女性としての幸せは「無です」 36歳女芸人が目指す“崖っぷち”からの一発逆転

「下北沢角座 松竹芸能お笑いフェスティバル」が13日より7日間にわたり、東京・下北沢のシアター711で行われる。漫才、ものまね、落語など関西からも大御所が集まる松竹芸能のお祭りイベント。ENCOUNTでは注目の女性ピン芸人をピックアップ。最終日の19日のライブに登場するベルサイユは崖っぷちの現状を告白。「全く売れてないので、ここから売れるしかない」と一発逆転を狙っている。

崖っぷちのベルサイユ【写真:ENCOUNT編集部】
崖っぷちのベルサイユ【写真:ENCOUNT編集部】

大阪から上京 当時のレギュラーなくなりゼロからの再出発

「下北沢角座 松竹芸能お笑いフェスティバル」が13日より7日間にわたり、東京・下北沢のシアター711で行われる。漫才、ものまね、落語など関西からも大御所が集まる松竹芸能のお祭りイベント。ENCOUNTでは注目の女性ピン芸人をピックアップ。最終日の19日のライブに登場するベルサイユは崖っぷちの現状を告白。「全く売れてないので、ここから売れるしかない」と一発逆転を狙っている。(取材・文=水沼一夫)

「今の現状は崖っぷちでここから上るしかない。本当に全く売れてないので、ここから売れるしかないです。一番下の下にいるような感じです」。ベルサイユにピン芸人として現在の立ち位置について聞くと、悲壮な言葉が返ってきた。

 昨年さらなる活躍を目指し、大阪から上京。順調にステップアップを果たしているように見えるが、この引っ越しが良くも悪くも転機になった。

 関西で実績を残し、テレビ番組はレギュラー1本、準レギュラー数本に出演していた。「ギリギリ芸人で食べれるかなという感じだった」と生活を維持していたが、上京によってこれらの仕事は“卒業”に……。仕事は一気になくなり、「東京に出てきてゼロから頑張らないといけない」と、奮闘の日々を送っている。

 東京に出てきて、大阪とのお笑いの違いも感じている。「番組が多いんですけど、求められることも違うのかなと思います。関西は情報番組、朝の番組とか年配の方が見ていることが多くて、そういう方に受け入れられるようなことを求められることが多かった。こっちに来てからは、スタッフさんも若いですし、若い方に注目してもらうようなことをしていかないといけない」。文化の違いにも戸惑う毎日だ。

 ただ、浮上のきっかけもつかみつつある。今年4月、歯科業界初のお笑いコンテスト「歯-1グランプリ」で優勝し、なんと賞金100万円を手にした。

「なんとか生きていけるだろうと思います。年末に向けていろんな若手のオーディションがある。アルバイトせずにやってやるぞ!」と気合を入れ直している。

 とはいえ、余裕は全くない。5.5畳のワンルームで一人暮らし。「狭い部屋で、ユニットバスなんですけど、なぜか蛇口が長くて水が外に飛び出てしまう。キッチンで顔を洗っています」と、顔色はさえない。

 唯一の癒やしはペットのセキセイインコで、「おはようから始まって、おやすみまでずっとしゃべっていますね。歌ってくれたりするので、すごく楽しいです」と大切な相棒だ。一方で、「今年に入ってからインコが入退院しまして、医療費だけで25万ぐらい飛びました。だから売れないとやばいんですよ……」という。

 さらに「崖っぷちなのに、36になって今まで気にしたこともなかったようなことまで心配になってきて……。この前いぼ痔になったと思って病院に行ったんですよ。そしたら、すごいイケメンの先生が出てきて、『最悪や』と思ったんですよ。結局、血豆ですって言われてよかったんですけど、ちょっとしたことでも医療費がかさんでいます」と、踏んだり蹴ったり。女性としての幸せ度を聞くと、「無(む)です」とつぶやいた。

最終日の19日にライブを行う【写真:ENCOUNT編集部】
最終日の19日にライブを行う【写真:ENCOUNT編集部】

人生逆転へ新ネタ披露 「崖っぷちから這い上がる」

 19日のライブは、そんなモヤモヤをすべて吹き飛ばす。

「みなさんに楽しんでもらえるように腹くくってやります。今くらいついていかないといけない。THE Wに向けてのチャンスと考えています」

 子どもの頃から吉本新喜劇が好きで、週末は漫才番組に熱中した。学生時代は修学旅行のバスの中で、一番後ろの席の中央に陣取り、1人でしゃべり倒して笑いを取ったこともある。人を喜ばせることが大好きだった。

 昭和歌謡に乗せて男女のもめごとを演じるネタには定評がある。それだけでなく、新ネタも仕込んでいる。「東京に来て1年、その間に私のことを知ってくださっている方が見たことのないネタをやりたい。成長した姿を見に来てください。これを機に崖っぷちから這い上がるための力をつけたい。今、崖っぷちでなんかつまらんなと思っている方も来てもらったら笑って帰ってもらえるように頑張ります!」と、アピールした。

□ベルサイユ…1986年7月11日、奈良県出身。近畿大学経営学部卒。ABCお笑い新人グランプリ決勝進出。2014年~、松竹芸能所属。20年、THE WとR-1グランプリで準決勝進出。22年、「歯-1グランプリ」優勝。特技はものまねメイク、昭和歌謡、スノーボード。

〇…「下北沢角座 松竹芸能お笑いフェスティバル」は全24公演で、横山ひろし・春けいこ、アメリカザリガニ、団長安田、駆け抜けて軽トラなど松竹芸人が勢ぞろい。16日のヒコロヒーのソロライブ「試し卸し叩き」や19日の「茶光の落語を金子がコントにするライブ」も注目。ベルサイユは「本当に東京で普段見れない師匠方も来られますし、松竹芸人って活気あると思うのでぜひみなさん楽しみにしてください」と呼びかけた。

◆ベルサイユツイッター
https://twitter.com/udonerinco

◆ベルサイユYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCOZ80qe3GQlN-tEq3VJWOWQ

次のページへ (2/2) 【写真】新しい衣装姿のベルサイユの全身ショット…一発逆転の秘策を練っている
1 2
あなたの“気になる”を教えてください