【電波生活】『タクうま』撮影舞台裏にテレ東らしさ 全国各地で50人以上が稼働、走行距離に制限なし

注目番組や人気番組の舞台裏を探る企画。今回はテレビ東京系『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!』(木曜午後6時25分)。番組スタッフが全国各地を訪ね、その街のタクシー運転手が勧める一番おいしい店に連れて行ってもらい、一緒に運転手イチ押しの料理を食べて紹介する番組。スタジオでは平成ノブシコブシの吉村崇や3時のヒロインがトークで盛り上げる。プロデューサーの穂苅雄太氏に取材の苦労やおいしそうな店を知っている運転手の見つけ方、番組作りのこだわりを聞いた。

『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!』のロゴ【写真:(C)テレビ東京】
『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!』のロゴ【写真:(C)テレビ東京】

『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!』料理シーンにこだわり

 注目番組や人気番組の舞台裏を探る企画。今回はテレビ東京系『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!』(木曜午後6時25分)。番組スタッフが全国各地を訪ね、その街のタクシー運転手が勧める一番おいしい店に連れて行ってもらい、一緒に運転手イチ押しの料理を食べて紹介する番組。スタジオでは平成ノブシコブシの吉村崇や3時のヒロインがトークで盛り上げる。プロデューサーの穂苅雄太氏に取材の苦労やおいしそうな店を知っている運転手の見つけ方、番組作りのこだわりを聞いた。

 まず取材体制について尋ねるとテレビ東京らしさを感じることに……。

「基本はディレクターとADの2人だけで取材に行っています。大人数で仰々しく行くと取材対象者の方の素が出ません。タクシーに乗車する事情もあり2人が適当と思っています」

 たった2人でアポなしのロケ取材。大変そうだが2人1組でどう稼働しているのか。また、どのくらいの確率で取材OKとなるのだろう。

「月にのべ25チーム50人以上は全国各地で稼働していると思いますが、取材をお願いしても9割は断られています。理由はタクシー運転手さんが普通に仕事中だからです。あとはおいしいお店を聞いたらチェーン店など誰もが知っている店とか(笑)。以前、行ったことのあるお店も避けています」

 取材に協力してくれそうな運転手の見分け方はあるのだろうか。

「いろんなタイプのディレクターがいますが、ずっとロータリーにいて、時間をかけてよく見極め、ここぞという人にお願いするディレクターは打率が高いです。ディレクターの嗅覚だと思います」

 ここぞと言うが、たとえばどんなタイプか。

「お客さんがいない時、ロータリーで運転手さん同士が立ち話していることがありますが、その輪の中心にいる運転手さんをディレクターは見ています。その人自身でなくても、おいしいお店を知っている運転手さんを紹介してくれることもありますから。あとはお客さんを乗せて行って戻って、と回転数が多く、いつも同じ乗り場にいる運転手はその街の飲食店の情報に詳しい確率が高いです。逆にランダムにアタックするディレクターもいます。それでもいい映像を撮ってくるケースもあるのでこういう方法がいいと一概には言えないです」

 ある駅前でタクシーに乗車し、連れて行ってもらった店が、何十キロも離れた別の駅の近くだったりすることも。乗車距離などの制限はないのか。

「番組のルール的には距離に制限は設けていません。必然性があればフェリーで沖縄や離島もOKです。とにかく一番うまい店にこだわっています。今の時期しか食べられない料理とか、この時期にしか営業してないというようなうまい店ならどんなに遠くてもいいんです。タクシーで行くことに、ちゃんとした理由、必然性があるならです。あとはディレクターの判断ですが放送した時に視聴者が喜んでくれると思った場所ですね」

 太っ腹だ。ここで視聴者には分からない裏話を紹介してもらった。

「たとえば水戸駅前のタクシー乗り場が得意なディレクターがいたり、高崎駅前が得意なディレクターがいたりして、陰でディレクター同士の謎の縄張り争いが起きています。『おれは水戸の運転手さんの皆さんと仲がいいから』とか『高崎は俺の縄張りだ』とか。たしかに3日ほど同じ駅前ロータリーで取材していると運転手さんと仲良くなって、愛着も出てきて、また行きたくなると思います。プロデューサーとしてはディレクターの縄張り争い問題をほほ笑ましく見守ってます(笑)。ただ、仲良くなるとありがたいことに、運転手さんが集まってくれて『彼はおいしい店をよく知っているよ』とか有益な情報を提供してくれるようになるんです」

 縄張り争い以外に現場で大変なこともあるようだ。

「ディレクターはみんな雨の日がつらいと言っています。雨が降ると運転手さんは稼ぎ時。取材を受けにくい状況になります。雨は番組泣かせです」

 ここで番組作りのこだわりを聞いてみた。するとおいしい料理がちゃんとおいしく見えるための秘策があった。

「料理と調理シーンを撮影する際はいいレンズの付いた高価な高性能カメラを使っています。場合によっては調理シーンだけ別日に撮影します。お店の方もプロ。紹介する以上、ちゃんとおいしそうに撮影しないと申し訳ないですから。取材されて良かったと思ってもらいたいですから」

 料理と調理シーンへの熱い思いは並大抵ではない。

「名店と言われる店の料理がどう作られているかが気になるので調理シーンはしっかり見せています。企業秘密などレシピの紹介は難しいですが、圧倒的にほかのグルメ番組よりも調理シーンの尺は長いと思います。調理シーンにすごく興味があり、似たような料理が家で作れたらいいなと思って制作しています」

 こだわりは他にもあった。

「交渉です。今まで1度もテレビに登場していないすてきなお店を紹介したいという思いを失礼のないように伝えます。事前にアポを取って行く普通のロケ番組とは違う映像を重要視しているので取材課程の交渉も放送しています」

 穂苅氏は国分太一や料理家・栗原心平氏が出演する『男子ごはん』のプロデューサーも務めているという。料理と調理シーンが気になり、こだわるのは納得だ。17日の放送では『夏に行きたい!おでかけレジャースポットSP』というテーマで軽井沢、秋川渓谷、三崎海岸などを訪れ、エアーズロック肉や漁港限定モーニングなど気になる料理が登場するという。

次のページへ (2/2) 【写真】ディレクターが取材交渉をする実際の様子と番組に登場する料理
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