TKO木本武宏の説明と木下隆行の「とにかく苦労」に抱いた違和感【記者コラム】

お笑いコンビ・TKOの木本武宏(51)が、23日に都内で開いた「投資トラブル説明会見」を取材した。木本は計6億7000万円に及ぶ投資騒動に、友人らを巻き込んだことを謝罪。単独会見を終えると、2020年3月にパワハラ騒動を起こした相方の木下隆行(51)も登場し、コンビ活動再開を明言した。2人で計80分の会見。私には、少しの理解と多くの違和感が残った。

会見で経緯を説明するTKO木本武宏【写真:荒川祐史】
会見で経緯を説明するTKO木本武宏【写真:荒川祐史】

投資トラブル説明会見+コンビ活動再開会見で計80分

 お笑いコンビ・TKOの木本武宏(51)が、23日に都内で開いた「投資トラブル説明会見」を取材した。木本は計6億7000万円に及ぶ投資騒動に、友人らを巻き込んだことを謝罪。単独会見を終えると、2020年3月にパワハラ騒動を起こした相方の木下隆行(51)も登場し、コンビ活動再開を明言した。2人で計80分の会見。私には、少しの理解と多くの違和感が残った。(ENCOUNTディレクター・柳田通斉)

 木本はまず、友人10人から計1億7000万円を集め、FXトレーダーA氏に預けたことを明かした。そして、6000万円の返却があった後、A氏とは連絡がつかなくなり、1億1000万円が浮いた状態に。その状況下、後輩のB氏から「自分もAにこれだけやられた」と連絡が入り、「僕は不動産投資をやっていて、こういうすごい人がいて、その方にしか触れない土地がある。1か月後にはかなりいい利回りになる」などと説明されたという。木本は「これで利益が出たら、FXの仲間になんとか代理弁済できる」と思い、いくらかをB氏に渡したとしている。

 しかしながら、木本はFXで損失を被った友人からも追加で金を預かり、自分の相談相手からも大金を預かって計4人で5億円を集金。それをB氏に渡している。その後、1億6000万円は戻ってきたものの、B氏と連絡が途絶え、一時はA氏分と合わせて計4億5000万円が宙に浮いてしまったとしている。

 この段階で違和感があった。A氏からの投資話に乗り、友人10人を巻き込んだにも関わらず、反省もなく、B氏の投資話に乗り、さらに4人から集金したことだ。そして、木本は「僕が出したのは2000万円」と打ち明けた。自分が情報を得て、友人らに勧め、計6億7000万円を集めた投資話にしては少額。その理由は説明されなかった。

 A氏、B氏についてはこれまでに連絡がつき、A氏からは返済が始まり、B氏からは返済計画が出されたという。しかし、B氏については「(不動産投資が)実態のない話で、(我々は)詐欺にあったと思っています」とし、返済が滞った時点での刑事告訴を予告した。そんな中、「投資だし、自己責任という捉え方をする」と、返済辞退を伝えてきた損失者がいたという。そして、木本はそれが「大きな救いになった」と言った。「助かった」という意味合いだろうが、この発言にも違和感が残った。

 ただ、木本が「自分の仕事って水もので常にその不安と闘ってきました。年齢的にも50代が近づいて、家庭内で『収入の柱をもう1つ作らないと、この先は怖いな』と話していました」と言った気持ちの部分だけは、理解できた。人気商売の芸能人を「根がない浮き草のような存在」と表現するプロダクション社長もいるからだ。だが、投資はリスクが伴うもの。1人で失敗するなら自己責任だが、今回は積極的に他人を巻き込んだ印象。影響力のある有名人としての責任感がなかったとしか言いようがない。

 さらに言えば、木下が笑いを誘った「これで、(TKOは)とにかく、苦労してる、おっさんになりました」にも、疑問を感じた。「苦労」とは、頑張ってもなかなか報われない時などに使われる言葉。対して、木本、木下はともに自業自得で苦しんできたからだ。

 それでも、2人がこの会見を機に活動を再開することは理解できる。もう、十分に社会的制裁を受けているからだ。そして、失敗を経験した51歳コンビが、コントに原点回帰し、どれだけの笑いを生み出すのかも興味深い。木本はトラブル処理を進めつつ、2人で若手芸人に張り合っていく意欲も示した。コント日本一を決める『キングオブコント』出場資格に、年齢制限はない。ガムシャラにそこを目指す2人も見てみたい。

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