“令和のアンタッチャブル”が実行した真逆の作戦 新王者・西田凌佑が番狂せを起こせたワケ「どうなってもいいや」

ボクシングのIBF世界バンタム級(53.5キロ)タイトルマッチ12回戦が4日、エディオンアリーナ大阪で行われ、同級1位の挑戦者・西田凌佑(27=六島)が王者エマヌエル・ロドリゲス(31=プエルトリコ)を3-0の判定で破り、世界王座初挑戦でベルトを獲得した。わずか9戦目での難敵撃破。いかにしてアップセットをやってのけたのか。

世界王座初挑戦でベルトを獲得した西田凌佑【写真:ENCOUNT編集部】
世界王座初挑戦でベルトを獲得した西田凌佑【写真:ENCOUNT編集部】

百戦錬磨のロドリゲスも「想定外だった」

 ボクシングのIBF世界バンタム級(53.5キロ)タイトルマッチ12回戦が4日、エディオンアリーナ大阪で行われ、同級1位の挑戦者・西田凌佑(27=六島)が王者エマヌエル・ロドリゲス(31=プエルトリコ)を3-0の判定で破り、世界王座初挑戦でベルトを獲得した。わずか9戦目での難敵撃破。いかにしてアップセットをやってのけたのか。

 西田にとっては初の世界挑戦。戦前は経験豊富なロドリゲスが圧倒的優位と見られていた。ひっくり返したのは陣営の戦術と、それを遂行した西田の勇気だ。

“令和のアンタッチャブル”を自称する西田はディフェンス力に優れたアウトボクサーとして世界戦の権利を掴み取った。この試合前まで8戦全勝ながらKOはわずかに1つだけ。それがこの試合では大胆にスタイルチェンジを遂げた。

 序盤から足を止めてロドリゲスと打ち合った。被弾を恐れず、前に出続ける姿はインファイターそのもの。執拗に近い距離で左ボディーを叩き込み、4Rにはロドリゲスに膝をつかせた。

 見事な作戦だった。「待ったらロドリゲスのほうが強いと思っていた。バテさす意味でも前に出ました」。武市晃輔トレーナーからの指示もあり、ダウンを奪った後も最後まで接近戦を貫いた。

 当然、被弾も増えた。ロドリゲスのノーモーションのジャブ、カウンターを何度ももらった。「どうなってもいいやと思いながら(パンチを)振ってました。体力的には、しんどかったですね。(ロドリゲスの)ボディーがうまくて危ないなと思った。パンチ力自体は感じなかった。ボディーのほうが効きました」とパンパンに腫れ上がった顔で振り返った。

 ロドリゲスも試合後、西田の戦い方について問われると、「想定外だった。距離を使ってステップを踏むむのと想像していた。パンチに耐えられたのも想定外だった」と率直に明かし、脱帽していた。

 これでWBA王者の井上拓真、WBC王者の中谷潤人に次いで、バンタム級3人目の世界王者に。「夢みたいです」と実感はない様子だが、日本人同士の統一戦への期待は膨らみそうだ。

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください