギヌスの槍が出来上がる。ちょっと作らせてもらったが、頭部パーツに瞬間接着剤を付けてカチッと組んでいく。質実剛健な質感に触れ、喜びがじわじわ。ロンギヌスの槍はらせん構造で、「こんなふうになっていたのか」と驚嘆しながら組み上げ。これだけでも部屋の目に入る場所に飾っておきたくなった。分かりやすく、簡単にできるという印象だった。

 それに、組み立て道具を持っていない初心者が、“手ぶら”でも作ることができるように、ドライバーや接着剤など必要な道具を封入。親切丁寧な説明書に加えて、QRコードの説明動画をチェックすることが可能で、安心して制作に取りかかることができそうだ。

 ついに商品化が実現した“究極の初号機”。全100号(予定)を数年かけて制作することになる。昨年12月初旬に予約が始まると、ファンを中心に若い世代や女性まで好調な予約申し込みがあったという。辻さんは「ファンの皆さんに、新年1発目にうれしいニュースを届けられて光栄です。エヴァのモデルの中でも、決定版と言える出来に自信を持っています。多くのエヴァファンの皆さん、老若男女の皆さんの手元に届けばいいなと思います」と笑顔を見せた。

次のページへ (2/2) 【写真】大迫力の“究極の初号機”、実際のディテール
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