関ジャニ∞がWANIMA主催ライブ出演 “両思い”から始まった交流、全8曲に観客は大熱狂

関ジャニ∞が2日、スリーピースロックバンドのWANIMAが主催する『1CHANCE FESTIVAL 2023』(ワンチャンフェス)に登場した。

『1CHANCE FESTIVAL 2023』に登場した関ジャニ∞【写真:Keiichiro Natsume】
『1CHANCE FESTIVAL 2023』に登場した関ジャニ∞【写真:Keiichiro Natsume】

横山裕は「背中を押してくれて」と感謝

 関ジャニ∞が2日、スリーピースロックバンドのWANIMAが主催する『1CHANCE FESTIVAL 2023』(ワンチャンフェス)に登場した。

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 2022年から始まり、2度目の開催となる『1CHANCE FESTIVAL 2023』は、WANIMAのメンバーが親交のあるアーティストに声をかけ、地元・熊本に呼び込んで行われる野外音楽フェスだ。キャリアもジャンルもさまざまなバンド、グループが熊本県農業公園カントリーパークに一堂に会し、アツいアクトを繰り広げた。

 もともと、関ジャニ∞の安田章大がWANIMAの大ファンであると公言したことが、両者の物語が始まったきっかけ。実はWANIMAのKO-SHINやFUJIもまた、以前から関ジャニ∞に注目し、ブログなどもチェックしていたということが判明。そんな両思いの状態から私的な交流が始まり、やがて楽曲でのコラボレーションへとつながった。

 それが、18年にWANIMAが関ジャニ∞に提供したシングル曲『ここに』だ。WANIMAにとって初の楽曲提供であり、関ジャニ∞にとっては新体制後初のシングルという特別な1枚。エネルギーに満ちたすがすがしいまでのロックチューンは、当時の関ジャニ∞のメンバーの思いを代弁しているかのようだった。歌詞にある「始まるんじゃない 始めるんだぜ!!」というフレーズに、関ジャニ∞は何度も力強く背中を押されて前を向いた。音楽を通じて心を通わせた両者が、ついに同じステージに立つ日がやってきたのだ。

 関ジャニ∞の出番は、2日の午後5時前。メンバーは会場の温かい拍手と大きな歓声に迎えられ、「こんばんは~」と笑顔を見せる。安田が「会いたかったぞ~」、村上信五が「関ジャニ∞の音楽を心ゆくまでお楽しみください!」と声を上げ、5人は会場を優しい表情で見渡した。

 そして、勢いよく楽器をかき鳴らすと、横山裕が「あらためまして、関ジャニ∞でーす!ワンチャンフェス、お招きいただきありがとうございます。今日は最高に盛り上がっていくぞ~!」とあいさつ。「ワン、ツー、ワンツーウー!」というカウントで一気にスイッチを入れると、『ズッコケ男道』からアクトが始まった。

 大倉忠義と丸山隆平のリズム隊が刻む軽快なリズムに、ロックな思いを爆発させる安田のギター。村上が手を掲げて観客を盛り上げ、その勢いに乗せられた会場のボルテージが一気に上がった。

 次の『無責任ヒーロー』の冒頭、大倉のバスドラムに合わせてメンバーがクラップを鳴らすと、それをまねてオーディエンスも楽しそうに手をたたく。そして、安田の「御唱和ください!」という叫びに応えて、会場が「FIGHT!」「KANJANI!」「∞」「EIGHT!」と一体感のあるコールを。横山はギターから持ち替えたトランペットを高らかに響かせ、丸山のクールなスラップベースにオーディエンスも「フー!」と声を上げた。サビでは「ジャジャジャーン」の歌詞に合わせ、会場中の観客が手の振りを。客席エリアいっぱいに広がるその光景は、まさに圧巻だった。

『ズッコケ男道』と『無責任ヒーロー』は、どちらもTHEイナズマ戦隊の上中丈弥からの提供曲。デビュー5、6年目あたりの関ジャニ∞を象徴するようなキャッチー&コミカルなナンバーで、今なおファンに愛され続けている。

 どちらもリリース当時は、ハンドマイクを手に、ダンスと勢いのあるボーカルで見せてきた。けれど、音楽と真摯(しんし)に向き合う中、必然的にバンドアレンジの楽曲が増え、関ジャニ∞のライブでも今やバンド曲の定番となった。また、『無責任ヒーロー』には、2018年に東京スカパラダイスオーケストラと共演した、バンドバージョンの音源も存在する。この日披露したのも、スカパラとのコラボVer.のアレンジだ。これまで音楽番組で披露する機会が多かったこともあり、オーディエンスにとってどちらもなじみのあるナンバー。名刺代わりとも言える2曲で、関ジャニ∞の世界に観客を巻き込んでいった。

 続く『未完成』は今年、リリースされたシングルで若手バンドの南無阿部陀仏からの提供曲だ。飾ることのない、真っすぐな青春パンクは関ジャニ∞によく似合う。丸山のソウルフルなボーカルで幕を開け、全員が次々とフレーズを歌いつなぎながら、ハモりを重ねるスタイルは、ロックバンドではなかなか見ない光景かもしれない。激しいドラムをたたく大倉までもが、さらりといちボーカルの役割を果たす。

 2、3人、ときには5人全員で声を重ねるユニゾン、熱を帯びた演奏とメッセージ性の強いリリック。その相乗効果でよりエネルギーを増すアクトに、オーディエンスもジャンプしながら拳を突き上げた。次の瞬間、モニターに弾き込んだベースを抱える丸山が映し出され、会場がその姿を見守る。体からあふれてくる音を弦で表現する即興のベースソロに合わせ、オーディエンスから手拍子が起こった。

 やがて、その音は『NOROSHI』のイントロへと変わる。重く跳ねる大倉のドラムが作るグルーヴに、繊細だがギラギラした安田のギター、そこに村上のオルガンと横山のトランペットが華やかさを添える。畳みかけるアツいロックに、会場のボルテージは上がるばかりだ。メンバーたちも真っすぐ会場を見つめ、力の限りの自分たちの音を届けた。

 ここで、ちょっとしたMCを。「関ジャニ∞のライブを初めて見る方」と尋ねると多くの手が挙がり、メンバーたちは「伸びしろですね!」とうれしそうに盛り上がる。そして、「普段、我々のライブでは見ない短髪の金髪の方がたくさんおるからな」と言うと、会場が笑いが。短髪&金髪の男性陣や会場のキャンプエリアで楽しむ人々などを愛ある言葉でイジリながら、関西人らしいトークで盛り上げた。

 安田が次の『ハライッパイ』の曲紹介をすると、「1コーラス聞いたら、2コーラス目から入れるから」と村上。遊び心にあふれたそのナンバーは、打首獄門同好会の大澤敦史による作詞・作曲だ。フェスで出会った打首獄門同好会からの提供曲を、フェスで披露するというストーリーも胸をアツくするものがある。

 コミカルなリリックと、次々と曲が展開するこの楽曲は中毒性が高く、フェス慣れした音楽ファンもすっかりハマってしまったようだ。オーディエンスも共に「ハライッパイ」と声を合わせて歌った。

「K!A!N!J!A!N!I!E!I!G!H!T!」のコールで始まる『勝手に仕上がれ』は、OKAMOTO’Sからの提供曲。OKAMOTO’Sらしいセンスが散りばめられた、バック・ビート寄りの心地よいロックナンバーだ。

 丸山が歌詞の一部を変えて、「熊本最高って思ってる途中でございます」と思いを伝えると、安田も「後ろのみんなもよく見えてるぜ」と歌ったあと「ホンマやから信じて」と即興でリリック変更。ライブ感のあるパフォーマンスに会場も盛り上がる。

 8月のロッキンでもオーディエンスの心をひとつにし、関ジャニ∞のライブの楽しさを印象づけたこの曲だが、今回も会場中のパワーが集結。村上が「ニーニニっていっぱい言いますんでお付き合いくださ~い!」と宣言していたとおり、間奏では「ニーニニニーニニニニニニニー」の大合唱を。大倉が「(ニーニニを言い続ける観客に)つらいでしょ?(笑)」と語りかけると、横山も「一生分の“ニ”です」と笑わせる。客席の一体感に、メンバーたちからも思わず笑顔がこぼれた。

 そして、ラストはもちろん、WANIMAから受け取った『ここに』。関ジャニ∞の東京ドーム公演に足を運んだWANIMAから直々にフェスへの参加について話をもらったことを明かし、「ありがとうございます」と感謝を伝えるメンバーたち。そして、横山が「関ジャニ∞が心が折れそうになったとき、WANIMAの皆さんが(『ここに』で)背中を押してくれて」と思いを語ると、「(その曲を)歌わせてもらっていいですか?」と安田。

 会場から温かい拍手を送られ、曲冒頭の安田の温かいボーカルが熊本の空に響いた。歌詞に込められた思いをあらためて感じながら、当時の気持ちをかみしめるように歌う5人に心を揺さぶられるオーディエンス。苦しい時間をこの曲と共に乗り越えてステージに立ち続け、背中を押してくれたWANIMAが大切にしているワンチャンフェスへ恩返しにやってきた。18年には前向いて歩くしかなかった関ジャニ∞が、情熱は持ち続けながらも心穏やかにこの歌を歌う姿。『ここに』という楽曲が、またひとつ育った瞬間だった。

 力の限り、自分たちの音楽を届けた5人は、何度も何度も「ありがとう」を伝え、ステージを去っていった。約35分に渡って届けた全8曲。本来アイドルとは真逆にあるはずのステージに、とことん真っすぐ向き合ったことで、彼らはまたひとつ何にも変えられない経験を手にした。そして、ここでも音楽ファンとの楽しい時間を作り上げた関ジャニ∞。彼らがどこへ行っても愛されるのは、音楽への真摯な姿勢とバンドマンたちへのリスペクトが伝わってくるからだろう。

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