「どこまでやったらいいのか…」 盗難車種1位、相次ぐランクル盗難 オーナーの憤りと苦悩

トヨタの人気車「ランドクルーザー」(通称ランクル)の盗難が後を絶たない。一般社団法人日本損害保険協会による自動車盗難事故実態調査では、ランドクルーザー(プラドを含む)が、2021年と22年で2年連続の盗難車種1位を記録した。2年連続ワーストの不名誉な事態となり、“完璧がない”防犯対策に頭を抱えるオーナーは多いだろう。男性オーナーの1人は「盗難リスクのストレスを日々感じることは釈然としない」と、憤りとやるせない思いを語る。当事者の苦悩とは。

人気車「ランドクルーザー」の盗難問題は深刻化している(写真はイメージ)【写真:写真AC】
人気車「ランドクルーザー」の盗難問題は深刻化している(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ハイエースが狙われた経験も “完璧がない”防犯対策の悩み

 トヨタの人気車「ランドクルーザー」(通称ランクル)の盗難が後を絶たない。一般社団法人日本損害保険協会による自動車盗難事故実態調査では、ランドクルーザー(プラドを含む)が、2021年と22年で2年連続の盗難車種1位を記録した。2年連続ワーストの不名誉な事態となり、“完璧がない”防犯対策に頭を抱えるオーナーは多いだろう。男性オーナーの1人は「盗難リスクのストレスを日々感じることは釈然としない」と、憤りとやるせない思いを語る。当事者の苦悩とは。

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 先日公表された第24回調査によると、車両本体盗難は、20年の盗難車種1位はプリウスで、ランクルは2位。21年にランクルが最多となった。22年の最新データはランクルが450件、構成比16.9%で、プリウスが282件、10.6%と続く。

 数年前にランドクルーザープラドを購入した男性オーナーは「あこがれの思いで大きな金額の車を買ったのに、日々、盗難の心配やストレスを感じることは釈然としない」と、痛切な思いを訴える。

 SUVタイプのかっこよさ、高い車高による運転のしやすさがお気に入り。これまで家族が乗りやすいワゴンタイプのファミリーカーに乗ってきたが、「あこがれ追求」で思い切った。「このデカさと迫力。友人からは『いいね』と言われるので、ちょっとした自慢です」と話す。

 一方で、窃盗団に狙われる車種であることは買う前から理解していた。「サンルーフ付きで、3列シート7人乗り仕様は、リセールでも中古で高く売りやすい。乗り換え時の利点を見越したことも購入理由の1つです。ただ、その仕様が海外ユーザーにも人気のポイントだそうです。逆を言えば、海外に流しやすい。盗まれる理由でもあり、デメリットもあることは、購入時に販売店担当者から聞きました」。てんびんにかけ、乗りたいという純粋な思いが上回った。

 防犯対策は、ハンドルロックやタイヤロックなどを施している。自宅近くの青空駐車場に止めているだけに、警報センサー導入など、さらなる防御装備を検討中だ。

 実は、以前乗っていたトヨタ・ハイエースが狙われた経験がある。「コインパーキングに止めていたら、翌朝、被害に気付きました。鍵が壊されて……。それでも、運よく車は残っていて盗難未遂に終わりました。ハンドルロックはそのままかかっていました。友人がバンを盗まれた経験があり、ものすごくショックを受けた姿を見てきました。本当に、人の車を盗むなんて、ふざけんな、という思いです」と明かす。

 ランクルの相次ぐ盗難と、喜ばしくない記録。防犯対策を万全にしなければならないことは分かっているが、近年、小型機器を用いて車両制御システムに侵入する「CANインベーダー」が登場するなど、車両盗難の犯罪の手口は巧妙化。“いたちごっこ”が続く状況だ。男性オーナーは「防犯対策はどこまでやったらいいのか、キリがない。ここまでリスク対応をしないといけないものなのか、と困っています。好きな車を買ったのに、本末転倒と言うか、とにかくもどかしいです」と顔を曇らせる。愛車を守るために苦心を重ねる日々。防犯対策のさらなる技術革新が求められている。

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