AKB48卒業から9年の片山陽加、女優→ゲーム会社社員へ異例の転身 アナログ人間も「転職してよかった」ワケ

AKB48の元メンバーで女優の片山陽加(33)がゲーム会社の社員へ転身した。7月、都内で行われたイベント「『チコちゃんの脳活研究所』ゲーム発売プレス発表会」にMCとして登場し、注目を集めた。片山はなぜ会社員としての道を選んだのか。「転職してよかった」と語る彼女の日常を探る。

「転職してよかった」と語った片山陽加【写真:ENCOUNT編集部】
「転職してよかった」と語った片山陽加【写真:ENCOUNT編集部】

「転職してよかった」…33歳になった片山の日常とは

 AKB48の元メンバーで女優の片山陽加(33)がゲーム会社の社員へ転身した。7月、都内で行われたイベント「『チコちゃんの脳活研究所』ゲーム発売プレス発表会」にMCとして登場し、注目を集めた。片山はなぜ会社員としての道を選んだのか。「転職してよかった」と語る彼女の日常を探る。(取材・文=平辻哲也)

 片山は「はーちゃん」の愛称で親しまれたAKB48第3期のメンバー。同期には柏木由紀(AKB48)、渡辺麻友(芸能界引退)、田名部生来(タレント)、仲川遥香(インドネシアでタレント活動)、仲谷明香(声優)らがいる。在籍中、独特な作画力が話題となり、秋元康から「美術部長」として指名を受け、2012年3月の公演では「業務連絡。頼むぞ、片山部長! in さいたまスーパーアリーナ」という冠名が付けられた。

 2014年9月にAKB48を卒業後、女優として舞台を中心に活動していたが、2020年のコロナ禍で状況が変わった。

「コロナの影響で、舞台業界にも大きな打撃があり、先の見通しを失いました。そこで、9月末に事務所を退所し、5月頃から新たな仕事を探し始めました。多くの人に助けを求め、知り合いを通じて現在の会社を紹介してもらいました」

「クラウズプレイカンパニー」は2019年5月設立のゲームのベンチャー企業で、ゲームの企画からデザイン、プログラムまで手がけている。片山は同社の千葉達也代表との面談を経て、広報を担当することに。彼女のアイドル、タレントとしての発信力が評価された結果だ。現在の主要な業務は『チコちゃんの脳活研究所』のプロモーションで、このゲームは脳の年齢を測定でき、子供から大人まで楽しめるのが売りだ。

「ゲーム業界は私にとって未知の領域でした。面談時に私の経験や知識を正直に伝えました。昔、弟と一緒にニンテンドー64をプレイしたことや、友人とマリオカートを体験したくらいの経験しかありませんでした。だから、入社初日は不安でした」と片山は話す。

 開発拠点は札幌にあるが、片山はリモートでの勤務。しかし、ほとんどPCを使用した経験がないアナログ人間だった。

「パソコンを送ってくださると伺い、ノートパソコンを想像していたのですが、届いたのは大きなゲーミングパソコンでした。モニターと本体が別だったので、配線するところから大変でした。キーボードも打ったことがないので、ひらがな変換もよく分からない。まるで、赤ちゃんが生まれて初めてのおもちゃを触るみたいに戸惑いましたね。でも、今はYouTubeなどで、いろんなやり方は調べられますし、実際にやってみたら嫌いじゃないなと思いました」と振り返る。

 業務はゲームのプロモーションやSNS、YouTubeの更新。今では、週に1回、毎週金曜日に会社の公式You Tubeチャンネルを新しい動画をアップしている。自身が出演し、『チコちゃんの脳活研究所』の遊び方、魅力を分かりやすく解説している。千葉代表は「わずか半年で、ゲーム画面を取り込んだり、合成したり、テロップもつけて、編集している。本当にすごいな」と思っています。片山はYou Tubeやバラエティ番組のテロップの出し方などを研究し、初心者にも使いやすいと評判の動画編集ソフト「フィモーラ」を駆使している。

目標も明かした片山陽加【写真:ENCOUNT編集部】
目標も明かした片山陽加【写真:ENCOUNT編集部】

「普通の会社員だったら、挫折していたかもしれません」

 リモート勤務というのがポストコロナ時代らしい働き方だ。

「普通の会社員だったら、挫折していたかもしれません。父は印刷会社に勤務していますが、毎日通勤ラッシュの中通っていて、本当に大変そうだなと思っていました。会社の方々とはウェブ会議で顔を合わせる感じで、まだ実際にはお会いしていません」

 実際、どんな日常を送っているのか。

「だいたい朝8時には起きて、9時ぐらいから仕事をスタート。夕方5時半、6時ぐらいまで編集をします。終わらなかった時はちょっと延長したりもします。ずっとイスに座っての作業なので、運動不足になるので、ジムに行ったり、ウオーキングに出たりします。最近は健康的な生活を心がけています」

 リモートながら、規則正しい会社員生活。アイドル時代と比べて、どんな変化があるのか。

「AKB時代は前日夜にスケジュールが来る毎日でしたし、舞台のお仕事の時はAKBよりもスケジュールは見えないし、拘束時間も長かったし、休みの日は疲れてしまって、家にいることが多かったような気がします。コロナ禍の頃は仕事がなかったことが不安でした。今は、土日祝日がお休みをいただいているので、スケジュールが立てやすいのがいいです。平日は家にいる分、週末は外に出かけることが多くなりました」

 週末の楽しみは都内近郊のサウナめぐりだ。

「5月には友人と、長野県白馬の大自然の中でサウナ、群馬県にも行ってきました。サウナに6分間入って、水風呂に1分入って、外気で体を冷え切るまで冷ます。それを3セット程度やっていますが、もっと長く入る時もあります。週末のサウナを楽しむために仕事を頑張っています」と笑顔を輝かせる。

 目下の目標は、YouTubeのチャンネルの登録者を1000人に増やして収益化すること。

「ここ数年、自分的には辛かったのですが、会社に入って色々なことに触れる機会が増えました。たとえば、名刺交換を初めてやる時など、どうやるのかを教えてもらったり。日々が刺激的です。自分の視野が広がり、以前の自分が何で小さなことで悩んでいたのかと思うくらいです。多くの可能性や機会があることにも気づきました」と片山。AKB48の華やかなステージ、舞台の照明の下、そして、ゲーム業界。片山の新たな挑戦に目が離せない。

□片山陽加(かたやま・はるか)1990年5月10日生まれ、千葉県出身。2006年にAKB48第3期オーディションに合格し、07年にチームBのメンバーとしてデビュー。09年、AKB48のシングル『言い訳Maybe』『RIVER』のカップリングに、アンダーガールズとして参加。奇抜なアートセンスが話題になり、秋元康が「美術部部長」を命名。12年3月の公演では「業務連絡。頼むぞ、片山部長! in さいたまスーパーアリーナ」と冠名にもなった。愛称は“はーちゃん”。14年9月、AKB48を卒業後は舞台を中心に活躍。10月4日からは劇団ホチキス『明後日のガラパゴス』(10月9日まで、新国立劇場小劇場にて)に出演する。

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