7歳から子役の川島鈴遥、転機はオダギリジョーとの出会い 毎日送った“感情を書いたメモ”

俳優の川島鈴遥(21)がNHK BSプレミアムドラマ『仮想儀礼』(日曜午後10時)に出演している。宗教をテーマにした作家・篠田節子の同名小説が原作。青柳翔と大東駿介のダブル主演で、川島は孤独な女子大生役を演じる。7歳の頃から子役として活躍する川島に、今回のドラマにかける意気込みやこれまでの転機などを聞いた。

インタビューに応じた川島鈴遥【写真:山口比佐夫】
インタビューに応じた川島鈴遥【写真:山口比佐夫】

川島鈴遥インタビュー、ドラマ『仮想儀礼』に女子大生役で出演中

 俳優の川島鈴遥(21)がNHK BSプレミアムドラマ『仮想儀礼』(日曜午後10時)に出演している。宗教をテーマにした作家・篠田節子の同名小説が原作。青柳翔と大東駿介のダブル主演で、川島は孤独な女子大生役を演じる。7歳の頃から子役として活躍する川島に、今回のドラマにかける意気込みやこれまでの転機などを聞いた。(取材・文=中村智弘)

 今年5月、現在の事務所に移籍した川島。一発目の仕事が今回のドラマとなる。

「難しいテーマではあるんですが、コメディーの要素を取り入れて、面白おかしくもありながら、笑って泣けるエンタメ作品になっています。登場人物が多く、誰かに感情移入しやすく、いろんな世代の方々に楽しんでいただけると思います」

 物語は青柳演じる正彦と、大東演じる誠が、お金もうけで宗教法人を作ることから始まる。最初は軽い気持ちで始めたのだが、徐々に人が集まり出し、どんどん組織が大きくなっていくのだが……。

「私が演じるのは、小さい頃から教育をしっかりと受けてきた女子大生役です。家がちょっと厳しくて、大学生となり、逃げるようにして東京に出てきた。友達もいなくて、孤独な女の子。現場で、監督さんとよく話し合ってキャラクターを作り上げています」

 俳優デビューしたのは7歳の時。前事務所にスカウトされた。当時は、アイドルグループ・AKB48が全盛の時代。当初、「自分はアイドルになれる」と思っていたという。

「事務所に入ったら、お芝居をすることになったんです。初めてのお芝居のシーンはドラマ『特上カバチ!!』で、熱いものを食べながら、男の子に『おいしい』という場面でした。舌がやけどしそうになりながらも、多くの人に囲まれて、セリフを言わなければならなかったので、大変な世界だなと思いました」

 小学生の頃から数多くの作品に出演してきた。順調にキャリアを積んできたように見えるが、中学から高校にかけて、苦しい時期もあったという。

「ちょうど、“子役”から“女優”に変わっていく時期でした。お芝居をやりたいという気持ちはあるのに、うまくできないもどかしさがありました。やはり、子役と女優とでは、求められていることが違うなって感じましたね」

転機を語る川島鈴遥【写真:山口比佐夫】
転機を語る川島鈴遥【写真:山口比佐夫】

映画『ある船頭の話』でヒロイン役 オダギリから3か月間、演技レッスン

 転機は17歳の時。オダギリジョーが初長編監督を務めた映画『ある船頭の話』のヒロインに抜てきされる。オダギリからは3か月間、みっちりと演技レッスンを受けたという。

「役に対して真っすぐに過去を考えて、土台を作ってから作品に挑まなければいけないんだなっていうことを学びました。台本に書かれていない人生や育ってきた環境を、想像ではあるんですが、自分で歩むことが大切だとわかりました」

 オダギリからのアドバイスで印象に残っているのは、日常生活の中で、イライラしたことやうれしかったことなど、ささいなことでもいいから感情をメモするように言われたことだ。

「当時は毎日1通、メモしたメールをオダギリさんに送って、見てもらっていました。日常生活で自分の本心を隠しちゃう時があると思うんですが、そういう気持ちに気付くこと、記憶に残すことが大切だという意味だった思います」

 ある時、電車の中で、椅子を一つずつ空けて座る人たちを見た。「普段は何も思わないのに、すごくヘトヘトな時にそういうことをされると、どこに座っていいかわからなくて、すごいムカつきました」というメモを送ったという。

「『確かに。疲れている時と疲れてない時って感じ方が変わりますよね。そういうのは大切です』っていう、先生みたいな感じで優しくフィードバックしてくれました。すごい穏やかな方で、現場では、私に対してもいつも敬語で接してくれる。そういうところも尊敬しています」

 メモする習慣は今も続いていて、役作りに役立っている。「自分の感情を忘れずに、その時の感情を引っ張り出せる」という。憧れの俳優は満島ひかりだ。

「目線一つだったり、口元の動きだったり、雰囲気で感情の機微を表現できるようになりたいです。言葉なしでも感情を伝えられるような、深みのある女優さんになっていけたらなと思っています」

□川島鈴遥(かわしま・りりか)2002年3月17日、栃木県出身。10年、ドラマ『特上カバチ!!』でデビュー。19年、オダギリジョー初長編監督映画『ある船頭の話』でヒロインに抜てきされる。同作で第34回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞。これまで数多くの映画、ドラマに出演している。

衣装協力:UN3D.

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