中高年男性がハマる『単身花日』 テレ朝Pは「予想外」驚きも…「男性の願望が詰まっているのかも」

女優・新木優子が魔性の女ともいえるヒロイン・武田花(旧姓:桐野)を演じ、重岡大毅が演じる妻子ある主人公・桜木舜に近づいて惑わすラブサスペンスが今、中高年男性に人気という。作品はテレビ朝日系『単身花日』(土曜午後11時)。同局によると50歳以上の男性の視聴者が非常に多く、熱い支持を得ているとされる。プロデューサーの川島誠史氏に背景を取材すると、作品作りにおじさんたちの経験が大きく貢献していた。

ヒロイン・花を演じる新木優子【写真:(C)テレビ朝日】
ヒロイン・花を演じる新木優子【写真:(C)テレビ朝日】

新木優子が単身赴任中の妻帯者に迫る魔性の女役 テレビ朝日系ラブサスペンス

 女優・新木優子が魔性の女ともいえるヒロイン・武田花(旧姓:桐野)を演じ、重岡大毅が演じる妻子ある主人公・桜木舜に近づいて惑わすラブサスペンスが今、中高年男性に人気という。作品はテレビ朝日系『単身花日』(土曜午後11時)。同局によると50歳以上の男性の視聴者が非常に多く、熱い支持を得ているとされる。プロデューサーの川島誠史氏に背景を取材すると、作品作りにおじさんたちの経験が大きく貢献していた。(取材・文=中野由喜)

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 最初に作品の概要を紹介すると、舜と花は中学時代の初恋の相手同士。舜が単身赴任した鹿児島で17年ぶりに再会。花の夫は一等航海士で年の大半は留守。花は夜遅く突然、舜の家に現れるなど謎めいた行動で舜を激しく翻弄(ほんろう)する。舜は妻・ゆり子(高梨臨)に花とのことがバレないようにうそをついたりする中、舜を恋敵のように接してくる片山直哉(田中樹)の存在もあり、ハラハラドキドキの単身赴任ラブサスペンスとなっている。

 単刀直入に「中高年の男性の熱い支持」をどう分析しているのか川島氏に聞いてみた。

「全くの予想外でした。単身赴任というと男性の方が身近で、美しい初恋の女性との再会から始まる物語に、いくつになっても永遠の憧れのシチュエーションみたいなところがあるのかと思います。ただ分析は追いついていません(笑)」

 視聴者からはどんな声があがっているのか。

「SNSを見ていると『登場人物の誰一人にも共感できない』という声も目立ちます(笑)。でも私は褒め言葉だと思っています。土曜の深夜の放送枠ですので『そんなことあり得ないだろう』とツッコミを入れて盛り上がって見ていただく方がこの放送枠に合っている気がしますから」

 美しい女性から迫られるシチュエーションは男性には夢のような展開。現実にはなかなかない、もしあっても困るであろう“憧れのシチュエーション”をドラマで疑似体験して楽しむ中高年男性が多いのかもしれない。

「浮気をせず真面目に生きてきた男性にはそうした楽しみ方もあると思います。男の願望というか……。重岡さんという俳優はキラキラしている部分もありますが、その親しみやすさから一般男性にとって身近に感じられ、自身と重ねやすい部分もあるかもしれません。あとは、脚本家は女性ですが、台本の打ち合わせをするプロデューサー陣や監督はほとんど男性ばかり。知らず知らずのうちに男性の願望が詰まっていっているのかもしれません(笑)」

 舜の妻・ゆり子はぬいぐるみに盗聴器を仕込んだり、舜の言い訳に対する何げない表情が怖い。また、舜の反応には妻にうしろめたいことがある男性心理がうまく表現されている。妻に怒られそうな秘密を持つ男性には共感とともに参考となるシーンも多い。既婚者のおじさんの経験や感性を感じる。

「プロデューサーの中には既婚者がいて、『こういう時、言い訳すると逆に怪しまれます』という意見を取り入れたり、『こんな時は素直に謝った方がいい』という声も参考にしました。恐妻家のプロデューサーもおりまして、よく話を聞きました。こういう場合は? と意見を求め、『絶対に隠します』といったやりとりが現場で行われ、女性の脚本家・川﨑いづみさんも、よく意見を求めていました。おかげでリアリティーが増した気がします」

 新木の魅力も尋ねた。既婚の男性に迫る魔性の女の役はほとんど経験がないようだが。

「新木さんは最初に原作を読んだ時、実は『本当に花が好きになれない』とおっしゃっていたんです。妻子ある男性に対して奔放な態度をとる意味が分からないということかと思います。でも、いざクランクインすると、イン初日から思いきって演技をしてくださいました。普通は視聴者に嫌われたくない心理が働いて、ややマイルドな演技になる危険もあると思いますが、そうしたことが一切なく、やると決めたらきっちりやるという潔さ、覚悟を感じました」

 好きになれなかったキャラクターを演じる新木のその後の心境も気になる。

「放送のたびに視聴者の方のリアクションが多くなっていくのが花。一番多いと思います。そこにやりがいを感じてくださっているようです。リアクションの内容の多くは『怖い』『理解できない』『共感できない』などネガティブな反響ですが、そうした反響を楽しんでいるように感じます。このような役を演じた経験があまりないから反響も新鮮なのかもしれません」

 川島氏は、作品の柱は不倫ではなくサスペンスと説明する。結末が気になる中、その意味を聞くと、物語の終盤が楽しみになる意味深な言葉が返ってきた。

「こういう事実があったんだ、など最後までご覧いただくと分かっていただけると思います(笑)。花は単に意味不明な人ではないんです」

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