AKB48村山彩希の“曲げない姿勢” 劇場公演への一途な思い、見据える自身とグループの未来

アイドルグループ「AKB48」でダンスの腕前とキュートさを兼ね備える実力派の村山彩希(ゆいり)が、25歳で初挑戦に臨んだ。初めての写真集「AKB48 村山彩希1st写真集 普通が好き」(宝島社)だ。「大人っぽさ、彼女っぽさ」をテーマに沖縄で撮影。それでいて王道スタイル全開ではなく、「自分らしさを出すためにちょっと変なところ」を醸し出し、不思議な雰囲気の衣装は自らが提案した自信作だ。そんな人気・実力No.1メンバーが思い描く、グループの未来、気になる自身の今後とは。

AKB48村山彩希の初写真集は「大人っぽさ、彼女っぽさ」がテーマだ【写真:(C)宝島社】
AKB48村山彩希の初写真集は「大人っぽさ、彼女っぽさ」がテーマだ【写真:(C)宝島社】

村山彩希(ゆいり)25歳で挑戦した初写真集 ダンスでグループを牽引、後輩のプロデュースも

 アイドルグループ「AKB48」でダンスの腕前とキュートさを兼ね備える実力派の村山彩希(ゆいり)が、25歳で初挑戦に臨んだ。初めての写真集「AKB48 村山彩希1st写真集 普通が好き」(宝島社)だ。「大人っぽさ、彼女っぽさ」をテーマに沖縄で撮影。それでいて王道スタイル全開ではなく、「自分らしさを出すためにちょっと変なところ」を醸し出し、不思議な雰囲気の衣装は自らが提案した自信作だ。そんな人気・実力No.1メンバーが思い描く、グループの未来、気になる自身の今後とは。(取材・文=吉原知也)

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 村山彩希を語る上で欠かせないのがダンスだ。かわいらしい華やかな振り付けから、キレッキレの動きまで、器用に大胆に踊る。パフォーマンスの面でもグループへの貢献度は大きい。劇場公演を大事にしていることから、「シアターの女神」とも呼ばれている。

「やっぱりダンスが大好きで、個人的にも大きなやりがいを感じます。AKB48だからこそ、新しいジャンルに出会えて、挑戦できます。練習を繰り返して一生懸命やることで、結果的にメンバー同士の絆も深まります。趣味程度ではなく、ちゃんとダンスに向き合っているところが、ファンの方々にも刺さるのだと思っています」

 2021年の「根も葉もRumor」は、「AKB48史上初の激しいロックダンス」という高難度のパフォーマンスを打ち出し、SNSを中心にバズった。今年5月発表の「元カレです」は緻密な“GANMIダンス”が話題をさらった。近年は、かっこいいダンスのイメージを前面に押し出し、新たなファンを獲得している。10月19日に発売されるグループの最新シングル「久しぶりのリップグロス」も注目だ。

「『根も葉もRumor』は、こんなに話題になるとは想像していませんでした。(『IZ*ONE』で活躍した)ひぃちゃん(本田仁美)が帰ってきて、岡田奈々ちゃんがセンターという偶然が重なったことも大きかったと思います。それに、韓国でひぃちゃんを応援しているファンの方たちが今のAKB48を見た時に『こんなにすごいんだ』と評価していただいたそうで、感謝しています。AKB48はダンスをちゃんと踊れるんだぞ、というところを見せられる機会がたくさんあって、とってもうれしいです」

 AKB48は、NHK紅白歌合戦に2年連続で落選している。グループ力に磨きをかけ、新たな注目を集めている中で、“大逆転”への思いをずばり聞いてみた。

「コロナ禍になってから、自己プロデュースで動こうという意識がメンバーそれぞれにあるんです。それぞれがやりがいを感じられることに取り組む中で、真剣に向き合う姿、ステージ上で楽しんでいる姿、ファンの皆さんにとってはそこに応援のしがいがあるのかなと思っています。それぞれ得意・不得意もあると思うのですが、それが先につながったところに、紅白という1つの大きな目標の達成になれば。1つの理想形だと思っています」

「AKB48 村山彩希1st写真集 普通が好き」は「変なアイドル写真集」を目指したという【写真:(C)宝島社】
「AKB48 村山彩希1st写真集 普通が好き」は「変なアイドル写真集」を目指したという【写真:(C)宝島社】

卒業前の峯岸みなみからメッセージ 最近はソロ活動が増加

 AKB48加入11年を迎え、個人の活動が徐々に増えている。ラジオでは、「アッパレやってまーす! 水曜日」(MBSラジオ)のレギュラーを、先輩の柏木由紀から引き継いだ。今回のファースト写真集も、個人としては大きなトピックだ。そこには葛藤があるそうだ。

「村山彩希ソロと言うのは、AKB48にいる村山彩希のソロという見方をしちゃっていたので、『個人の活動でどうですか?』と聞かれた時にどう答えればいいのか。考え込んでしまいます。正直本当はもっといろいろなところに出て、さまざまなことを吸収したいなという気持ちもあるのですが、それには勇気が必要です。ですが、自分が大好きなAKB48劇場を支えたいし、恩返しをしたい。その部分で、どういうバランスで自分と向き合えばいいのか。ここ3年ぐらいずっと悩んでいるんです」

 実力派ながらどこか控えめなイメージがある。自分をアピールして自分の付加価値を高めるという面で、立ち位置が悩みどころの1つであるようだ。

「AKB48に入りたてだったら目の前のことを常に必死にやっていくスタイルが一番いいと思うのですが、10年以上在籍しているメンバーの立ち位置として、先頭に立つことを求められています。ただ、私はあまり先頭に立つタイプではなく、支える側の立ち位置を見つけてしまったので、ちょっと控えめな部分がどうしても出ちゃうんです。みぃちゃん(峯岸みなみ)から卒業する前に、『ちょっとでも無理できる時はしておいた方がいいよ』という言葉をもらいました。それは、AKB48として新しいジャンルのダンスをやっていってグループとして無理をしていった方がいいのか、個人でいろいろな仕事にチャレンジしていった方がいいのか分からなくて(笑)。頭を悩ませているのですが、悩めるうちはAKB48にいていいのかなと思ったりしているので、幸せな悩みですね」

 写真集でもコンセプトの1つに掲げた「変わっている」ところ。自分らしさを大事にしたいという。

「常にギャップを大事にしたいです。私は見た目が幼く見られてしまうのですが、ステージに立っている時は、大人っぽくてセクシーでかっこいい、と思われたいです。お仕事をしている時に『しっかりしているね』と言っていただいてうれしいのですが、プライベートな話とか勉強の話になった時は『ちょっと抜けてるね』となるので、そこを大事にしていきたいです。それに、劇場が大好き過ぎて歌番組より全然そっちがいいですという“曲げない姿勢”について『変だね』と言われるのは、私にとってはすごく誉め言葉なんです。みんなが選ばない道を究めてみたい。そんなちょっと変わった思考回路があるので、今回の写真集を見ていただいて、いい意味で『ちょっと変なんだ、この子』と思っていただけたらうれしいです」

 2018年にカップリング曲「それでも彼女は」でセンターに選ばれた経験はあるが、シングル表題曲のセンターはまだない。AKB48メンバーとして、アイドルとして、目指すもの、到達点とは。最後に聞いた。

「『それでも彼女は』は、秋元先生がすごく分かりやすく私に宛てて書いてくださったので、すごくやりがいのある、自信を持って聞いてくださいと言える曲です。ただ、自分はセンターの器ではないと思う瞬間がどうしても多くて。自分自身が納得しない中でセンターには立ちたくないと考えています。私は、この曲もこの曲もできるよね、という10年やってきた振り幅がありつつ、自分の見せ場にもちゃんと持っていける、そんなアイドルでありたいです。劇場公演で鍛え抜かれた楽曲への対応力があると自覚しています。

 それに、後輩の16期生(当時研究生)のプロデュース公演をさせていただいた時があったのですが、自分のためではなく、人のために公演を作ったという経験がすごく成長につながりました。昔は自分が出たい、出たいからダンスを覚えるという自己中だったのですが、振付師の先生の言葉で変わりました。一番大きかったのが、先生から、『あなたはセンターでやっていくのはもちろんだけど、周りを連れていって背負っていきなさい。もっと周りを見なさい』と言われたことです。それがきっかけで、周りを見るという意識を持つことができました。今の倉野尾成美チーム4で活動している中で、私のパフォーマンスを見ていろいろなことを感じてくれている後輩がいるというのを知りました。個人プレーではなく、自分がステージにいるからこそ、後輩に何かを感じてもらいたいし、もちろんお客さんにも何かを感じていただけたらと思っています。そこはずっと課題でもあるので、自分と向き合って、自分を客観視していきたいと思います。

 自分のゴールについては、具体的に言うと、今ある劇場公演にすべて出たいです。あとは、シンプルに自分が納得できた時に卒業できるのかなと。今はそう思っています」

□村山彩希(むらやま・ゆいり)1997年6月15日、神奈川県出身。AKB48の13期生で2011年にデビュー、チーム4 所属。ニックネームは「ゆいりー」。ダンス・パフォーマンス力に定評があり、YouTubeチャンネル「ゆうなぁもぎおんチャンネル」を配信している。 

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