女優として10年目 飯豊まりえの夢はジブリ作品の声優、宮崎駿監督との共通点とは

欲しいものが何でも手に入るトンネルがあったら――。時空を超えるトンネルを探す高校生の夏を描いたアニメーション映画「夏へのトンネル、さよならの出口」が9月9日に全国公開される。東京から転校してきた頭脳明晰なヒロイン・花城あんずの声は、モデルとしても活躍する女優の飯豊まりえ(24)が務めた。女優として活動を始めて10年目。転機となった作品や、今後の目標。さらに意外な共通点を持つある人物に対して、募らせている思いについて聞いた。

映画「夏へのトンネル、さよならの出口」でヒロイン・花城あんずの声を演じた飯豊まりえ【写真:ENCOUNT編集部】
映画「夏へのトンネル、さよならの出口」でヒロイン・花城あんずの声を演じた飯豊まりえ【写真:ENCOUNT編集部】

下積み時代に経験した悔しさ、「骨太で頑丈になった」と自信に

 欲しいものが何でも手に入るトンネルがあったら――。時空を超えるトンネルを探す高校生の夏を描いたアニメーション映画「夏へのトンネル、さよならの出口」が9月9日に全国公開される。東京から転校してきた頭脳明晰なヒロイン・花城あんずの声は、モデルとしても活躍する女優の飯豊まりえ(24)が務めた。女優として活動を始めて10年目。転機となった作品や、今後の目標。さらに意外な共通点を持つある人物に対して、募らせている思いについて聞いた。(取材・文=西村綾乃)

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 映画は「第13回小学館ライトノベル大賞」ガガガ賞と審査員特別賞を受賞した作家の八目迷のデビュー作をアニメ化したもの。中に入ると、歳を取る代わりに欲しいものが何でも手に入るトンネルを探す主人公・塔野カオル役を鈴鹿央士、転校生を飯豊が演じた。

「オーディションを受けて、声質などがキャラクター合っていると選んでいただいた役。アフレコの現場には八目さんもいらしていて、見ていただきながら鈴鹿さんと進めていきました。ドラマは1日をかけてワンシーンを撮ったりしますが、今回アフレコにかけた時間は2日間。録りきれるか不安もありましたが、集中力が続くように甘いものを食べたり、ろれつが回るよう、温かいものを摂るなど工夫をしました」

 芸能界入りのきっかけになったオーディションを受けたのは8歳の時。「家族の時間を増やしたい」と発起した。

「父も母もインドアだったので、外に連れ出してあげたいというのが始まりでした。私の夢のために、家族が1つのチームになって、レッスンの送り迎えをしてくれたり、オーディションに合格するためにいろいろなアイデアを考えてくれました。ふたりの応援がなければ今の私はなかったと感謝しています」

 放送中のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」では、新聞記者役を好演した。恋愛番組「オオカミくんには騙されない」ではMCを務め、アドリブもこなす。ファッション誌「Oggi」ではモデルとして誌面を飾るなど、才能を開花させている。

「小学校5年生の頃から芸能界にいるので、同世代が主役を務めるのを横目に見るなど、悔しい経験もしました。順風満帆に、すぐにここまで来たわけじゃない。でも人よりも時間がかかった分、私は骨太で頑丈だと思っています。積み重ねた時間は、回り道ではなく自信になっています。モデル、MC、女優をやっているからこそ、それぞれに活かせるものがある。1つに絞れば、極めることができる時間が短くなるかもしれないけれど、色んな人になれるのが女優の魅力なので、色々な経験をして豊かな人間になりたいと思っています」

 女優として10年目を迎えた。転機になった作品は――。

「『MARS ~ただ、君を愛してる~』です。恋愛作品への出演、ヒロインを演じたことも初めて。この作品をきっかけに、お仕事も増えましたし、演じた麻生キラと同じように『人生を変える出会い』でした。ドラマや映画の撮影を続ける中で、ひとつの役に感情を込めることの大切さを知りましたし、共演した藤ヶ谷(太輔)さん、窪田(正孝)からは、(演技の中に)人柄をにじませることの難しさを教わりました」

映画「夏へのトンネル、さよならの出口」の1シーン【写真:(C)2022 八目迷・小学館/映画「夏へのトンネル、さよならの出口」製作委員会】
映画「夏へのトンネル、さよならの出口」の1シーン【写真:(C)2022 八目迷・小学館/映画「夏へのトンネル、さよならの出口」製作委員会】

今後の目標は「声優としていろいろなことにチャレンジしたい」

 物語の中で演じたあんずは、祖父の思いを継ぎ、自らが生きた証を残したいと奮起している。飯豊にとって「生きた証」とは。

「作品です。将来子どもができた時、YouTubeとかで昔の作品を観た子どもに『ねぇ、これはママなの?』と聞かれるかもしれませんよね。胸を張って『そうだよ』と言えるように、ひとつひとつの作品に真摯(しんし)に向き合っていきたいです」

 あんずのように「ウラシマトンネルがあったら、入ってみたいか」とたずねると、「近寄りたくない」ときっぱり。

「特別な才能は努力を積み重ねてこそ手に入るもの。それこそが人生の醍醐味(だいごみ)だと思います。私が欲しいものは過去に行っても手に入らない。でも欲しいと思い続けていたら、未来の自分は手にできるかもしれない。だから今、目の前にあることをコツコツと積み上げていくことが大切だと思っています」

 今後の目標は――。

「アニメーションが大好きなので、声優としても色々なことにチャレンジしたいと思っています。目標は誕生日が同じ宮崎駿さんの作品で声優を務めること。『魔女の宅急便』や『もののけ姫』などジブリ作品が大好きなので、『森の妖精A』など主要な役でなくてもかまわないので、役をいただくことができるよう表現の幅を広げていきたいです」

■飯豊まりえ(いいとよ・まりえ) 1998年1月5日、千葉県生まれ。2008年に応募した「avex kids×ニコ☆プチ公開モデルオーディション」でグランプリを受賞。翌年春からティーン誌「ニコ☆プチ」でモデルを務める。2012年から女優としての活動を開始。ファッション誌「Oggi」で専属モデル、同「MORE」でレギュラーモデルを務めている。

ヘアメイク:本岡明浩
スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)

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