来日間近のスティング ツアー初日を広島に選んだ理由とは? 23年前の秘話…関係者が考察

昨年後半から海外アーティストの来日ラッシュが続いている。ブルーノ・マーズ、KISS、レッド・ホット・チリペッパーズ、今後もブライアン・アダムス、エリック・クラプトン、ボブ・ディランなど大物の来日公演が続々と予定されている。そして4年ぶりのジャパンツアーを3月に控えたスティングは、東京、名古屋、大阪に加えて自身3回目となる広島の地でコンサートを開催する。なぜスティングは広島を選んだのか? 20年以上にわたり、スティングの広島公演を担当するイベンターに考察してもらった。

3月8日からジャパンツアーを行うスティング【Photo by  Dennis Kramer / Wolf Trap】
3月8日からジャパンツアーを行うスティング【Photo by Dennis Kramer / Wolf Trap】

コンサート関係者が見たスティングの素顔

 昨年後半から海外アーティストの来日ラッシュが続いている。ブルーノ・マーズ、KISS、レッド・ホット・チリペッパーズ、今後もブライアン・アダムス、エリック・クラプトン、ボブ・ディランなど大物の来日公演が続々と予定されている。そして4年ぶりのジャパンツアーを3月に控えたスティングは、東京、名古屋、大阪に加えて自身3回目となる広島の地でコンサートを開催する。なぜスティングは広島を選んだのか? 20年以上にわたり、スティングの広島公演を担当するイベンターに考察してもらった。

 言わずと知れた世界的ミュージシャンのスティングは1951年生まれの現在71歳。77年に伝説的バンド・ポリスを結成し、グラミー賞を6つ獲得。2003年にはロックの殿堂入りを果たした。85年からソロ・アーティストとして活躍。グラミー賞を17回、ゴールデン・グローブ賞、エミー賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた経歴を持つ。また、これまでのアルバム売上枚数は1億枚を超える。

 そんなレジェンドの素顔について聞かせてくれたのは広島をはじめ、中国・四国地方のコンサート制作を手掛ける株式会社HIGHERSELF代表の高波秀法さんだ。これまでボブ・ディランやエリック・クラプトン、エアロスミスといったビッグアーティストの広島でのコンサートをはじめ、30年にわたって音楽やスポーツイベントを企画している。

「スティングさんが広島で初めてコンサートを開催した2000年から担当させていただき、今回のツアーで3回目になります。私もポリス時代から大好きなアーティストで初めてお会いしたときの印象は、驚くくらいとても物静かな方でした。開演前の楽屋でもステージに上がる直前まで自然体でとても穏やかな印象でした。そしてコンサートを終えて楽屋に戻ってくると、ステージでの高揚感を引きずることなく、すぐにまたいつもの表情に戻りました。逆にそういった素朴でいつも平常心という姿にスティングさんのすごさを感じました」

 2000年の広島公演の際、本人たっての希望で広島平和記念資料館を見学することとなった。

「当日の午前中に決まったことだったので、出待ちのファンや一般の方に気付かれないようにハラハラしながらアテンドをさせてもらいました。スティングさんは、メンバーやスタッフとともに約1時間、場内の展示を1つ1つ見学されました。そのあと楽屋に戻って地元のテレビ番組用のインタビューを私が担当させてもらいました。15分くらいの短い時間でしたが、話の中心はやはり平和記念資料館の感想でした。スティングさんは『大変興味深く、心が動かされました。広島は核兵器廃絶に向けて世界を牽引(けんいん)し、先頭となるべき街だと思います』といった話を熱く語ってくださったことを覚えています」

 スティングは次の来日公演となった2005年も広島を選んだ。そして今回、18年ぶりとなる3度目の広島公演が決まった。今回は東京、名古屋、大阪に加えての広島であり、さらにツアー初日に広島を選んだ。この理由について高波さんは、あくまで私の推測と前置きしたうえで次のように語ってくれた。

「やっぱり2000年に広島を訪れたときの印象が強く残っているのかなと思いました。音楽で平和を願うスティングさんの思いやウクライナ紛争で心を痛めている様子はメディアのインタビューからも伝わってきますし、僕自身はスティングさんが広島でコンサートを行うことで音楽を通して大切なことを伝えたいんじゃないのかなと想像しました」

 最後にファン目線での来日公演の注目ポイントを教えてもらった。

「今回のツアーは『マイ・ソングス』というタイトルの通り、スティングさんが自ら選んだヒット曲や代表曲のオンパレードになることは間違いないと思います。ポリスデビューアルバムから45周年ということでポリス時代の曲は楽しみですし、個人的にはやっぱりファーストソロアルバム『ブルー・タートルの夢』(85年)が青春時代なので、日本だけの選曲があったらうれしいですね。私自身、18年ぶりにスティングさんが広島に戻ってくることの意味をコンサート当日までちゃんと伝えていきたいと思います」

 スティングのジャパンツアーは3月8日の広島サンプラザホールを皮切りに、大阪城ホール(9日)、東京・有明アリーナ(11日、12日)、名古屋・日本ガイシホール(14日)で行われる。

スティング「マイ・ソングス」ジャパンツアー2023 公式HP:https://www.livenation.co.jp/stingjapan2023

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