さい銭泥棒で女が逮捕 これまで「食うに困って」は黙認も…看過できなかった事情とは

大阪・四条畷市のお堂でさい銭を盗んだとして62歳の女が逮捕された。お堂を共同管理していたのは“伝説の喧嘩師”として知られる格闘家のアンディ南野。盗んだ額はたったの600円。それでも警察に相談したのは、深い事情があった。

被害現場となった大阪・四条畷市のお堂
被害現場となった大阪・四条畷市のお堂

さい銭盗み代わりに菓子を置く “常習犯”も容疑を否認か

 大阪・四条畷市のお堂でさい銭を盗んだとして62歳の女が逮捕された。お堂を共同管理していたのは“伝説の喧嘩師”として知られる格闘家のアンディ南野。盗んだ額はたったの600円。それでも警察に相談したのは、深い事情があった。

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 アンディによると、事件は12日に発生。防犯カメラの映像に、白いコート姿の女がさい銭に手を伸ばし、ポケットに入れる様子が収められていた。女は少し心が痛んだのか、代わりに菓子を置き、立ち去ろうとした。菓子は1個10円ほどのクッピーラムネだったという。

 お堂が建てられたのは4年前。アンディは当初からオーナーに共同管理を頼まれ、“用心棒役”を務めていた。さい銭を巡るトラブルが発生するためだ。

 実際にさい銭被害は絶えなかったという。「さい銭泥棒の窃盗が相次いでいました。数人というレベルではなく、十数人という単位でさい銭泥棒をしている記録が映像として上がってきていました」。

 お堂にさい銭箱はなく、お金は茶碗の上に置くスタイル。「近所の幼稚園の子が10円玉を入れたり、年齢問わず、通りすがりの人が手を合わせています」。住民はもちろん、五輪選手も参拝するなど、小さいながらも広く親しまれているお堂だった。「ここで手を合わせるようになってから悩みごとや嫌なことがふわっと消えたような気がしますとか、手を合わせたい気持ちになるんですと言って、心ばかりですがとおさい銭を入れる方が多いです」と評判を呼んでいた。

 その一方、頻繁に被害を受けても、これまでオーナーは警察に通報することはなかったという。

「お堂の持ち主は『食うに困ってとか、ホンマにお金がない人もいる。それをさい銭泥棒したやんけ、とか目くじら立てて言うのはやめておこう』と言っていました。私たちは泥棒という言い方でななく、さい銭を持っていかざるを得ない何かがある方たちだったんだという考え方をしています」

 さい銭の使われ方はさまざまだ。お堂の清掃や補修にあてられることも当然ある。しかし、生活に困り、日々の食事もままならない人を少しでも助けるということも本質の一つ。それなら、浄財を置いた人の気持ちも報われるというもの。「おさい銭にまで手をつけなくてはというのは、本当に困った状況なんだろうなと」と、とがめることはしなかった。

さい銭置き場
さい銭置き場

生活苦とは無縁 地位ある人がスリルを求めるケースも

 しかし、すべてを見過ごしていたわけではない。人によっては声がけを行うこともあった。あまりに回数が多いときや、窃盗した者の身なりや外見が明らかに生活苦とはかけ離れているときだ。

「1回声をかけて話を聞いてみたら、仕事をしていて社会的地位もある人でした。貧乏で困っているわけでもないけども、スリルを求めるじゃないけど癖になっているという人もいたので、そういう人たちには警察沙汰にはしないけどもうやめてくださいねというお話をしてきました」と、アンディは振り返る。

 今回のケースはどんな人物だったのだろうか。

「最初は何かあったのかなと思っていたんですけど、カメラに映っている姿を見たらたばこを吸ったりしているんですよ。趣味・嗜好の物にお金を使う余裕があるのに、おさい銭を持っていくというのはちょっと違うんじゃないかなというのが理由ですね」。初犯ではなく、繰り返しさい銭を盗んでいたことも防犯カメラで分かっている。

「今回が初めてではないです。いつもそれをしていた人に対しては、答え合わせをしないといけない」

 女は警察の調べに対し、容疑を否認しているという。「やっぱり認めないことには次はないと思います」。逮捕で失った信用と未来。600円の代償はあまりに大きかったと言えそうだ。

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