“場内アナウンス”に“上映ブザー”…自宅で「仮設の映画館」を体感してみた

映画「精神0」
映画「精神0」

新作映画も観ることができて、ミニシアターにもお金が落ちる

 映画の上映前には、オープニング映像も。真っ暗闇に、はしごを持って、スクリーンを作るアニメが流れ、「ご来場、誠にありがとうございます。上映中は携帯電話など音の出る電子機器の電源はお切りください。また、上映作品の撮影、録画などは固くお断りいたします」と、映画館さながらの“場内アナウンス”。さらに、「もうひとつ、ご来場の皆さまにお願いがございます。状況が改善しましたら、ぜひ本物の映画館に足をお運びください。ここは仮設の映画館です。それでは、最後までごゆっくりご鑑賞ください」とあり、ブザーがなると、上映スタート。このブザー音はなかなかいい。

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「精神0」は、精神医療に捧げた82歳の医師が突然、引退を決める物語。ベルリン国際映画祭を始め、世界で絶賛された「精神」(08年)の主人公の一人だった山本昌知にカメラを向けた。引退の理由には、夫婦の愛情物語が隠されていたという内容。今年2月のベルリン国際映画祭でエキュメニカル審査員賞を受賞し、ニューヨーク近代美術館Doc Fortnight2020の正式招待作品でもある。

 鑑賞後には、この日午後4時から配信された想田監督と妻でプロデューサーの柏木規与子さんによる“初日舞台あいさつ”のYouTubeのライブ配信も観る。2人は事前にメールで送られた質問やコメント欄に目を通しながらトークを展開。舞台あいさつは普段なら、長くても30分程度だが、今回は1時間。舞台ウラをたっぷり聞くことができた。この舞台あいさつはアーカイブ配信なので、鑑賞後に観るのがオススメだ。

 想田監督も「最初は観客の皆さんの顔を見ない中、どうなることかと思っていましたが、皆さんの感想なども伺うことができました。僕が今回、感じたのは、思った以上に皆さんが映画を愛してくださっているということ。1800円というのはネット配信では高い値段設定ですけども、すごく応援してくださっている。皆さんの映画への愛情を改めて感じました。なんとか生き残って、また、リアルな映画館で満席のお客さんと一緒にイベントがしたいですね」と語った。最後は公式サイトでのパンフレット購入を呼びかけ、PC画面に背を向けるような形で記念の自撮りを行って、締めていた。

 新作映画も観ることができて、ミニシアターにもちゃんとお金が落ちる。ファンにとっても、映画製作者、劇場関係者にもWin-Winな「仮設の映画館」。現在、7作品が“上映”されているので、気になった作品があったら、一度、“足”をお運びください。

次のページへ (3/3) “初日舞台あいさつ”の様子
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