窮地の全日本プロレスで大暴れ チャンピオン・カーニバルで兄弟決勝対決を目論む双子の斉藤兄弟

全日本プロレス「春の本場所」チャンピオン・カーニバル2023がいよいよ開幕(4月8日、東京・後楽園ホール)。A、B両ブロックに各8人、計16選手が優勝決定戦(5月7日、東京・大田区総合体育館)まで、過酷なサバイバルレースに挑む。

優勝大トロフィーを間ににらみ合う斉藤兄弟【写真:柴田惣一】
優勝大トロフィーを間ににらみ合う斉藤兄弟【写真:柴田惣一】

毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.140】

 全日本プロレス「春の本場所」チャンピオン・カーニバル2023がいよいよ開幕(4月8日、東京・後楽園ホール)。A、B両ブロックに各8人、計16選手が優勝決定戦(5月7日、東京・大田区総合体育館)まで、過酷なサバイバルレースに挑む。

 主要タイトルが外敵に流出するという異常事態の中「俺たちSAITO BROTHERSで決勝を争う」と息巻くのが、双子の斉藤兄弟だ。兄ジュンがAブロック、弟レイがBブロックにエントリーしており、ともにブロックを勝ち抜け決勝戦での兄弟決戦をぶち上げた。

「まだ自分が優勝できると思っている奴らが多いらしい。頭がおかしいぜ。そんな奴らは、家に帰ってママのおっぱいでも吸っていろ。優勝するのは斉藤兄弟の斉藤ジュンだ」と兄ジュン。弟レイは「俺たち斉藤兄弟で優勝決定戦をやる。その上で俺が優勝する」とうそぶく。

 斉藤兄弟は大相撲を経て全日本入り。2021年6月にデビューし、翌22年には海外武者修行に出発。アメリカや欧州マットで暴れ回り、全日本50周年記念大会(22年9月18日、東京・日本武道館)に凱旋(がいせん)している。

 デカい。とにかくデカい。2人並ぶとさらに圧巻だ。大相撲出身者の突進力と、自分たちの大きさを活かしたダイナミックな攻撃は脅威そのもの。ひとつひとつの技が必殺技になる。

 なかなか見分けがつかない2人だったが、海外修行中に弟レイが138キロにウエートアップし、アゴヒゲも伸ばして野性味も増した。118キロの兄ジュンもヒゲを生やしているが細面でイケメン。弟レイは192センチ、兄ジュンは193センチとスーパーヘビー級で、大型選手がそろった全日本マットでもひときわ目立つ存在となっている。

 マット界に兄弟タッグは数多いが、双子は珍しい。ビリーとベリーのマクガイヤー兄弟、ザ・ヘッドハンターズ、ロンとドンのハリス兄弟、ジミーとジェイのウーソズ、ブリーとニッキーのベラ・ツインズなどが知られている。

 日本ではヒデとヤスの久保田兄弟、シュウとケイのバラモン兄弟はチームを組んで活躍中。下田大作と不動力也(下田勇作)はそれぞれ暴れている。

 兄弟コンビといえば、ドリーとテリーのザ・ファンクス、ミル・マスカラスとドス・カラスのマスカラス兄弟、リックとスコットのスタイナー・ブラザーズなど、人気と実力を兼ね備えた名コンビが多いが、双子となれば、その連携はいよいよ手が付けられない。

 巨体を生かしたパワー殺法に双子ならではの、阿吽(あうん)の呼吸のコンビプレーがさえ渡る。しかも斉藤兄弟は悪の軍団ブードゥーマーダーズ入りしており、悪党ファイトも十八番。悪態をつき、反則プレーを操り、対戦相手を追い込んでいく。最近は遺体袋を持ち出し、犠牲者を入れ、担いで退場するという衝撃のシーンを披露した。

 チャンピオン・カーニバルはシングル戦となるが、セコンドについての手出しもお手のものだ。

 優勝すれば三冠王者・永田裕志(新日本プロレス)に挑戦できる。ノア・金剛の征矢学と同じBブロックの弟レイが公式戦(4月16日、静岡・アクトシティ浜松)で、征矢を下せば、拳王、征矢組に奪われた世界タッグ王座奪還も斉藤兄弟への期待が高まる。

 ドスの効いた低音で「SAITO BROTHERSで今年のチャンピオン・カーニバルを乗っ取る」と、口をそろえる兄ジュンと弟レイの斉藤兄弟。何かしらトンデモないことをしでかしそうだ。

 春の嵐が吹き荒れるか。怖くもあるが楽しみが上回る。「グハハハハ……」という豪快な笑い声が耳について離れない。

次のページへ (2/2) 【写真】双子の兄弟といったらバラモン兄弟
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