森崎ウィン「蜜蜂と遠雷」壮絶ピアノ演奏を語る「爪と肉の間が剥がれて血が出た」

緊張を力に変えたと語る森崎【写真:山口比佐夫】
緊張を力に変えたと語る森崎【写真:山口比佐夫】

エキストラ2000人の前で本番さながらの緊張感

――「プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番 第4楽章」の演奏シーンは見せ場になっていますね。

「ほぼほぼ弾いています。鍵盤に指を当てにいっています。ピアノは本当に難しかったです。というのも、リアルに2000人近くのエキストラの方がいて、そこに登場して弾くわけです。本当にコンクールが始まるんじゃないかという緊張感もありました。いくらミュートされたピアノを弾いているとはいえ、練習しているか、いないかということは分かるじゃないですか。音は鳴らないのに、『ここはいつも間違えるところだ』とか緊張しましたね。鍵盤を叩いていると、こちらの力が強いんで、たまに鳴ることがあるんです。それがすごく臨場感がありました。(撮影が)終わったら、爪と肉の間が剥がれて、血が出るほどでした」

 (C)2019 映画 「蜜蜂と遠雷」製作委員会
(C)2019 映画 「蜜蜂と遠雷」製作委員会

――コンクールのライバル役となる主演の松岡茉優さんを始め、松坂桃李さん、新人の鈴鹿央士さんとはどんな関係でしたか。

「ピアノのシーンで思ったんですよ。あんまり人(ほかの役者)と会話してないな、と。セリフが少ない役でしたが、ピアノを通して、みんなが音で会話していたんじゃないかなって思いました。でも、雰囲気が悪いわけじゃないんです。僕は、キャリアのある2人(松坂、松岡)を見て盗めるところがないかなと見ていました。現場が一緒になれば、すごいなと思うこともありました。あまりライバル視はしていなかったです。茉優ちゃんとはいい距離感をずっと作りましたし、現場を引っ張っているなと思いました。素敵な座長でした」

――天才ピアニスト、風間塵役の鈴鹿さんも素晴らしかったですね。そういう若手が出てきて、焦ったり、刺激を受けたりはしますか。

「それは常にあります。焦ったりすることもあります。ただ、最近は続けることが大変だな、と思うようになりました。石川監督に『俺、10年後にはオスカーを取りますから』と言ったら、監督はたった一言『10年、役者を続けられていたら、いいね』と。撮影中はその言葉の重みを深く考える時間はなかったのですが、改めて別の作品をやっていく中で、1年かけて、やっとその重みが分かりました」

1年後に監督の言葉の重みを知る事となった【写真:山口比佐夫】
1年後に監督の言葉の重みを知る事となった【写真:山口比佐夫】

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