難関校退学→韓国の芸能事務所練習生に K-POPアイドル目指す高1女子に東大卒の父が送った言葉
K-POPグループに所属する日本人メンバーの存在感が増している。TWICEのミナ、サナ、モモ、LE SSERAFIM(ル セラフィム)のサクラこと宮脇咲良とカズハ、IVE(アイヴ)のレイがその象徴だ。そして、彼女たちのように世界を舞台に活躍したいと夢見る日本の若者が、続々と韓国に渡っている。東京・新大久保のK-POP専門ダンススタジオ・KPDS(K-POP DANCE STUDIO)に通う高校1年生・蒼彩(あおい)さんもその1人だ。今年5月に行われた韓国の著名芸能事務所オーディションに合格し、7月からは現地で練習生の生活に入る。都内の難関中高一貫校を中退してまで、K-POPアイドルを目指す理由とは? レッスンに励む本人に思いを聞いた。
産科医志望から方向転換 不安や怖さより『うれしい』気持ち 幼少期は米国育ちで「複数の言語を学びたい」
K-POPグループに所属する日本人メンバーの存在感が増している。TWICEのミナ、サナ、モモ、LE SSERAFIM(ル セラフィム)のサクラこと宮脇咲良とカズハ、IVE(アイヴ)のレイがその象徴だ。そして、彼女たちのように世界を舞台に活躍したいと夢見る日本の若者が、続々と韓国に渡っている。東京・新大久保のK-POP専門ダンススタジオ・KPDS(K-POP DANCE STUDIO)に通う高校1年生・蒼彩(あおい)さんもその1人だ。今年5月に行われた韓国の著名芸能事務所オーディションに合格し、7月からは現地で練習生の生活に入る。都内の難関中高一貫校を中退してまで、K-POPアイドルを目指す理由とは? レッスンに励む本人に思いを聞いた。(取材・文=鄭孝俊)
――韓国行きはいつ正式に決まりましたか。
「5月です。KPDSで行われた韓国の芸能事務所オーディション(非公開)に合格したので、決意しました。有名なK-POPアイドルグループが多数在籍していますし、韓国語が話せない日本人練習生であることについても、担当の方はとても配慮をしてくれています。7月下旬に韓国に渡る予定です。韓国に行くのは今年3月、母と2人で初めて行って以来、2回目です」
――K-POPに興味を持ったのはいつ頃ですか。
「中学1年生の時にTikTok(ティクトック)やInstagram(インスタグラム)のショートリールを見て、『この曲いいな』と思った歌はほとんどがK-POPでした。BTSの『DNA』やTWICEの『TT』などです。それからハマってしまいました。ダンスの訓練を受けたことは一切なかったのですが、中3の文化祭では同級生の仲間4人でBLACKPINKの『DDU-DU DDU-DU』のカバーダンスを校庭の特設ステージで披露しました。私はメンバーのリサさんのパートを担当しました。私だけダンス経験がなかったのですが、ミスなく1曲全部踊り切れたので、その成功にはすごい達成感があり、自分の中で満足いくものになりました。とても上手に踊ることができて、見に来てくれた友だちも喜んでくれました。そこからK-POPダンスをきちんと習おうと思い、こちらのダンススクールに通い始めました」
――他の出演者は何を披露しましたか。
「男女合わせて15組ほどが参加しました。バンド演奏を披露するグループもいましたが、半数はBTS、TWICE、SEVENTEENなどのK-POPでした。個人的な感覚ですが、クラスで推しの割合は中学の時は8割がジャニーズ、残り2割はK-POPとボカロやアニメだったのですが、高校に進むとK-POPのファンも多くなっている気がします」
――日本のアイドルとの違いは何でしょう。
「日本のアイドルグループのことはあまり分かりませんが、K-POPのアイドルグループは少人数のため、個々にハイレベルなダンスと歌唱のスキルが求められ、グローバルに活動しているところ、個性的であるところも魅力です。K-POPアイドルになったら世界で活躍できます。そんな夢を見させてくれる存在だと思います」
――本格的にK-POPアイドルを目指し始めたのはいつ頃ですか。
「昨年11月です。初めてKPDSで韓国の芸能事務所の非公開オーディションを受けた時です。2次テストに合格した時、『やっぱり、自分はこの道を目指したい』と自覚しました。結果的にはオーディションはそこまででしたが、2次通過を実感したら、『もう、このまま自分の夢に突き進んで韓国に行って、自分のやりたいことで夢をかなえたい』と強く思いました。ただ、ダンスを習った経験がないため基礎ができていません。ダンススクールに通い始めてからはアップダウンやリズムトレーニング、体の一部の部位だけ動かすアイソレーション、さらに体幹を鍛えることで体全体の安定性が高まりました。ボディーコントロールをいつも意識しているので、レッスン開始当初より体がよく動くようになりました。そして、より楽しく踊れるようになりました。学園祭で踊ったBLACKPINKの『DDU-DU DDU-DU』の“銃を撃つ”ポイントダンスは左重心、右重心、左重心みたいに重心を入れ替えるダンスなので、そんなところにも意識を向けて練習しました」
――K-POPに出会う前の夢は何でしたか。
「小学生の時、テレビドラマ『コウノドリ』を見ていて産科医に憧れました。もともと母から『お医者さんを目指したら?』と言われていたので、図書館で資料を調べていました。でも、K-POPは母より先にハマって、どんどん自分で追いかけるようになったので、自分から先に興味を示したからこそ強い夢に変わったのかなと思います」
――お父さまは東大卒で一部上場企勤務と聞きました。どんな反応でしたか。
「父はもともと『日本に留まるのではなく、世界で活躍できる人になりなさい』という方針でした。私が『高校を退学して韓国に行きたい』と言った時も、『好きな道を進みなさい』と背中を押してくれました。特別、K-POPについて詳しいわけではないですが、私が一度言い出したら親の言うことを聞かない性格であることは、よく知っていますから(笑)。母は最初ビックリして、離れることが寂しくて泣いていました。でも、『あなたの人生だから、あなたが決めなさい』と言ってくれました。父は現在も海外を中心とした仕事をしていますが、私が2歳から7歳頃までは、アメリカのニューヨーク州駐在で、私は現地校に通っていました。そんなファミリーヒストリーがあるので、私の夢も理解してくれたのだと思います」
――16歳で韓国に1人で渡ることに不安はありませんか。
「不安とか怖さというよりは『うれしい』という気持ちの方が勝っています。韓国語が話せないのは少し不安ですが、アメリカで育ったので、英語は多少話せます。高校も私は国際クラスに入っているので、グローバルスタディーズ教育や留学生との交流もしてきました。ですので、不安よりも世界中から集まってくる練習生と仲良くなって、英語、韓国語、日本語以外の複数の言語も習ってみたいです。そんな出会いや交友関係がすごく楽しみです。練習生生活では、私の弱点であるダンススキルの向上に努力したいと思います。昼から夜遅くまで、ずっと練習が続きます。ダンス歴が少ないのでその分、ダンスコピーを完璧にしたり、体の軸がぶれやすいので体幹をもっと鍛えたり、指先まで意識してスピードの速いダンスについていけるようにするとか。人の何倍も頑張りたいです。身長は今、162センチです。この1年で4センチ伸びました。18歳までに167センチを超えればいいなと思っています」
――今、通っている高校は難関国立大や私立大に多数の合格者を出しています。退学に迷いはないですか。
「もう、オーディションを受け始めていましたし、受け始めた頃から、『受かったら高校を退学しなければいけない』と思っていたので、その選択肢はもともとありました。『やっぱり、韓国行きはやめようかな』という葛藤もありませんでした。韓国に行くことについては、クラスメートには別れがつらくなりそうなのでまだ話していません」
――韓国料理は大丈夫ですか。
「辛いのは大好きです。サムギョプサルやチゲ、ケランチムという卵料理が特に好きです」
――目標とするK-POPのアーティストを教えてください。
「aespa(エスパ)のジゼルさんやNewJeans(ニュージーンズ)に憧れます。aespaはグループ自体がかっこいいです。NewJeansみたいな不思議な雰囲気も好きな系統です。パッと目をひく迫力、それぞれソロで歌う部分も聴き入ってしまうような歌声が特徴的です。音楽自体にハマりますし、クセになります」
――最後にK-POPアイドルを目指す人たちにアドバイスはありますか。
「ダンスや歌のスキルはもちろん必要ですが、それ以外に見られている点としては礼儀作法や表情の明るさ。そういうところも気をつけながら生活したり、常にあきらめない心の強さでオーディションを受けたりするといいのではないかなって思います。それと語学です。あいさつや自己紹介はある程度、英語や韓国語で話せた方がいいですね。韓国など海外でコミュニケーションを取るための大事なポイントだと思います」